「自己肯定感」を育む関わり方~低・中・高学年別~

 逆境にめげず、いきいきと前向きに生きるために必要な「自己肯定感」。小学生時代はその力を育みたい時期です。お子さまの成長に合わせて自己肯定感を育む関わり方を、低・中・高学年別にカウンセラーの高木先生に伺いました。
※詳しくは「『自己肯定感』を育むには、小学生の今が重要!」をご覧ください。

【お話】
高木 紀子(たかぎ のりこ)先生
公認心理師、臨床心理士。清泉女子大学非常勤講師。小中学校や高校のスクールカウンセラーも務めるなど、園児から高校生までの保護者と子供、両方の相談を請け負っている。共著に『親だからできる5つの家庭教育』(ほんの木出版)など。

【低学年】
自己肯定感の土台をつくる時期
「自分を受け入れてくれる場所がある」と確信させて


 行動範囲も気持ちのうえでも、おうちのかたとの距離が近い低学年は、自己肯定感の土台を育む時期です。大切なのは、「何があっても、自分を受け入れてくれる場所がある」と確信できること。そのためにも、お子さまを「認める」「ほめる」声かけをたくさんすることをおすすめします。そのうえで「やってみていいんだよ」「失敗しても大丈夫だよ」と進んで物事に取り組む流れをつくるよう心がけていきましょう。そのための関わり方をご紹介します。

関わり方1:「決められたことが当たり前にできる」ことをほめる・認める。
 周囲からの期待が高すぎると、「やっぱりできない...」としり込みしてしまう子供も多いようです。まずは「決められたことがきちんとできればじゅうぶん」と考えて、今できていることをほめたり、認めたりすることが自己肯定感を育む第一歩です。「学校からのプリントをちゃんと手渡すことができた」「宿題のページをきちんと聞いて、そのとおりに教科書を開けた」など当たり前のことができたとき、「いい調子!」などと声に出して認めてあげましょう。
「すごいね」「さすがだね」「えらいね」などの単純なほめ言葉も、心に素直に届く時期です。「よーし、うまくやれているぞ!」とお子さまが自信をもって物事に取り組んでいけるよう導いていきましょう。

関わり方2:イヤなことがあったときは、家庭ですっきりするまで話せる環境をつくる。
 お子さまから「うまくいかなかった」「イヤなことがあった」という話を聞くと、心配のあまりすぐにアドバイスをしたくなりますが、まずはお子さまの気持ちをそのまま受け止めてあげることを心がけて。「そうだったの、大変だったね」など気持ちを話しても誰にもとがめられないこと、それを受け止めてもらえることを感じると、お子さまは安心することができます。この安心が自己肯定感の土台を形づくります。そのうえで「こんな言い方をしてみるのはどう?」などと解決のノウハウを伝えていくのもよいですね。

【中学年】
低学年で培った自己肯定感を軌道にのせる時期
会話を通して自己肯定感を確認し、「認める」「ほめる」関わりを続ける

 おうちのかたから少しずつ離れ、自分の世界をつくり始める中学年。低学年に比べると様子が見えづらくなりますが、まだまだ話を聞かせてくれる時期です。「自己肯定感が低いのでは?」など気になる様子が見られたら、まずは話を引き出して様子を確認し、認める・ほめる声かけを続けることで自己肯定感を高めていきましょう。

関わり方1:普段の会話で、自己肯定感をチェックする。
 「今日、学校どうだった?」などの会話でお子さまの様子を確認してみましょう。「授業でわかっているのに発言しない」「係決めで『どれでもいいや』と投げやりになる」など、進んで物事に取り組んでいない様子が見られたら黄色信号。お子さまとじっくり話をしてみることをおすすめします。

関わり方2:具体的な事実や、根拠を示してほめる・認める。
 お子さまと話をする中で、ほめたり、認めたりする声かけは引き続き大切です。とはいえ、中学年ともなるとあからさまなほめ言葉は心に響かないことも。「じっくり考えるのがあなたのいいところよね」「いいところに気がついたね」「2年生の頃に比べたら、ずいぶん計算が速くなったね」などと具体的な事実や根拠を示してほめたり、認めたりするのがおすすめです。

【高学年】
自己肯定感があるからこそ、自ら考えて動いたり、反抗したりする時期
言動の一つ一つに過剰に反応せず、待つ対応を心がけて

 反抗期に差しかかり、大人がとまどうような言動をするお子さまも増える時期。しかし一方で、自分を受け入れてもらえる確信があるからこそ、安心して反抗できるという面もあります。おうちのかたも大変な時期ですが、反抗は自己肯定感が順調に身についている証です。
 低・中学年に比べるとおうちのかたとの間に距離はできますが、家庭内での対応が自己肯定感を育むカギになることを忘れず、お子さまをほめる・認める声かけを続けていきましょう。

関わり方1:反抗されても真剣勝負はご法度。まずは受け止める。
 とまどうような言動に対して、売り言葉に買い言葉で対応しているとお子さまの自己肯定感を損ねてしまうことも。一歩引いて、「自分を自由に表現しても大丈夫なんだ」と思える余地を残してあげることを心がけましょう。そのためには、「すごいこと言うようになったね」「痛いところ突かれた~」などといったん受け止める姿勢が大切です。そのうえで「悲しくなるから、そんな言い方はしないでね」「私はこう思うよ」と家庭の考え方やマナーを伝えていきましょう。

関わり方2:子供に聞こえる所で第三者に話すふりをして、間接的にほめる・認める
 お子さまの様子が見えづらくなる分、声かけの機会も少なくなりますが、引き続きほめる・認める声かけを続けていきたい時期です。例えば、毎日の生活リズムに着目して「毎日決まった時間に机に向かえるといいなと思うんだけど、どう?」とお子さまにいったん決定をゆだね、それができたときに「うん、順調、順調!」と認めるなど、声かけをする機会をつくるのも手です。
 また、高学年は「自分はどういう人間なのか」を模索し始める時期。その分、本人に聞こえる場所でさりげなく「この子、○○なのよ。すごいでしょ」というほめ方をすると、効果絶大です。大人どうしの会話のふりをして「自分から決めて勉強するって言ってやっているんだけど、けっこう順調なのよ。大きくなったものね」「そうか、大したもんだな」などという話を聞かせると、お子さまも内心「そう思っているんだな。よしよし、いいぞ!」などと思うもの。間接的な関わり方でも自己肯定感を高め、良い自分像を構築していくサポートができます。

 小学生のうちは、おうちのかたが自己肯定感を育むキーパーソンです。お子さまの成長に合わせた関わり方を心がけ、自己肯定感を育んでいきたいものですね。とはいえ、「うまく自己肯定感が身についていないようだな」「関わり方を変えたほうがいいのかも...」と感じたら、いつからでも修正は可能です。その方法を「『自己肯定感』を高める関わり方~NG言動をチェンジ! ~」でご紹介しています。あわせてご覧ください。