「コンタクトセンター・アワード2023」オペレーション部門で最優秀賞を受賞 ベネッセ、TMJ、Hmcommと共同で音声認識AIを活用した取り組み成果を発表 1件あたり平均通話時間を1分短縮、年間200万件以上の問い合わせ対応を大幅効率化 「次世代型コンタクトセンタープロジェクト」での生成AIを活用したPoC・効率化も進行中
株式会社ベネッセコーポレーション(本社:岡山県岡山市、代表取締役社長:小林 仁)は、コンタクトセンターの相互研鑽と地位向上を趣旨とする「コンタクトセンター・アワード2023」において、オペレーション部門の最優秀賞を受賞しました。株式会社ベネッセコーポレーション、株式会社TMJ、株式会社Hmcomm3社共同で進めてきた、音声認識AIを活用したお客様窓口運営のコスト効率化とCX(顧客体験価値)向上に向けた取り組みが高く評価されました。今後はさらに、今年6月に立ち上げた「次世代型コンタクトセンタープロジェクト」での生成AI活用によるお客様の利便性・窓口業務の生産性向上の取り組みを加速・深化させて、2023年度中の実運用化を目指します。
「オペレーション部門 最優秀賞」受賞概要
発表テーマ:「お客様のエフォートレスとコスト効率化を同時実現 音声認識技術における現時点での最適解と今後の可能性」
活動内容:学びの多様化と、お客様からのお問い合わせの高難度化を受け、1件あたりの対応時間が伸長。加えて、繁忙期に向けたオペレーター育成効率と応対品質向上のため、音声認識AIを活用した成果事例を発表。音声bot活用による「本人確認の自動化」、オペレーター・スキルの再設計と品質「自動評価」の仕組み化に至るプロセス、試行錯誤の事例を具体的に説明。CX向上とコスト最適化への先進事例として、音声認識AIと人のハイブリッド対応の現時点での最適解と今後の可能性を示しました。
2023年6月から開始した「次世代コンタクトセンタープロジェクト」の実用化について
通信教育サービス「こどもちゃれんじ」・「進研ゼミ」に関わるお客様からの電話・チャット・メールなどでの問い合わせにお応えするため、全国7拠点、オペレーター2,000人以上の規模でベネッセがお客様窓口を運営しています。
今年6月より、ベネッセ、TMJ、Hmcommと3社共同で「次世代コンタクトセンタープロジェクト」を始動し、お客様からの問い合わせ対応や、窓口管理業務における生成AI活用のPoC(実証実験)を進めてきています。
今後も引き続き、各施策の狙いに応じてパートナー各社との連携体制を最適化しながら、年度内には窓口内利用の一部実用化と、お客様にとって「より早く、簡単に、エフォートレスに用件解決」できるサービス提供の実現に向けたPoCやプロトタイピングを重ね、「お客様の利便性」と「窓口業務の生産性」の飛躍的な向上の両立を目指します。
参考:ベネッセが、TMJ、Hmcommと、生成AIを活用した「次世代型コンタクトセンタープロジェクト」を開始
生成AI活用の主な実行項目
・お客様からの問い合わせ対応業務
①チャット、メールなどノンボイス(電話以外)ツールの対応範囲拡大:お客様の自己解決を促進し、入電を削減
②音声bot+生成AIでの一次対応:電話をおつなぎする前のお客様体験を向上
③応対中のオペレーター回答支援・作業代行:お客様の課題解決にオペレーターの人的パワーを集中
・窓口管理・サポート業務
①現行業務の徹底的なBPR(ビジネスプロセス・リエンジニアリング):ムリ・ムダ・ムラの標準化・平準化
②あるべきお客様窓口から逆算した運用再設計:AI+人のハイブリッド運営によるスリム化、付加価値業務への再配置
③オペレーターを下支えする窓口運用・管理の高度化:労働集約型組織からの脱却、プロフィットセンター化へのドライブ
PoC事例 音声botによる一次対応
お客様からの問い合わせ窓口において、電話がつながる前に音声botでお問い合わせ用件をプレ・ヒアリング、最適な回答候補を自動生成するPoCに取り組み中。中間成果として、回答精度9割以上という結果であるものの、回答スピードは平均5秒以上かかっており、プロンプトの改善などで大幅短縮を見込んでいます。
運用事例 顧客対応窓口における回答生成
お客様からの問い合わせメールへの回答文作成において「Benesse Chat」を活用。回答テンプレートが利用できないイレギュラーな問い合わせについて、これまでオペレーターがゼロから文章作成していましたが、Benesse Chatに要点を入力して回答案を自動作成。これにより1件当たりの平均対応時間を15分から8分へ短縮することができています。
表現に慎重さを伴うビジネスメールについても、一次案をAIが作成することで、「お客様に伝わりやすい文章を短い時間で作成できた」という声が現場のオペレーターから上がっています。
生成AI活用の実用化にあたり各社のコメント
株式会社ベネッセホールディングス専務執行役員 CDXO 兼 Digital Innovation Partners本部長 橋本 英知
「この3ヶ月のPoCにより、生成AI活用が生み出す成果が確実に見えてきました。速やかに実装しつつ、さらなる活用範囲の拡大のためのPoCを引き続き行っていきます。
今回の取り組みのパートナー企業である、TMJ様、Hmcomm様と共に、生成AIをはじめとする最新技術活用、さらに「人」だからこそ活躍できる業務領域を特定することで、さらなる生産性向上と顧客満足度向上の両立に努めて参ります。」
株式会社TMJ 代表取締役社長 丸山 英毅氏
「新技術をどう活用していくかという命題に向け、数年前から取り組んできた音声認識を活用する活動をベースにしながら、今期、次世代型コンタクトセンタープロジェクトの PoCをスタートさせました。PoCの成果として、お客様の利便性を上げることが出来るポイントだけでなく、実装に際して、AIの学習効果が途上の部分を人がカバーすることで、効果を高める勘所をつかむことができたと感じています。
今後は、お客様とのタッチポイントにおける生成AIの活用を更に広げるとともに、バックエンドの効率化を加えることで、品質と生産性の両面で納得度の高い提案を、クライアント企業へ提供してまいります。」
Hmcomm株式会社 代表取締役CEO三本幸司氏
「弊社は産総研発のベンチャー企業として、産総研独自の音声処理技術を基盤とした要素技術の研究/開発およびソリューション/サービスの提供を行っております。この度、音声AIソリューションのTerryとVoice Contactにおいてお客様のご要望に合わせて柔軟にカスタマイズを行う事で生産性向上に寄与致しました。現在進めている「次世代コンタクトセンタープロジェクト」においては、弊社の生成AI研究部門を含めた体制を構築しPoCを進めています。一定の効果が出ているものの課題も見えてきています。しかし、長年のAIの研究ノウハウから課題解決は可能と考えています。生成AIの登場により、コンタクトセンターにおける生産性向上の可能性は広がりました。引き続き生成AIを活用する「次世代コンタクトセンタープロジェクト」を進め、「お客様の利便性」と「窓口業務の生産性」の飛躍的な向上の両立を目指します。」
TMJについて
TMJは、株式会社福武書店(現・株式会社ベネッセコーポレーション)のインハウスコールセンターより独立分社化する形で1992年に設立。世界でも例のない継続型の会員制事業で培った生産管理、品質管理のノウハウを活かし、多種多様なクライアント企業のコンタクトセンターの設計・運営から、調査・分析、人材派遣、人材育成などのサービスを提供しています。2017年には、セコム株式会社の100%子会社となり、より強固で安全性の高いグループネットワークを活かし、クライアントビジネスの成功をサポートします。
Hmcommについて
2022年2月にベネッセと資本業務提携契約を締結。産総研発のベンチャー企業として、産総研独自の音声処理技術を基盤とした要素技術の研究/開発、ソリューション/サービスの提供を行っています。音声処理プラットフォーム「The Voice」と異音検知プラットフォーム「FAST-D」を基盤とし、「音から価値を創出し、革新的サービスを提供することにより社会に貢献する」を理念としています。データサイエンティストやエンジニアなど、AI開発にかかわる人材が多く所属しています。
ベネッセのDX戦略について
ベネッセは、「コア事業の進化」と「新領域への挑戦」を中期経営計画で掲げており、その両者に関わる中心的な戦略として「DXの推進」を位置づけています。これまでもベネッセは企業理念である「よく生きる」を実現するため、デジタルテクノロジーを活用した提供価値の向上に長年努めてまいりましたが、0歳からシニアまで幅広い顧客に多様なサービスを提供するベネッセでこれまで以上にDXを推進していくために、2021年春よりDigital Innovation Partners(DIP)という組織を社長直下に構築。情報システム部門、人財育成部門、DX推進のためのコンサル部門が一体となることで、中期経営計画の実現を牽引しています。
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