【社員による社会貢献】仕事で得たSDGsの知識を子どもたちに還元

  • 社員の社会と共に行う活動

2022.12.01

ベネッセホールディングス ESG・ダイバーシティ推進部の課長である大石英司は、本業で得た知識を活かして、中学校でSDGsについての授業を行いました。今回はその様子をご紹介します。

CSR、サステナビリティの担当となったことがきっかけ

数年来「こどもちゃれんじ」事業での業務をしていた大石は、2018年に会社のCSR(企業の社会的責任)活動を担当する部署に異動しました。

その頃より、企業もサステナビリティについて検討し始め、ESGという言葉も使われて出しましたが、ベネッセグループではまだそんなに浸透していない状況でした。

大石は当時を振り返ります。

「ベネッセにとって重要なサステナビリティについて、自身もそして社員にも知ってほしいと様々な書物などで学んではいましたが、なかなか実感するのが困難であるということも感じていました。今でこそサステナビリティやSDGsについて学ぶ場は多くありますが、当時はあまり多くなかったと記憶しています。

そんな中で一般社団法人イマココラボの研修と出会いました。この研修は単なる座学ではなく、SDGsを体験しながら学べるゲームだったのです。約2時間位の研修に多くの企業の方が参加していました。

何よりも面白かったのです。感覚的にわかるにはゲームは重要と思い、これを社内でやってみたらどうか!とひらめきました。」

楽しく学べるイマココラボのSDGsカードゲーム

一般社団法人イマココラボのカードゲーム「2030 SDGs」は、知識を詰め込むものではありません。「なぜSDGsが私たちの世界に必要なのか」、そして「それがあることによってどんな変化や可能性があるのか」を楽しく体験的に理解するためのゲームです。

ゲームはチームでプレーします。現実の社会と同じような「大きな富を手に入れたい」「ゆっくりと暮らしたい」「自然を守りたい」など、チームそれぞれのゴールを達成するために、与えられたお金と時間を使って、プロジェクト活動を行います。

このプロジェクトを実行するには時間とお金が必要ですが、プロジェクトを成し遂げることで、時間やお金を獲得することもでき、新たなプロジェクトに挑戦できます。

ポイントは、プロジェクトが実行されると「経済」「環境」「社会」といった観点で作られている「世界の状況メーター」が変化することです。

つまり、どのプロジェクトを行うかで世界の状況が刻々と変わっていき、参加者全員が行うプロジェクトの結果、2030年の世界があらわれていく、という風にゲームが進んでいき、自身の行動が世界をつくっていくことを体感するわけです。

中学生の授業で使用したゲームの説明資料よりSDGs_teaching materials_FIX.jpg

SDGsを学ぶ側から教える側へ

イマココラボに社内でのゲーム研修の相談をしたところ、ベネッセ社員にファシリテーターの資格を取った人もいるし、自身でやってみたらというアドバイスをもらい、大石もファシリテーター資格の取得することになりました。

2日間にわたり、ゲームが作られた背景とファシリテーターとしての基本的な姿勢や動き方、ロールプレイングをみっちりと学び、無事資格をとることができました。 

ファシリテーターの資格を持つ先輩社員にも協力いただき、会社の幹部に研修しました。

この研修がきっかけとなり、グループ会社の東京個別指導学院の首都圏の教室長に対して研修を行うこととなりました。2019年11月、6日間にわたって、延べ250名が参加しました。

「東京個別指導学院の教室長250名の方が参加されると聞き緊張しましたが、みなさん熱心に聞いてくださり、ゲームは大いに盛り上がりました。

開催目的が、SDGsの理解を深め、講師や生徒さん達との会話の中で、自分の言葉でSDGsの事が語れるようになることを目指されており、とても素晴らしい取り組みだと思いました。私自身も大変勉強になりました。」

当時のようす:説明をする大石とゲームをする教室長たちtraining scene5.png

何を教えたらよいのかと悩む先生方の困りごとを解決 中学校での授業へ!

新しい指導要領では、総合的な学習の時間において、「一人一人が持続可能な社会の担い手として,その多様性を原動力とし,質的な豊かさを伴った個人と社会の成長につながる新たな価値を生み出していくことが期待される」といった記述があります。

中学生へのESD教育(持続可能な社会の創り手を育む教育)として、SDGsを正しく理解できることを、教員の先生方も模索されていました。中学校教育に知りあい(実は奥様)がいたため、大石に白羽の矢が立ちました。

「中学生に授業するにあたっては、色々と考えました。SDGsの根幹にあるのはやはり人口増とエネルギーや資源消費量の増加で地球に無理がきていることを抑えた上で、今回の授業の目的である

①なぜ、SDGsが私たちの世界に必要だったのか?
②SDGsがあることで、どんな可能性が生まれるか?

をしっかりと考えてほしかったのです。

だから振り返りをする時間を長くつくるなどの構成に留意し、イマココラボさんの提供資料に基づいて、オリジナルのワークシートも含む教材を整えました。」

使用した教材の一部SDGs_teaching materials FIX.jpg

授業を振り返って

・経済を発展させようとすると、環境や社会が全く発展しない。だが、みんなで協力すれば世界は変えられると気付いた。
・一人では変わらないからと言って、何もしないのはだめだと気づけた。
・自分のことだけを優先する時と周りをよく見て世界のことを考えた時とでは結果が大きく変わる。
・世界の現状に対して自分に関係のないことと目を背けない。まずは、色々なことを知ることから始めたい。

授業後の子どもたちからの感想を前に、大石は現在の思いを語ります。

「SDGsで言われている世界レベルの社会課題は、日常の中ではなかなか実感しにくい話題です。子どもたちが楽しみながら、このSDGsゲームの体験を通して感じた事は、子どもたちの将来につながる貴重な経験になると信じています。

現在はコロナ禍で学校に行くことはできませんが、今後機会があったらまた挑戦したいと思います。」

大石は、仕事でもプライベートでも、持続可能な社会のために自身ができることを考え行動し続けています。

大石英司

1991年ベネッセコーポレーション入社。通信教育や企業とのコラボレーションの業務を経て、現在はベネッセグループのESG強化の活動に従事。二女の父。多摩市に住み、祭りや地域のキャンプなど地域交流にも力を入れる。

最終更新日:2022年12月07日