保護者世代とは大きく違う! 今ドキの高校選び

 この先の進路として、公立中学校から高校受験をする場合には、高校の情報も気になりますよね。保護者世代が受験した頃に比べて、現在では高校の多様化が進んでいます。いずれ迎える高校受験に向けて、高校選びに役立つ情報をお伝えします。

【お話】
浅野 剛(あさの たけし)
進研ゼミ 高校受験総合情報センター センター長。元大手進学塾高校入試担当部長、入試情報統括を歴任。25年以上にわたって受験指導を行い、多数の生徒を志望校に合格させてきた高校受験のエキスパート。現在は,会員向け入試説明会の講演をはじめ,中学校での進路講演なども担当

新しい制度や学科の導入で、
将来の目的や適性に合った選択肢が広がっている!

 現在では、さまざまな制度や学科、特色ある教育を行う高校が増えています。それに伴い、お子さまの将来の目的や適性に合わせた選択肢も広がっています。まずは制度や学科ごとに、高校を種類分けしてみましょう。

●授業の時間帯や方法が選べる!
全日制 / 定時制 / 通信制
 多くの高校は全日制課程を設置しています。昔は夜間のイメージだった定時制課程も、近年では昼間に午前部/午後部といった「昼間定時制」を設けて授業を実施する高校も増えています。加えて、通信による教育を行う課程を設けている通信制の高校もあります。

●単位の取り方が選べる!
学年制 / 単位制
 多くの高校は学年ごとに履修科目と単位が決まっている学年制をとっています。一方で、近年では、興味・関心や進路に応じて、多くの選択科目の中から自分で科目を選択できる単位制を導入している学校も増えています。単位制では、必要な単位を3年間の中で取得します。

●高校から専門分野が学べる、新しい学科が増えている!
普通科 / 専門学科 / 総合学科
 基礎学力をバランスよく学べる普通科のほか、専門学科、総合学科があります。専門学科は、将来の希望に合った専門分野や得意教科を重点的に学べる学科。農業系、工業系など職業教育を中心とする専門学科と、理数系、英語系など特定の教科を専門的に学べる専門学科の2タイプがあります。また総合学科は、入学後に、普通教科から専門教科まで幅広い科目の中から、興味・関心や将来の希望に応じた科目を選択・受講することができる学科です。1年次には必修科目を中心に学び、2年次以降は選択科目を中心に学びます。

特色ある教育を行う高校が増加し、
高校の段階から、興味や将来の希望に合った進路を選ぶことも可能に!

 制度や学科が豊富になっただけでなく、特色ある教育を行う高校も増えています。国際教育に力を入れている高校や理数教育に力を入れている高校など、さまざまな学びを深めることができる高校の例をご紹介します。

●先進的な理数教育で、創造性・独創性を高める
SSH(スーパーサイエンスハイスクール)
文部科学省の指定校。国際的な科学技術関係人材を育てるため、先進的な理数教育を実施しています。大学や研究機関と連携した授業や体験学習、実験設備も充実しています。

●革新的なグローバル人材を育成する
WWL(ワールドワイドラーニング)*コンソーシアム構築支援事業 拠点校
WWL実施の拠点となる高校等。WWLの目的は、IOT時代における国際的な社会課題を、創造性や革新性をもって克服していくグローバルな人材を育成することです。拠点校では、そのために高校生により高度な学びを提供する環境整備や体制を整えています。具体的には、文系・理系の両方をバランスよく学ぶ教育課程を組んで、グローバルな社会課題をテーマとするカリキュラム(留学・海外研修等含む)の開発・実践、高校生国際会議の開催や大学の先取り履修を可能とする取り組みなどを行います。

*WWLとは、イノベーティブなグローバル人材を育成するため,国公私立の高等学校等において,文系・理系を問わず各教科等をバランスよく学ぶ教育課程を編成するとともに,高等学校等と国内外の大学,企業や国際機関等が協働して,先進的カリキュラムの研究開発・実践,テーマと関連した高校生国際会議の開催等の,高校生へ高度な学びを提供する体制整備を進めるための事業。2019年度に文部科学省によって開始された。

●海外の大学の入学資格を得られる教育プログラムがある
国際バカロレア(IB)認定校
国際バカロレア機構*の認可を受けた学校で、目的は国際的な視野を身につけ、グローバル化に対応できる素養やスキルを備えた人材を育成すること。独自のカリキュラムに沿った授業を受け、国際バカロレアが課す試験に合格すると、ディプロマ(認定証書)を得ることができます。このディプロマが、海外の大学の入試において自分の能力を証明する資格として広く活用されていることから、近年注目を浴びています。
*1968年インターナショナルスクールの卒業生に、国際的に認められる大学入学資格(国際バカロレア資格)を与え、大学進学のルートを確保するとともに、学生の柔軟な知性の育成と国際理解教育の促進を目的として発足。認定校に対する共通カリキュラムの作成や、国際バカロレア試験、国際バカロレア資格の授与等を実施している。

 多種多彩な学びが可能になった現代の高校。早い段階からお子さまの興味・関心や将来の希望に合った進路を選び取ることも可能です。わが子に合った高校を選ぶには、将来を見すえた広い視野をもち、高校をめぐる情報にアンテナをはっておきたいものですね。最近では小学生対象の「学校説明会」や「授業体験会」などを行っている高校もあるので、機会を見つけて親子で参加してみるのもおすすめです。

 高校入試についての情報は別記事「保護者世代とは大きく違う! 今ドキの高校入試 」に掲載しています。あわせてご覧ください。