マテリアリティ活動事例
公開日:2020年08月31日
地域再生におけるアートの力を顕在化「SETOUCHI 企業フォーラム」
近年、アートが多くの企業経営者に注目されています。新型コロナウィルス感染症の流行による市場環境の激変などに見られるように、従来の「データ」や「合理性」だけに頼ることが難しい時代に突入しました。そのような環境下において、企業の持続性・創造性を高める上でアートが企業経営に良い影響をもたらすことは多くの経営者が感じながらも、一方でその価値がはっきりと顕在化されていない現状があります。
2019年10月25日~27日、「アートの力」を顕在化し、社会に発信することを目的に、企業経営者を対象に「SETOUCHI 企業フォーラム」(主催:瀬戸内国際芸術祭実行委員会 共催:ベネッセホールディングス)が開催されました。期間中、参加者は視察、対話、交流を通してアートが企業活動や地域に何をもたらすかを学び、議論を深めていきました。
SETOUCHI企業フォーラム プログラム
(1日目)「瀬戸内芸術祭の本質を学ぶ」
- 瀬戸内国際芸術祭総合ディレクター 北川フラム氏、ベネッセホールディングス名誉顧問 福武總一郎(瀬戸内国際芸術祭総合プロデューサー)による基調講演
- ハンセン病の歴史を学ぶ(大島)、産廃問題を振り返り、自然環境について考える(豊島)視察ツアーなど
(2日目)「文化と企業の関係を学ぶ」
- 講演・セッション
【登壇者】
東京大学公共政策大学院教授、慶應義塾大学大学院教授、公益財団法人福武財団理事 鈴木寛氏
法政大学大学院教授、一橋大学イノベーション研究センター名誉教授 米倉誠一郎氏
コモンズ投信株式会社 代表取締役会長 渋澤健氏
自然電力株式会社 代表取締役 磯野謙氏 - アート体験プログラム(ACOP※プログラムによるレクチャー&対話型鑑賞体験)など
(3日目)「地域と文化の体験・研修」
- 講演・セッション(ベネッセホールディングス代表取締役社長 安達保、渋澤健氏)
- 島の文化と地域振興を考える・作品鑑賞(直島・女木島など)
講演要旨「私たちの企業活動とベネッセアートサイト直島」
直島が私たちの企業活動にもたらしているものは何でしょうか?まず各種研修で、企業理念を感じ、深め、行動化する育成の場として機能しています。加えて、今年度から瀬戸内芸術祭社員ボランティア企画を実施。社員の地域視点・生活者視点をより豊かにすることは、「よく生きる」を企業理念に掲げる当社にとってたいへん重要です。さらに、企業価値の向上。海外からの訪問者が非常に多く、ベネッセのグローバルでの認知や信頼性の向上に貢献しています。
アートと企業経営という視点では、もはやロジックによる経営はコモディティ化し、経営も美意識による意思決定が重要になっています。サステナビリティ活動の推進にもアートの力は重要です。
経営におけるアートの役割はいっそう大きくなると考えます。企業にとってアート・地域活動は社会の持続可能性に寄与するとともに自社の未来を育てるものではないでしょうか。
ベネッセアートサイト直島の活動は、瀬戸内海の島々の地域再生により世界に「アートの力」を示しました。持続可能な開発目標(SDGs)への取り組みや日々高いレベルの経営判断が求められる経営者にとって、SETOUCHI企業フォーラムは、現場での体験や交流、議論を通じ「アートの力」をしっかりと顕在化し、実感できる3日間となったようです。
今後もベネッセホールディングスは、ベネッセアートサイト直島の活動を通してアートによる地域再生に取り組み、地域の「よく生きる」に貢献し、その活動を世界に発信してまいります。
VOICE
ベネッセホールディングス 本社・直島統轄部
塩田 基
企業経営と文化活動をつなぐ共創のプラットフォームとして、企業トップがアートの向こう側に在る社会課題をリアルに体験し、持続可能な社会に対して企業がどう向き合うかについて熱く議論。瀬戸内から新しい価値を発信する機会となりました。