マテリアリティ活動事例
公開日:2020年08月31日
子どもたちの成長に寄り添う研究と社会への発信を通して、一人ひとりの「学び続ける」姿勢を支援「ベネッセ教育総合研究所」
子育て・教育は社会の存立基盤であり、社会課題を考える時の大きなファクターの一つであることは言うまでもありません。戦後の教育の量的拡大と教育水準の向上は、経済社会発展の大きな原動力となりましたが、一方で課題も生まれました。1970年代後半になると、さまざまな教育問題が社会的に大きな関心を集めるようになり、1984年に政府は臨時教育審議会を発足し、教育改革に取り組んでいくことになります。そのような社会環境の中、ベネッセコーポレーションの前身となる福武書店では、1980年に「教育研究所」を設立しました。1955年の創業より培った情報をベースに、教育環境の変化の把握、小・中・高校生の実態や意識などの調査・研究結果を社内外に向けて発信することを通して、「頼りになる存在」となることを目指しました。
現在、IT化、グローバル化などが進み、子育て・教育を取り巻く環境の変化が早くなり、課題は複雑化しています。ベネッセコーポレーションでは「教育研究所」の発足以来、時代ごとの教育課題に沿って、乳幼児育成、高等教育などの研究領域を拡大し、2013年にそれらを統合した「ベネッセ教育総合研究所」を設立しました。「子どもは未来」というスローガンを掲げ、乳幼児・子育て研究、初等中等教育研究、高等教育研究、資質能力測定研究、英語・言語教育研究、カリキュラム研究開発と、多岐にわたる領域の調査・研究を行い、発信し続けています。ウェブサイト等で発信した調査・研究は公的な目的であれば、自由に引用・転載をしていただくことができるようになっており、長年の調査・研究の公表により、多方面での信頼を得ており、テレビ・新聞などのメディアが報じる教育関連データにも多くの調査結果が使用されています。2020年度は新型コロナウィルス感染症の蔓延に伴う子育て・教育への影響をいち早く取り上げ、8月に研究結果を公表しました(2020/8現在)。
幼児・小学生の生活に対する新型コロナウイルス感染症の影響調査
独自の調査・研究の他に公的教育機関との共同研究も行っており、2014年に東京大学社会科学研究所と共同で「子どもの生活と学び」研究プロジェクトを、2016 年には東京大学大学院教育学研究科附属発達保育実践政策学センターと共同で「乳幼児の生活と育ち」研究プロジェクトを立ち上げました。両プロジェクトでは、0歳から18歳までの子どもとその保護者(2万組以上)を対象に、その成長を追跡して調査しています。
「子どもの生活と学び」研究プロジェクト
「乳幼児の生活と育ち」研究プロジェクト
地球規模で変化の規模とスピードが加速し、想像がつかない未来が到来するであろうこの先も、人々のたゆまぬ学びが未来を創っていくことは間違いありません。ベネッセ教育総合研究所は、国内外の研究者・実践者のみなさまとともに、子ども・保護者・先生、一人ひとりの成長の仕組みを解明するエビデンスを創出し、より豊かな未来の実現につながる学びのあり方を、社会に提案し続ける存在を目指して研究活動に取り組みます。そして、子どもたちの成長に寄り添う研究と社会への発信を通して、一人ひとりの「学び続ける」姿勢を支援し、今と未来を "よく生きる" ことに貢献します。
VOICE
ベネッセ教育総合研究所 学び・生活研究室
野﨑 友花
環境変化が激しいなか、子どもたちが自ら学び、自らの未来を切り拓いていく力は必要です。約2万組の同一親子を追跡する私たちの調査では、子どもたちが学習や生活でどのような経験や体験をし、どのような進路選択をしているのか等の成長の軌跡を捉え、未来を切り拓く力を獲得するプロセスを明らかにしていきます。 「子どもたちの今と未来」への支援につながるエビデンスを提供し、皆さまとともにこれからの子育て・教育のあり方を考えていきたいと思っています。