【社員による社会参画】日本の学校教育の質的向上をライフワークに!「指導主事」を応援する会を運営

  • 社員の社会と共に行う活動

2023.01.16

ベネッセコーポレーション学校カンパニーの瀬川裕也は、入社以来、自治体行政向けの教育コンサルタントを行っています。仕事を通じて知った「指導主事」という役職の人たちが課題を抱えていることに気づき、「公教育を良くしたい!」「困っている人を助けたい!」という思いから、2022年6月、業務の範囲を超え個人として、「指導主事」を応援するコミュニティをフェイスブック上に立ち上げ、企画運営をしています。

教育現場の状況やコミュニティの活動、立ち上げた思いなどをご紹介します。

公教育の要「指導主事」が困っている!

「指導主事」という役職をご存知でしょうか。

全国の自治体の教育委員会に置かれ、小中学校の教育活動が適正・活発に行われるように、自治体の中期計画を考えたり、校長や教員に直接助言や指導をしたりする役職です。多くが現役教員の中から選ばれますので、いわば教育行政と現場の橋渡しといった重責を担います。

全国約1,700の自治体の7割程度に配置され、平成16年の文科省の調べでは約4,400人いらっしゃいます。

現場で子どもたちと向き合うことが何よりも好きな先生が、突然指名されることも多いそうです。子ども一人ひとりをみつめた授業案は得意であっても、その自治体の教育行政の方向性を考えたり、他の先生への指導をしたりすることは容易ではありません。また、指導主事の育成というものはあまりないそうです。

小学校での先生経験しかない方が、中学の授業に対してのアドバイスをするようなケースもあるそうです。もちろん授業の内容だけでなく、いじめなどの問題の解決に向き合うなど、それらにともなう保護者への対応など指導主事の業務は様々です。

指導主事が一人といった自治体もあり、1年目から指導主事の役割を十分に果たすことに不安を感じる方が多いと気づいた瀬川は、この公教育の要である指導主事の方々の課題を解決することが教育をよくすることにつながると考え、賛同する仲間とともに「全国の指導主事を応援する会」を立ち上げました。

「全国の指導主事を応援する会」について説明する瀬川会の紹介をする瀬川さん.png

フェイスブックグループ「全国の指導主事を応援する会」とは

この会はフェイズブック上の非公開グループです。会の活動の様子や入会方法について瀬川に聞きました。

「指導主事であるないに関わらず、日本の教育をよくしたい!そのために指導主事を応援したいという方であれば誰でも入会できます。

現在は瀬川が呼びかけたコアメンバー5人(石川県の元教育主事、横浜の小学校の副校長、コミュニティデザインのスペシャリスト、ベネッセの元同僚)が中心に、情報発信と定例会を行っています。

立ち上げたばかりですが、すでに150人以上の方に参加いただいています。立場は関係なく、利害関係なしに情報交換や情報発信をし、学び続けることができればと思っています。

『指導主事になれてよかった!指導主事ってかっこいいと思う人を増やしたい!』というこの会の共通認識あわせつつ、すでに3回のOnlineイベントを実施し、のべ70人以上の方に参加いただきました。現在は2月に行う大規模イベント『指導主事サミット2023』の内容を固めています。

入会希望の方は、まずは瀬川とFacebookで友だちになってください!その後グループに招待します。」

オンラインイベントではケースワークの実施など、指導主事の課題によりそう

第3回のイベントでは、指導主事になって初めて学校訪問をするAさんを想定してケースワークを行いました。参加者から現場ですぐに生きる考え方や行動についてたくさんのアイディアが出て、活発な意見交換ができました。

第3回のイベント資料より第3回イベント.JPG

■参加者からのアンケートの一部をご紹介します。

  • 具体的な場面設定のあるワークは、考えやすく、それぞれの経験や大切にしたい思い等を聞くことができたので勉強になりました。
  • 自己紹介以外は耳だけ参加でしたが、教育委員会事務方の経験者として、新任指導主事の心の声はもっと早く聞いてみたかったです。指導主事・事務方が良きパートナーとして、お互いを支えあい、子どもの育ちを支えられればなと、改めて感じました。
  • 1年目の自分思い出しました。(今も変わらず悩み、バタバタしていますが、、、)「GIGAスクール次のステップに向けて」とか「PBL 」「STEAM教育」をどう進めるか?など、全国各地での情報を共有すれば、若手の指導主事にとって大いに参考になるのではないでしょうか。今回もありがとうございました。また次回もよろしくお願いします。
  • 指導主事を支えていくための良い情報共有ができました。また、よろしくお願いします。

■コアメンバーからの声もお伝えします。

  • 小林さん(コミュニティデザインのスペシャリスト)
    こんなに思いを持った教育関係の方、指導主事の方がいらっしゃるんだなぁというのが一番の驚きでした。フラットに応援する・応援される場となり、個々の思いが実現されると良いなと期待しています。

  • 杉本さん(横浜の小学校の副校長)
    新しい気付きと多角的な視点で物事を考えることができています。私は教員で、指導主事の悩みを直接聞くことがあまりありませんでした。このコミュニティでの交流によって教育を違った姿が見えるようになりました。

「為せば成る、為さねば成らぬ何事も、成らぬは人の為さぬなりけり」に促されて

改めて瀬川に思いを聞きました。

「何かしたいと考えていた私を後押ししてくれたのは、出張先の米沢で出会った上杉鷹山のこの言葉でした。
『人が何かを成し遂げようという 意志をもって行動すれば、何事も達成に向かうのである。 ただ待っていて、何も行動を起こさな ければ、よい結果には結びつかない。』

もともと教員志望であり、学校をつくりたいという気持ちもあり、教育をよくすることへの思いがありました。これまでは忙しいことを理由にして動けていない部分もありました。

前職ではキャリアアドバイザー(GCDF)の資格も取り、後輩の就活支援をしていたこともあるので、コーチングという自分の強みも生かして、社会課題になんとか関わることができないかと考えていたときに、『為せば成る、為さねば成らぬ何事も...』と出会いました。今こそ何かやらねばと思い、日本の学校教育の屋台骨である指導主事の課題に挑戦することに決めました。ライフワークにすると決めたのです。

教育現場の圧倒的なマンパワー不足を感じています。よい施策や授業も人頼みになっていて、持続可能性を感じません。学校も教育委員会も同じです。マンパワー不足になるしくみを変えていきたいといった大きな思いもありますが、まずはその一助になればと思っています。

いったんコアメンバーとともに、約半年走ってきましたが、まだまだ約150名程度のよちよち歩きの赤ちゃんコミュニティです。公教育の質的向上を目的に、全国の指導主事を応援したい皆様を応援団として迎え、全国の悩める指導主事の皆様に、勇気と知恵を授けたいと思います。ぜひ、お力添えよろしくお願いいたします。

そして、当コミュニティは、立場関係なくがモットーですので、ご興味ある方はお気軽に遊びに来てください。そして、お知り合いの、悩める指導主事をご紹介ください。ぜひ、皆さんで、日本の良い教育を目指してまいりましょう。」

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瀬川は「指導教育主事」という、教育をよくするために真摯に活動している方々がいることを多くの人に知ってほしいとも言っています。瀬川のモットーは「Have fun!」。これからもその言葉通りに、本業も会の活動もライフワークとして本気で取り組み、自分だけでなく自分に関わった人たちすべてが愉しく生き生きとできることを目指します。

瀬川 裕也

前職の人材コンサル会社時代には、就職支援塾を有志で立ち上げ母校の学生の指導を行う。現在は大学のキャリアセンターからのオフィシャルな依頼で面接指導なども行っている。
2012年ベネッセコーポレーション入社以来、自治体行政向けの教育コンサルタントとして、全国の自治体に対して教育の情報化と新たな学びの提案を推進。新規事業の立ち上げから、既存事業の見直し、教員向けの研修企画等も行う。

※2/23に別コミュニティでイベントに登壇予定。興味のある方は瀬川さんまでMessageをお願いします。

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最終更新日:2023年01月16日