マテリアリティ活動事例

公開日:2020年12月07日

新しい時代の「小学生の生活」へ ベネッセの学童クラブ オンライン

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新型コロナウイルス感染症の流行は子どもたちの学びに大きな影響を及ぼしました。学校閉鎖による授業への影響は言うまでもありませんが、子どもたちにとって教室の机で学ぶ授業だけが学びではありません。遠足、運動会、修学旅行などの学校行事は、文部科学省が定める特別活動の一部ですが、これらの活動は多様な他者と協働することや、人間関係を通じた合意形成、集団や社会における生活をよりよく形成し、自己実現を図る、など、社会の一員として必要とされる能力を育む、大切な学びの機会となっています(参照:小学校学習指導要領(平成29年告示))。

一方で、新型コロナ感染症の拡大を防ぐために、3密を避け、ソーシャルディスタンスを保たなければならないなどの状況は、このような特別活動との両立が難しく、多くの行事が中止や延期、規模の縮小、運営方法の大幅な変更などを余儀なくされています。

ベネッセスタイルケアが運営する学童クラブでも、例年夏休みに遠足やキャンプ等のイベントを実施していましたが、今年度は全て中止に。また、保護者の方の在宅勤務の増加もあり、学童クラブに来ること自体が減少する子どもたちも出て来ました。しかし、ベネッセの学童クラブは単なる「預け先」ではなく、異年齢での生活において友だちと関わることや、その中で少し意見が食い違ったりしながらも友だちと一緒に対応策を考えたり、多様な大人(スタッフ)とやり取りをすることで「学びに向かう力」を育む場であると、私たちは考えています。新型コロナウイルス感染症の拡大防止をしながらも、学びの機会を減らすことのないよう、何かできないかと考えたのが"オンライン"の活用でした。

「学びに向かう力」の5つの要素である「好奇心」や「協調性」、「自己主張」、「自己統制」、そして「頑張る力」を友だちと一緒に育むために、クラブで実施している「遊び」や「学び」に自宅からオンライン参加できるプログラムを、2020年9月よりテスト的に運営開始しました。いろいろな活動を取り入れながら、子どもたちに価値のある学びを探求しています。

また、配信する「イベント」や「体験」が終わってからも、クラブにいる子どもたちと自宅にいる子どもが一緒に宿題などに取り組めるように、「自学自習タイム」をオンラインでつないでいます。これは、受け身になりがちな配信への参加のみでなく、子ども自身が能動的にクラブと関わり、自分にとっての居場所であると感じ続けてほしいと考えているためです。いつもの友だちとクラブという場で関わる日と、自宅に居ながらオンライン経由でつながる日を併用していくことで、新しい時代の「小学生の生活」が育んでいけたらと思っています。

【配信コンテンツ】
◆オンラインお仕事見学・社会科見学
:複数クラブで同時に工場やお仕事場にオンラインで接続。現地からの中継でコロナ禍でも遠足に行った気分に。現地にちなんだクイズに答えたり、子どもたちが聴きたいことを、直接「プロ」に聴くことができる貴重な機会になっています。
◆ベネッセ オンライン学び体験
:ベネッセの学童クラブで実施している「えいご体験」や「チャレンジの先生DAY」の一部、追加で実施する他言語のレッスン体験や謎解きゲームイベントなどを配信。クラブにいる子どもたちと自宅にいる子どもが、一緒に活動しながら協力して課題をクリアする楽しさと、協調性やがんばる力などの「学びに向かう力」を育みます
◆一緒に体験! お楽しみコンテンツ
:工作や体験活動、食育、季節の行事など、クラブで実施しているイベントや、追加で行う体験活動をオンラインでも配信。放課後の時間に子どもに多様な体験を提供し、自分の強みに気づいたり、友だちと協力して解決する楽しさを学びながら、活動します。
◆一緒に学ぼう オンライン自習室&HR
:イベント配信日は、クラブの「学習タイム(平日30 分)」や「振り返り」の時間をオンラインでつなぎ、みんなで一緒に勉強。今日の振り返りの会や雑談も楽しみます。

クラブにいる子どもたちは、配信がうまくいくように機器設営や段取りでスタッフを手助けしてくれたり、自宅から参加している友だちに一生懸命手を振ったり声をかけながら、自宅にいる友だちがより楽しめるよう配慮してくれたりなど、オンラインを始めたからこその新しい「役割」や「貢献」が生まれています。学校以外の関係性や異年齢での関係性を構築できる"学童クラブならではの素敵な風景"です。今後も子どもたちの「友だちとの関わり」の機会を大切にし、「学びに向かう力」を育むために価値ある活動を探求・提供していきます。

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子どもたち自身がコロナ渦での消毒や清掃対応を徹底しています       オンラインでのカメラの撮り方講座(最上部画像)でいろいろな写真撮影にチャレンジ

【関連リンク】

「学びに向かう力」を育む、ベネッセの学童クラブ オンライン

VOICE

ベネッセスタイルケア こども・子育て支援カンパニー 学童事業部長

田端江津子

コロナ禍において、「感染症を防止し命を守ること」と「多様な学びや体験を維持すること」の共存に難しさを感じる昨今。しかし大人たちの迷いをよそに、子どもたちはいつも元気で前向き。できることは最大限やりたい、楽しみたい!という気持ちをたくさん発信してくれます。子どもの発案や意見を活かし、日常の室内清掃や消毒対応、オンラインでの活動の見直しをし、クラブの中は変化の多い楽しい毎日が続いています。「子ども主体の場」の重要性を改めて感じています。

最新の活動報告

最終更新日:2020年12月07日