大学のことを具体的に考えるにつれ、家計のやりくりなど、今から心配になっているご家庭も多いかもしれません。今回は、教育資金に不安があるご家庭にとって心強い味方となる奨学金について見ていきます。
進学に必要な学費や生活費を支援してくれる奨学金制度には、様々な種類があります。それぞれの特徴を押さえて、無理なく、賢く、お子さまやご家庭の状況に合った奨学金を選んで利用する、という方法も、夢を叶えるための選択肢の1つです。
大学生の奨学金受給率はほぼ5割! 半数近くが奨学金を利用!
大学生(4年制・昼間部)で奨学金を受給しているのは、全体で47.5%とほぼ半数に上ります。現代の大学生にとって「奨学金」は、かなり "一般的" なことと言えるようです。
奨学金は大きく分けて2種類!「貸与」型と「給付」型
奨学金制度は、大きく2種類に分かれます。大学卒業後に返還する必要がある「貸与型」と、返還してなくてもよい「給付型」です。簡単に言えば、前者が「借りる」奨学金で、後者が「もらえる」奨学金ということになります。
「貸与型」は、在学中に受給した分のお金を決められた期間内にお子さま自身が返さなければなりませんが、比較的基準が緩やかで多くの人が利用しやすい制度です。
「貸与型」の中でも、無利子で借りられるものと、利子がつくタイプのものがあります。
対して「給付型」は、所得基準や学業・課外活動などの成績など、かなり厳しい基準をクリアした人を対象としています。日本ではどちらかというと「貸与型」が一般的です。
最も利用者が多いのは「日本学生支援機構」の奨学金!
奨学金を受給している大学生の約8割が、国の独立行政法人である日本学生支援機構(JASSO)が運営する奨学金制度を利用しています。
それ以外にも、地方自治体による奨学金や、大学・短大などが独自で実施しているもの、企業や民間の育英団体などによるものなど、様々な制度があります。
返還の有無、支給金額、申込資格などは団体・制度によって異なるので、自分でしっかり情報をチェックしていくことが大切です。
主な奨学金制度の特徴
1.日本学生支援機構の奨学金(旧:日本育英会)
独立行政法人「日本学生支援機構(JASSO)」が運営する、いわば国の奨学金制度。
[貸与型奨学金]
●第一種奨学金(無利息):学業成績や所得の基準がやや厳しい。大学生の場合、国公私立別、入学年度、通学形態によって定められた貸与月額の中からいずれかを選択する。
●第二種奨学金(利息付):比較的、条件が緩やか。大学生(私大の医・歯学、薬・獣医学の過程を除く)の場合、貸与月額は月額20,000円~120,000円(10,000円刻み)から自由に選択できる。
[給付型奨学金]
経済的理由により進学が極めて困難な人を対象として、平成30年度より本格実施。優れた学習成績など一定の要件を満たすことが条件となり、採用されると国公立大生で月額20,000円~30,000円、私立大生で月額30,000円~40,000円(それぞれ通学形態により異なる)が給付される。
2.地方自治体の奨学金制度
都道府県や市町村などの地方自治体が設置している奨学金。無利子の貸与型が多い。保護者や受給する学生本人が該当する自治体の住民であることを条件としている場合が多く、また学校所在地や就職先の地域について規定があることも。日本学生支援機構の奨学金との併用不可の場合もあるため、注意が必要。
3.大学独自の奨学金制度
多くの大学で独自の奨学金制度を設けており、種類や募集人数なども多様。貸与型、給付型の両方がある。経済的な理由による奨学金の他に、入学試験の成績優秀者や大学入学後の成績優秀者に対して、「特待生制度」などの名称で入学金や授業料の一部または全額を免除する制度などを導入している場合もある。
4.民間団体・その他の奨学金
財団法人、育英会などの民間団体や、一般企業による奨学金も多数あり。病気や事故、災害で保護者が亡くなったり、障害を負ったりした生徒・学生を支援する「あしなが育英会」「交通遺児育英会」等の奨学金や、新聞販売所で働きながら学業と両立する新聞奨学生制度などが有名だが、特定の分野の学問を学んでいる学生を対象とした奨学金などもあり、バリエーション豊富。返済する必要のない「給付型」の設定も多いが、その分採用人数が少なく、基準が厳しい傾向がある。
制度や団体によって申請時期や申し込み方法も異なる!
奨学金の申請時期は大きく分けると、高校在学中に申し込む場合と、大学在学中に申し込む場合の2パターンあると言ってよいでしょう。
最もメジャーな日本学生支援機構の奨学金の場合、高校在学中にあらかじめ申請しておく「予約採用」と、大学入学後に申請する「在学採用」の2つがあります。
どちらも、その時に在籍している学校(高校または大学)を通じた申し込みとなります。「予約採用」は進学先が未定でも奨学金を予約できるので、大学に入学してすぐに奨学金が必要だと思われるときは、高校在学中に申し込んでおくと良いでしょう。
最近では、大学独自の奨学金でも受験前に申請し、合格すれば奨学金受給が確定するような制度を導入するケースも増えてきています。
その他の奨学金も、それぞれ申請時期が異なるうえ、高校や大学経由、自治体や団体への直接応募、面接が必要なものなど申し込み方法にもいろいろなタイプがあります。
興味がある奨学金の申請タイミングを逃さないよう、早め早めに情報収集をしていきましょう。
経済的な理由でお子さまの夢や希望進路をあきらめるのではなく、奨学金を含めた複数の手段を検討し、ご家庭の事情に合った制度を利用できるように準備していきたいものですね。
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