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これからの大学入試、思考力・表現力が大事っていうけれど... どんな対策をすればいいの?

 最近耳にする「思考力・表現力」という言葉。以前から使われていた言葉ではありますが、とくにここ数年、これからの大学入試や「新学習指導要領」についての話題の中で頻繁に耳にするようになってきました。課題を分析して問題点を把握したり、それを他者に的確に伝えたりする力は、これから生きていくうえでも大切な力です。
 では、どんな学習をすれば、そんな力は身についていくのでしょうか?
今回は国語を例にご説明します。

■思考力とは "物事の本質をつかむ力" のこと

 思考力とは、表面的な問題ではなく奥に隠れた真の課題に気づいたり、その課題を解決するためにはどうすればよいかを自ら考えたりする力です。

 例えば、お子さまにこう聞いてみてください。

事故多発地帯.PNG

 このとき、「事故件数がもともと多い地点に看板を立てたので、他の地点より件数が多いのは当たり前。役に立っているかどうかを判断するには、看板を立てる前と立てた後での事故の件数を比較して効果検証するべき」と答えた中学生がいたとしたら、この中学生は思考力を発揮しているといえるでしょう。
 表面的な「現在の事故発生件数の多い少ない」ではなく、本当の課題である「看板設置の有無による影響度」を考えられています。そして、それを明確にするためにはどこをチェックすればいいのか(現在の事故発生件数の他地点との比較ではなく、看板設置地点での前後の事故発生件数を確認する)という思考を働かせているのです。

表面的な事柄ではなく、課題の本質を見極めるように考えていくこと、それが思考力の第一歩になります。

■思考力はどうやったら身につくのか?

 では、どうやって思考力を鍛えればいいのでしょうか?

 思考力は、課題に気づいたり、どう解決すればよいかを考えたりということを繰り返していくなかで訓練されていきます。

 思考力を鍛えるには、あるデータや事象に対して、考えを深められるような問いかけをしてあげてください。

「どんな傾向が読み取れるか?」
「どうしてそうなったんだろう?」
「背景に何か事情が隠れていないか?」など。

 降雪量のデータを見て「少ない」「多い」と言うのは表面的な考えになります。「なぜ少ないと思うの?」(平均値と比べる)、「今年だけなの?」(傾向をみる)、「何が原因だと思う?」(気象データなど他のデータを見てみる)など、お子さまが考えを深めて自分なりの仮説や疑問が持てるようになるといいですね。

■表現力とは何か?

 「表現力」=「記述問題」の解答のこと、と思う方は多いでしょう。それも授業やテストにおいては大切なことであり、記述問題に特化した訓練を行う学校もあるぐらいです。

 しかし、ここでお話ししたい「表現力」とは「伝える力」のこと。自分の意見などの伝えたいことを、他者に正確に伝えられるためには、相手が誤解しないような正確性、理解しやすい論理性、など様々な要素が求められます。自分だけがわかる独りよがりの表現ではいけません。「私はこう思った」(自分の考えを述べる)という従来の表現力に、プラスアルファの力(なぜそう思ったのか、までを論理的に伝えて、考えたことを相手に正確に理解してもらうこと)が求められます。

 そもそも、自分の考えを正確に伝えることはコミュニケーションの基本なのですが、これが意外と難しいものなのです。

■表現するために必要なこと

 正しく伝えるには、当然ながら豊富な語彙力、短くまとめる文章構成力、などが必要です。
なかでも語彙力は、文章読解力とも直結する重要な要素。これをまず鍛えましょう。
 本を読むお子さまは自然と多くの単語にふれて文脈の中で意味をとらえることができるようになるという点でとても有利です。が、読書にこだわらなくても日常の中で語彙力を鍛える方法もあります。

 おすすめなのが、異世代の人や、文化や価値観が違う人、日本語があまり得意ではない外国の人などと話すこと。

異世代とのコミュニケーション.PNG

 友達や仲間内で通じる言葉がすべての人に通じるとは限りません。生活や文化など背景が違う人とコミュニケーションをとることで、自分たちが使わない言葉や概念を理解しやすくなりますし、自分が人に言葉で伝えるときの注意観点もわかります。

 表現力のもととなる語彙力は、中学生から意識して身につけていくことが必要です。

思考力UP3月号.png 中1の3月号では、思考力と表現力をトレーニングできる  〈「解く」が楽しくなる! 新大学入試で差がつく本〉をお届けしています。

思考力を身につけるための着眼点に沿って問題を解いて、表現するところまでをトレーニングできる教材ですので、お時間のあるときにぜひ取り組んでみるようお声かけください。

  
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