「アンガーマネジメント」で行う 反抗期コミュニケーション術

お子さまの言葉や態度に、イラッとしがちな反抗期。つられて怒るのではなく、伝えたいことをきちんと伝えていくためには、「怒り」をうまくコントロールすることが大切です。そこでおすすめしたいのが「アンガーマネジメント※」。自分の怒りと上手に向き合うテクニックです。
今回は、「アンガーマネジメント」をベースにした、反抗期にありがちなケース別コミュニケーション術をご紹介します。先輩保護者の体験談も参考にしてみてくださいね。
※「アンガーマネジメント」の詳しい手法は「『反抗期』に備えて始める オトナの『アンガーマネジメント』」をご覧ください。

【お話】
戸田 久実(とだ くみ)先生
一般社団法人 日本アンガーマネジメント協会理事。コミュニケーションの指導をテーマとした、大手民間企業や官公庁などでの研修や講演には定評がある。「アンガーマネジメント」(日経文庫)など著書多数。

反抗期にありがちなケース別
「アンガーマネジメント」流コミュニケーション術

ケース1.乱暴な言葉づかいで反抗されたとき
「あなたは」ではなく、「私は」で気持ちを伝える
 「なんであなたはそんなことを言うの?」と言うと、相手は責められた気持ちになります。「そんなふうに言われると、私は悲しいわ」など、自分が感じたことを具体的な言葉にして表現してみましょう。また、「なんで?」は相手を責める表現なので、禁句にしたほうがよいかもしれません。
使ったアンガーマネジメント式テクニックは...「Iメッセージで伝えたい気持ちを言葉にする」

  相手を追い詰めるのではなく、ただ自分の気持ちを事実として伝えているため、お互いにヒートアップすることなく、話し合うことができます。

ケース2.無視・そっけなくされたとき
成長の証ととらえて、大人の対応を
 「別に」とそっけなく答えたり、話を避けたり、親と一緒に行動するのを嫌がるのは、反抗期にありがちな態度です。そんなときは質問をイエスかノーで答えられるものにするなど、相手が「カチン」とならない工夫をするのがおすすめです。これも成長の証ととらえることで、冷静な対応を心がけていきましょう。
使ったアンガーマネジメント式テクニックは...自分の「~すべき」が当たり前だと思わない

  相手を追い詰めるのではなく、ただ自分の気持ちを事実として伝えているため、お互いにヒートアップすることなく、話し合うことができます。

ケース3.暴力をふるう・物を壊すなどしたとき
暴力はいけない」ときちんと伝えて
 物や人にやつあたりするのは反抗期にありがちな行動なので、多少は大目に見てもいいかもしれませんが、人への暴力や物を壊すなどは「してはいけない行動」です。そのことを毅然とした態度で伝えましょう。
使ったアンガーマネジメント式テクニックは...「怒り」の境界線をはっきりさせる

  「物をこわす、人に暴力をふるうのはいけないことだから怒るよ」と、あらかじめ「怒ること」と「怒らないこと」の境界線を伝えておくのがおすすめです。境界線を伝えておくと、子供はなぜ怒られたのかも納得がいき、親も伝えやすくなります。

 反抗期は自立に向かうひとつの過程に過ぎません。自分の怒りを正しくコントロールする「アンガーマネジメント」を使って、お子さまの自立を上手にサポートしていきましょう。

【番外編】
イラッときたら、こんなコミュニケーションで解消しました!
先輩保護者のサクセス体験談
 同じような体験をした先輩保護者の声の中から、「反抗期でも上手にコミュニケーションがとれた」というサクセス体験談をご紹介します。

気持ちがおさまった頃に話しかけた
  娘が反抗的な態度のときは席を外し、落ち着いた頃を見計らって部屋にドリンクなどを届けると、たいてい打ち解けられます。そうでなくても翌朝にはスムーズな関係に戻っています。
(宮崎県 ITOUTYO)

その場を離れて怒りをクールダウンした
 イライラして反抗的な態度をとられたりしたときは、その場を離れるのがいいですね。でないと、本気でこちらも怒ってしまうので。
(埼玉県 こたろう)

カチンときてもさらりと流した
 口で負けたくないようで、すごく言い返してくるうちの子。私もついカチンときてしまいますが、言い返しても収拾がつかなくなるだけなので、なるべく言い返さずさらりと流すようにしています。
(埼玉県 ケイティ)

言いたいだけ言って仲直りした
 こちらが嫌味を言ったり、少し強い口調になったりしたときは、当然のように反抗されます。そんな子供の態度を見たら、自分が反省するように心がけています。
(神奈川県 toko)

こちらが悪いときには素直に反省した
 言い合いになることが多いのですが、適当に流すのも嫌なので、言いたいことを言い合います。ただし、そのあとにお互いに謝るのがルールです。そうすればまた、何事もなかったように話せます。
(神奈川県 ぺてらるまむ)

落ち着いた状態で注意するようにした
 無反応な態度をどなりつけたこともありましたが、余計に話を聞かなくなるだけなので、最近は時間をおいて平静を取り戻してから再度注意することに。2回に1回は聞くようになりました。
(奈良県 まいぺーすママ)

心配な気持ちを抑えて見守った
 心配のあまり口出ししすぎて、子供が答えてくれなくなった時期があったので、しばらく干渉しないよう心がけてみました。すると、自分から相談してきたり、話をしてくるように。それ以来、本当に大事なことについてはきちんと言うけれど、それ以外は見守るようにしています。
(北海道 イブひな)

気持ちを自分の言葉で伝えた
 ほとぼりがさめてから、顔は合わせないようにして、「お母さん、無視されて悲しかったな」「さっきの言葉傷ついたな」などといじけてみせると、「ごめんね」と言ってくれます。私もヒートアップしすぎたときは、「さっきはきついこと言ってごめんね。嫌いじゃないからね」と謝るようにしています。
(愛知県 ぷちぷち)

 イライラしたり、悲しくなったり、反抗期には大人も気持ちが揺れ動くもの。お子さまの反抗期を正しく知り、自分自身の怒りを知ることで、気持ちを上手にコントロールして乗りきっていきましょう。

イラスト/今井 久恵