どう関わればいいの? 高学年の反抗期

小学校高学年は「思春期の入り口」。声をかけても無視されたり、口答えされることが増えたりと、お子さまの変化にとまどうおうちのかたも多いのでは? 「もしかして反抗期!?」と感じるサインが見えたら、どう接すればよいのでしょうか。養護教諭の大谷由カ里先生にQ&Aでお答えいただきました。

<お話>
大谷由カ里(おおたにゆかり)先生
群馬県富岡市立南中学校養護教諭。小学校での養護教諭の経験も長く、群馬県総合教育センターでの特別研修員・長期研修員、群馬県養護教諭会理事などを歴任。

Q イライラ、つんつん...、この頃扱いにくいな、と感じます。どうして反抗的な態度をとるのでしょうか?
A 体や心の急激な変化に子供自身がとまどう時期。同時に、それを知られたくない気持ちも働くため、その葛藤が反抗的な言動となって現れます。
小学校高学年のこの時期は、「二次性徴」で体が急激に変化する時期。男の子は声変わりや精通が始まり、女の子は初経を迎えたり、乳房が発達し始めたりします。このような身体の変化と共に、心にも急激な変化が起こります。自我が芽生えて「自分はこうしたい」という意思が強くなり、これまでのように素直におうちのかたの言うことを聞けなくなって、反発したり距離をおいたりするようになるのです。
 ここで注意したいのが、子供も自分自身の急激な変化についていけず、これまでとは違う体や心の変化にとまどったり、不安を抱えたりしているということです。一方で「不安を人には知られたくない」という気持ちが働くため、イライラして最も甘えられる相手であるおうちのかたに感情の矛先を向けてしまうのです。これが高学年の反抗期の特徴です。

Q 子供の態度についムカッとしたり、親のほうが落ち込んだり、接し方に悩みます。どのように関わっていけばいいのでしょうか?
A 言動に一喜一憂することなく、大きな気持ちでゆったり構えていきましょう。
反抗的な言動は、親にとって悩ましいもの。でも、お子さまの言葉がそのまま本心というわけではありません。例えば「嫌い」という言葉も、本当におうちのかたが嫌いなのではなく、「今、干渉されたくない」という気持ちからきているだけ、ということも。
 また、「反抗しても自分のことを親は見捨てない」という信頼があるからこそ、安心して反抗しているともいえ、意外と家庭外での素行はよい場合もあります。
そのため「反抗期は親からの自立のためになくてはならないもの。永遠に続くわけではない」と、大きな気持ちでゆったりと構え、深刻になりすぎることなく乗りきることをおすすめします。

Q 男の子と女の子で反抗のしかたは異なりますか? 
A 言葉が乱暴になりがちな男の子、父親に反発する女の子。
男の子の場合は、親に対して気持ちを言葉で表現するのが苦手な場合が多く、「うざい」「ばばあ」など罵声になることがあります。言われたほうは腹が立つと思いますが、返す言葉は「ひどいよ、その言葉」「傷ついたな」くらいにとどめ、言い合いに発展しないようにしましょう。
 女の子の場合は、異性である父親に対して反発することが多いようです。「父親の衣類と一緒に自分の物を洗濯しないで」というお子さまも出てくる頃。また、母親に対しては直接言葉でぶつかってくることも。たまにはぶつかり合うのもOKですが、時には親として毅然と接し、お子さまの態度に振り回されないようにしてください。

Q つい自分もかっとしてしまい、子供とバトルになってしまいます。反抗期の子供に言うと逆効果な言葉や避けたほうがよい対応はありますか?
A 真っ向勝負は逆効果です。かといって、放っておきすぎない距離感を。
反抗期は、「自立の一歩」です。反発しているときに無理に近づいていくのは逆効果でしょう。頭ごなしに叱ったり、売り言葉に買い言葉で真っ向勝負をしたりすると、かえって事態がエスカレートしてしまいます。中でも口論の際に「いないほうがいい」などと、お子さまの存在を否定する言葉は禁句です。お子さまにとって、おうちのかたに愛されないほど苦しいことはないのですから。
一方で、「反抗期だから」「自立の一歩だから」と思うがゆえに全くかまわない、など放っておきすぎる対応も考えものです。お子さま自身も自分でどうすればいいのか悩み、つらい思いをしている時期なので、その気持ちに寄り添いながら、おうちのかたの考え方もきちんと伝えていけるとよいですね。そのためにはお子さまと同じ土俵に立つのではなく一歩引いて、いったんありのままの姿を受け止める姿勢が大切です。そのうえで、指図や命令にならないよう、「私はこう思うよ」というスタンスで必要なことをきちんと伝えていきましょう。

Qうちの子は反抗期がなく、かえって心配です。このまま反抗期がなくても大丈夫でしょうか?
A 反抗の現れ方や時期には個人差があります
 思春期のお子さまはおうちのかたから自立するために反抗的な態度をとりますが、そのような言動の現れ方や時期には個人差があります。うまく自己表現できないお子さまの場合、目に見える形での反抗にはならない場合があります。また、おうちのかたが気づかないうちにお子さまを抑圧してしまっている場合、おうちのかたの顔色をうかがっていて我慢をしてしまい、反抗したくてもできないということもあります。
 もし、お子さまに反抗期がないことが気になるようでしたら、おうちのかたご自身とお子さまを知るかたに相談してみるのも手です。専門の相談機関(地域の相談センターや子育て支援センターなど)を利用するのもよいでしょう。

 お子さまの反抗的な言動に思わずかっとしてしまったり、言われた言葉に傷ついたり、おうちのかたもとまどいがちな高学年の反抗期。命や体の危険があるときは本気で叱ることも必要ですが、そうでない場合は、お子さまの暴言はある程度受け流す、というゆとりをもてるとよいですね。口に出してしまいそうな言葉をいったん飲み込んで、頃合いを見計らってまた声をかけてみる、など試行錯誤をくり返しながらゆっくりとほどよい関わり方を見つけていきましょう。
とはいえ、お子さまを見守ること、待つこと、邪魔をしないことなど、対応する側にも忍耐が必要になる時期です。ときにはおうちのかた自身も気分転換をしながら、おおらかにこの時期を乗りきるようおすすめします。