ナビゲーション

Interview.3

アート運営 猪原秀明

島の人や島そのものと関わることが多い仕事
ひとつの組織という枠を越えて、
直島という場所でしか体験できないことがあると思います。

アート運営
猪原秀明

PROFILE

東京の大学を卒業後、コンピュータのプログラマーとして勤務。流通の仕事を経て2003年、岡山に戻り、最初はアルバイトスタッフとして、直島文化村でアート開発の仕事をスタート。町を歩けば道行く人から声をかけられ、立ち話をするなど人との繋がりを公私両面で楽しんでいる。

人や島との関わりが深くあるからこそ、
直島という場所で働く意味があるんです。

2003年にUターンでこちらの仕事に就くまで、直島という場所は知っていましたが、現代アートの美術館があることは知りませんでした。直島で働くとはどういうことかを改めて考えてみると、まず、この場所でしか体験できないことがあると思うんです。単純にひとつの組織のなかで働くというよりは、島の人や町そのものと関わることが多い仕事です。施設管理と維持、作品のメンテナンス等の仕事があり、とくに「家プロジェクト」という、点在していた空き家などを改修し、空間そのものをアーティストが作品化したアートプロジェクトでは、島の人たちが生活している場所で、仕事をさせていただいています。ですから、島の人たちと足並みを揃えることを考えて進んで来ました。島の人との関わりが一番大事な部分であって、それがなければ、直島という場所で働く意味はないんじゃないかと思います。

「家プロジェクト」は1998年にスタートしました。現在は、「家プロジェクト」の施設も増えて、7カ所にあります。ツアーのガイドをするときは作品だけでなく、本村というエリアの歴史や町についてもお話をしています。開始当初は地元の年配の方々がスタッフとして働いていらっしゃいましたが、今は下は10歳代から上は70歳代までと幅広く、地元の方の比率が少なくなり、昔の状況を知らないスタッフも多いので、ここで働く意味をエデュケーションしながら、責任者として現場をまとめています。



マニュアル化が不自然になってしまう場所。
そこで仕事をする難しさ、面白さがやりがいに。

ここは、お客さまを迎えるサービスをマニュアル化してしまうと、不自然になってしまう場だと思っています。きっちりと決めすぎず、でも揺らがない一線を保って仕事をすることに非常にやりがいを感じます。マニュアルがないということは、コミュニケーション能力や機転が求められますから。そして向上心も必要だと思います。直島のアート作品については、お客さまのほうが詳しいこともあります。それを受け入れて勉強していくという向上心があるといいなと思います。アート開発は今、ホテルの一部署ですが、将来はアートの部署として自立した組織を作っていきたいと思っています。自分の考えをしっかり持って動けば、それが反映されることはたくさんあると思います。

労働環境は決して優しくはないと思います。屋外にいる時間が長いですから、体調面で自己管理が問われます。また、島のなかで仕事をするので、島のいろいろなことがわかってくるまでに時間がかかります。わたしの直島での10数年を振り返ると、皆さんに助けられながら来たなと思います。イレギュラーな出来事を一つひとつクリアしていくうちに、強くなれたり、自分が成長していることがわかってくると思います。ですので、ある程度時間をかけたり、目的のために我慢をすることも大事だと思います。

ある1日の様子

8:00 出社。準備(ツアー予約の確認、備品の点検、メールチェック)
9:00 アルバイトスタッフと朝礼。現場へ
9:40 朝のツアー(ツアーがない場合は、各所を巡回、点検)
11:15 ※2〜3時間、スタッフの休憩交代
13:30 休憩
14:30 事務仕事、ほかの担当者のヘルプなど
16:30 各所を巡回
17:00 終礼、退社
pagetop