高学年のストレス対処法 その1 ~ストレスを乗り越える力を育むには?~

 高学年になると、勉強や習い事、学校の課外活動などで忙しかったり、友達関係も複雑になったりなどストレスを感じることも増えるようです。そこで今回は、高学年ならではのストレス対処法を心理カウンセラーの袰岩先生にQ&Aで伺いました。

【お話】
袰岩 奈々(ほろいわ なな)先生
心理カウンセラー。不登校生徒やその家族の教育相談員などを経て「カウンセリングルーム・プリメイラ」を開設。学生、女性のカウンセリングや、企業・学校教育関係者を対象とした感情・コミュニケーションをテーマにした研修も多く実施している。現在、ハワイ在住。『〇のない大人 ×だらけの子供』(集英社新書)など著書多数。

Q 高学年が抱えるストレスには、どんな特徴がありますか?
A 精神面でストレスを抱える傾向がある高学年。
「助けてほしい」、でも「手を出してほしくない」と相反する感情をもっています。
 低学年のときは、「おなかがすいた」「疲れた」など理由がわかりやすくて、対処しやすいストレスが多かったのではないでしょうか。ところが高学年になると、自分と友達を比べたり、周りの目を気にしたりと精神面でのストレスを抱えやすくなるため、はたからは様子が見えにくくなります。そのため、おうちのかたは、わが子がストレスを抱えていることに気づきにくかったり、気づいても理由がわからず対処に困ったりしがちです。さらに、思春期に入って精神的に不安定になりやすいのもこの時期。自分の困った状態に「助けてほしい」と願いながら、でも親には「手を出してほしくない」といった、相反する感情を抱えているのが特徴です。
 大人であれば、これまでの経験から自分なりにストレスを解消することができますが、高学年はまだ、有効な解消法をもっていません。高学年は、ストレスと向き合いながら乗り越える対処法を学ぶ入り口にいる時期ともいえます。

Q ストレスを抱えている様子が見られるときには、どのように対応するのがよいのでしょうか?
A 自らストレスを乗り越える力を育みたい時期。心配のあまり介入するより、見守るスタンスが大切です。
 高学年は、自らストレスを乗り越える力を育んでいきたい時期。そのため、まずは見守るスタンスをとるのがおすすめです。自ら判断して行動できるよう、問題解決の決定権を子供に委ねてみましょう。アドバイスをする場合には、考え方に一貫性をもって対応してください。おうちのかたのぶれない意見を参考にできれば、子供も自分自身の判断を下しやすくなります。
 また、ストレスを感じていることを「親に知られたくない」と考える子供は多いものです。話したがらない場合は無理に聞き出そうとせず、「大丈夫?」と声をかけ「気にかけているよ」というメッセージを送りましょう。見守られていることを感じると、子供のほうから甘えてきたり、話しかけてきたりと、違う形で頼ってくることがあります。そのときには、優しく受け止めてあげてください。
 加えて、ストレスの原因に関係のない部分で元気の源を供給するのもよいですね。おいしい物を食べたり一緒に散歩したり、テレビを見て楽しんだり。「これをやると気持ちが楽になる」と感じれば、子供が自分なりのストレス解消法を見つけるヒントになります。

Q 口数が少なく、ストレスを感じているかどうかわかりません。ストレスを抱えているときのサインがあれば教えてください。
A 「いつもと様子が違う?」と感じたら、ストレスを感じている可能性があります。
 高学年は反抗期にさしかかる時期でもあり、イライラや精神的に不安定な様子がストレスのせいなのか、それとも反抗期特有のものなのか、区別がつきにくいものです。しかし、次のような様子が急に見られた場合は、おおむねストレスのサインと考えてよいでしょう。

・無表情になる(ぼうっとする)
・言動が乱暴になる
・反応が悪くなる(周りのことに無関心になる)

 また、なんらかの対処を考えたほうがよい場合が多いサインには、以下のようなものがあります。

・自分で髪を抜いたり、爪をかんだりなどの自傷行為をする
・「自分はダメだ」などの自己否定が激しい
・眠れない状態が続く
・食べない、または食べすぎる状態が続く

 髪を抜いたり爪をかんだりの行為は、ストレス解消のひとつの手段でもあるので、無理に止めないほうがいい場合もあります。また、同じようなストレスサインが見られても早急に対応が必要か、それともしばらく見守っても大丈夫かは、子供によって異なります。見極めポイントのひとつは、おうちのかたの「直感」。「いつもと違って、激しすぎるな」「これは、助けたほうがいいな」と感じたら、「大丈夫?」「何かあるなら相談にのるよ」などと声をかけ、一緒に対応を考えましょう。

 高学年のストレスに対しては、少し距離をとり、子供自身の力を信じて見守るのが基本のようです。適切な距離を保ちながらも、気持ちはしっかりお子さまに向けて、自らストレスを乗り越える力を育んでいきましょう。

 「高学年のストレス対処法 その2 ~ケース別対処法QA&体験談~」では、高学年のストレスのケース別の対処法と、先輩ファミリーの体験談をご紹介しています。あわせてご覧ください。