マテリアリティ活動事例
公開日:2020年10月15日
いくつになっても、人は新たなことに関心をもち、何かを始めることができる~「ベネッセスタイルケア 明日へのトビラプロジェクト」
人生100年時代となり、さまざまな選択肢に意欲的に取り組む方がいる一方で、自分自身や家族の老後を心配される方も少なくないと思います。経済的な問題や、健康上の問題など、不安な気持ちにさせる情報も多く、気力・体力が衰えたときに、自分や家族はどうなってしまうのだろう...と暗い気持ちになってしまう方もいるのではないでしょうか。自分自身が経験していない未来に、気がかりな知識が入ってしまうと、そんなふうに考えてしまう方も出てくるのかも知れません。
ベネッセスタイルケアは「年をとればとるほど幸せになる社会でなければならない」という強い信念のもと、25年間介護事業を続けてきました。たくさんのご入居者様と共に歩む歴史の中で、改めて気づいたことがあります。
いくつになっても、人は新たなことに関心をもち、何かを始めることができるー
世田谷を中心としたエリアにあるベネッセの老人ホームで取り組んでいる「明日へのトビラ」プロジェクトもそれに気づかせてくれる活動の一つです。ホームの暮らしの中で、「本物」に触れながら新たな「体験」をしたり、新たな「挑戦」をしていただける機会を創出する取り組みを「ART」「MUSIC」などをテーマに行っています。人が触れ合うホームでの生活だからこそ得られる「新しい仲間」「新たな体験」があり、それがご入居者様の明日への活力につながると考えています。
「ART」の取り組みでは、ご入居者様の過去の作品を含めた個人の作品や、43ホーム200名以上のご入居者様が参加して作り上げた共同作品などを世田谷美術館で2020年8月に公開。2019年に続く2回目で、今回は367名の方が訪れました。作品展示を通して、自信や誇りを持てたり、その方の可能性や意欲が更に高まること、また、複数でひとつの作品を創り上げるということを通して、一体感・仲間との交流・つながり・達成感を感じてもらい、さらなる可能性のひろがりを創出したいという想いがこめられています。
───・【来館された方々の声】───・───・───・───・───・───・───・───
◆出展されたご入居者様
「あのようなところに自分の作品を展示していただいたことは光栄でした。貴重な体験をさせていただきました」
「去年に引き続き、展示していただいて感謝です。今作っている作品もあるので、また前向きな気持ちで頑張れます」
◆共同作品制作に参加されたご入居者様
「作っているときは想像できなかったけれど、まさかこんなにも大きなアート作品になるなんて!驚いたわ!」
「わたしが作ったところはこのあたりかしら!自分がこの作品に関われたってことが嬉しいわね」
◆ご家族様
「素敵に飾ってくださってとても嬉しいです」
「本人がだいぶ刺激を受けたようで、もっと大きな絵を描きたいっていうんです。昔はよく大きな絵も描いていたので画材準備します」
◆一般の方
「素敵なものを見せてもらいました。老人ホームのイメージが変わりました。次もあるならまた来たいです」
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各ホームでは、作品制作や展示に向けての「ART」活動を通して、昔の経験を思い出したり、新しい楽しみを発見出来たり、隣の人の作品に興味が出て会話が生まれたり、など「明日の行動」が変わっていく姿が随所にみられました。その中には今までどんなにお話を伺っていても知ることができなかった経験や感情の発見もあり、スタッフにとってもご入居者様の知らなかった一面に触れ、新しいコミュニケーションができる、嬉しい機会にもなっています。
それぞれの人生ではその方だけが主役。「明日へのトビラ」の活動を通じ、ご入居者様が培ってこられた創造力を発揮し、明日への活力に変えていただけるよう、サポートしています。
VOICE
ベネッセスタイルケア 玉川エリア事業部
高島 奈都枝
いまは新型コロナウイルスの感染拡大により、以前のように外出やホームを越えての交流の機会を作るのは難しい状況です。そんな時だからこそ、芸術に触れる時間を持ちホームの中で充実した時間を過ごしていただきたい、合同作品の制作を通じてお仲間とのつながりを感じていただきたいと思い、感染予防を徹底し今回のART展を企画・開催しました。ご入居者様お一人おひとりの「明日へのトビラ」につながるこのような機会をこれからも創出していきたいと考えています。