かけっこが速くなるコツ

 「かけっこが速くなりたい!」と思っているお子さまは多いのではないでしょうか。小学校体育の指導に詳しい白旗先生に、速く走るコツを伺いました。

【お話】
白旗 和也(しらはた かずや)先生
日本体育大学教授。小学校教諭、文部科学省スポーツ青少年局教科調査官などを歴任。文部科学省「小学校学習指導要領解説体育編」「幼児期運動指針」の作成にも携わる。体育の指導者を対象とした研究を進める傍ら、体育の苦手を克服する子供向けTV番組の監修や講演活動なども行っている。「小学校 これだけは知っておきたい新『体育授業』の基本」(東洋館出版社)など著書多数。

速く走るにはどうすればいいの?

 「低学年のお子さまの場合、速く走るには気持ちが大事です」と白旗先生。「かけっこって、がんばりやさんのほうが速いんですよ。最後まであきらめずに『力いっぱい走るぞ!』という気合いが、何より大切なんです」。また、「ようい、どん!」の合図に驚いて一歩引いてしまう子供もいますが、「スタートでは音をしっかり聞いてすばやく出ることが大事」と話します。低学年のおうちのかたは、「しっかり音を聞いてすばやく出ようね」「最後まで力いっぱい走ろうね』などの声かけで気持ちをもり上げてください。
 「気持ちをしっかりと『走る』ことに向けたうえで、ポイントをおさえて走れば速く走ることができるようになります。特に大切なポイントが、スタート時と、走っているときの姿勢です」。さっそく、そのポイントを見ていきましょう。

ポイント1 スタート時の姿勢 
腰をおとし、低い姿勢でスタートをきる
かけっこ①.JPG
 
 スタートでは、すばやくスタートすることが大切です。このとき、腰をおとしてやや前かがみの姿勢でスタートをきると加速しやすく、スピードに乗りやすくなります。立ったままスタートするスタンディングスタートでは腰を低くしてかまえ、スピードが乗ってきたら徐々に背筋を伸ばすのがコツ。しゃがんでスタートするクラウチングスタートでは、10m先に張られたゴムをくぐるようなイメージでスタートし、徐々に上体を起こしていきましょう。

 また、低学年の場合、走るリズムに入りやすいよう、スタート時に腕を動かすことでリズムをつかむのもおすすめです。「位置について」では右足と右腕を前に出してかまえておき、「ようい」で左腕を前に出し、「どん!」で左足を前に出してスタートするのです。「リズムに乗るので、ぐんとスタートがきりやすくなりますよ」。

ポイント2 走っているときの姿勢
かけっこ②.JPG

スピードに乗ってきたらやや前傾の姿勢になる

 走り出してスピードに乗ってきたら背筋を伸ばし、体を少し前に傾けましょう。背筋を伸ばしすぎてのけぞったり、前に傾きすぎてかがむような姿勢ではスピードに乗れません。「ちょうどよい傾き」をつかむためには、次のような練習をするのがおすすめです。

走っているときの姿勢をつかむ練習
 「ちょうどよい体の傾きは、『気をつけ』の姿勢で立って少しずつ体を前に傾けたとき、耐えきれなくなって足が前に出る瞬間の傾きです」。かけっこの前に、この傾きを体験する練習をして、傾きの感覚をつかんでおきましょう。

腕は直角に曲げて、大きくふり、まっすぐ走る
 「速く走るには、腕のふりが重要です。腕をふった分しか足は動きません。腕を大きくふると足も大きく前に出て歩幅が広くなり、スピードが出やすくなります」。肘を伸ばしたり、脇が開いていたりすると腕の動きが遅くなるので、脇はしめ、肘を直角に曲げるのが腕を大きく、速くふるコツです。
 また、速く走るにはまっすぐ走ることが大切です。右や左に体がぶれるとその分多くの距離を走ることになり、遅くなってしまいます。
 まっすぐ走るためにしておくとよい練習をご紹介しましょう。

まっすぐ走る感覚をつかむ練習
 まっすぐ走る感覚をつかむには、腕を体の後ろで組んで走る練習をするのがおすすめです。腕を使わずに、体がねじれないようにして走ることで、まっすぐ走る感覚がつかめるようになります。同時に、腕が使えないと思いのほかスピードが出ないことがわかり、腕のふりが重要であることも体感できます。
 さらに、まっすぐ走るためには、当然ですが、前を見ることが大事です。体は自然に視線の方向に向いてしまうもの。下を向いたり、よそ見をしたりせず、視線はまっすぐ前に向けるよう心がけましょう。


 「ポイントをおさえれば、誰でも速く走れるようになります。ただ、低学年のお子さまの場合は、成長のスピードに個人差があります。そのためおうちのかたは順位ではなく、走り方に注目してあげてください。『上手に腕がふれるようになったね』『歩幅がすごく広くなったよ』などとお子さまの努力を具体的にほめてあげることで、『次もまたがんばろう!』という気持ちがわいて、どんどん速く走れるようになっていくことでしょう」(白旗先生)。