どう伝える? 気になる高学年の「第二次性徴」Q&A

 高学年になると、個人差はありますが第二次性徴で体に変化が現れ始めます。家庭で話をしておきたいと思いながらも、「いつ、どうやって話せばいいのかわからない」といったおうちのかたの声もよく聞かれます。そこで、長年子供の性教育に携わっている岩佐先生に、子供の第二次性徴に関する疑問に答えていただきました。

【お話】
岩佐 寛子(いわさ ひろこ)先生
助産師。公益社団法人東京都助産師会世田谷目黒地区分会前会長。助産師として、妊娠、出産、産後をサポートすると共に、将来ある若い世代に「命の誕生のすばらしさ」「性に関する正しい知識」を伝えるため、幼稚園、保育園~高校で講師として性教育に積極的に取り組んでいる。

Q 学校で第二次性徴について授業があるようです。どのような内容を学習するのですか? また、家庭でサポートしたほうがいいですか?
A 3・4年生から保健の教科書にあわせて、体の変化や男女の違い、命の誕生や大切さを学ぶ学校が多い様子。ただ、いきなり第二次性徴を学び始めるのではなく、1・2年生から植物や生物の成長を通し命の成り立ちを学習したり、自分の名前の由来を知る機会を得たりしながら3・4年生への学びに発展させています。子どもの教科書を手にして、学習した内容を、家庭でもぜひ話題にして。

 学校(3・4年生)では主に、大人に変化する男女の体やその違い、プライベートゾーン※、子供ができるしくみ、さらに自分の体や異性を大事にすることなどを学びます。保健の授業だけでなく理科や道徳、総合的な学習の時間などを絡めて学ぶ学校もあるようです。
まずは保健の教科書を見てみてください。保護者世代では学校で学ばなかった内容も多いので、家庭での性教育の参考になります。担任の先生に、授業内容を尋ねてもいいでしょう。また、公開授業で取り上げる学校もあります。一緒に授業を受けるつもりで参加するのもいいですね。
学校で学習すると、家庭でもお子さまから第二次性徴についての質問が出やすいものです。これをチャンスととらえて、親子で第二次性徴について話し合ってみてはいかがでしょうか。お子さまの様子に合わせて話し合うことで、ただの知識ではなく「自分のこと」としてとらえやすくなりますよ。

※プライベートゾーン:水着で隠れるところ。プライベートゾーンは、人に見せたり触らせたりしないことなどを学びます。

Q 家庭では、いつ、どのように話をすればよいのでしょうか?
A お子さまが生まれてきたときのエピソードから話し、大人に近づく自分を大切にすることを伝えましょう。

 5歳くらいから「赤ちゃんはどこから生まれてくるの?」などの質問が聞かれてくると言われています。個人差はありますが、子どもから質問が出てきたときが、話を始めるのに良いタイミングです。子どもからの質問が出てこないご家庭では、第二次性徴がスタートする3、4年生頃が、話を始めるのによいタイミングです。一緒にお風呂に入ったときに体の変化に気づいたら、「そろそろ大人に近づいてきたかな?」などと切り出してみるのもよいでしょう。
何について話すかは、お子さまの興味のもち方で違ってきます。お子さまから質問が出たのであれば、それに答えながら話すといいでしょう。身体的な変化は、教科書や本を参考に「科学的」に説明すると話しやすくなります。親子で性のことは話しにくいと感じるならば、お子さまを妊娠したときや生まれたときのエピソードなどから話してみるのも手。「お父さんとお母さんが愛し合って、あなたが生まれたのよ」「あなたが生まれてうれしかった」などと、おうちのかたの思いを伝えてあげてください。こうした会話をきっかけとして質問を引き出していくと、お子さまが必要としている疑問に答えることができます。自分が愛されて生まれてきたこと、大切にされていることを知ると、性教育の大切なポイントである「自己肯定感を高め、自分を大事にする意識」が育まれます。

Q 友達やテレビなどの情報からか、ドキッとするような性についての質問があります。どう対応すればいいですか?
A 話をするよいチャンス。はぐらかさず、真剣に向き合ってください。返答に困ったら、絵本などを参考にするといいですよ。

 お子さまから性についての発言があると、親は焦りますよね。でもここではぐらかしたり、「そんなこと聞いちゃダメ」と叱ったりすると、「性」は悪いこと、話してはいけないことととらえてしまい、性について困ったことがあっても隠したり、ゆがんだ考えをもったりすることがあります。ぜひ「話すチャンス」ととらえて、真剣に答えてあげてください。質問に真剣に答えようとするおうちのかたの姿勢から、「これはおもしろ半分に聞くことではなく、大事なことなんだ」ということが伝わります。返答の前にやさしく、「どうしてそういうことを聞こうと思ったの?」と聞き返すのも手です。お子さまの返事を待つ間に、おうちのかた自身もいったん落ち着くことができます。答えに困る質問には、すぐに答えなくても大丈夫。「大事なことだから、ちゃんと調べてから答えるね」と伝えて、後で答えてあげてください。今は性を扱った子供向けの絵本や書籍がたくさんあるので、親子で一緒に本を読んでみるのもおすすめです。

Q 娘と息子がいる母親です。娘は同性なので話ができそうですが、男の子のことはよくわかりません。異性の子供のサポートのポイントを教えてください。
A 異性の子でもとまどわず接することで、体の変化を「やっかいなもの」「恥ずかしいこと」ととらえさせないことが大事です。もし困った場合には、学校の養護の先生に相談しましょう。

男子の関わり方のポイント
母親には話しにくいこともあります。可能であれば、父親など大人の男性が対応できれば、より具体的に話ができるでしょう。母親にとってとまどいやすいのが「精通」です。早いお子さまだと、小6で射精体験を迎えることも。事前に「朝、下着が濡れていることがあるよ」「濡れたら下着は軽く洗ってから洗濯機に入れてね」などと伝えておけば、お子さまも心の準備ができるでしょう。また、洗濯物をきっかけに自分の変化を母親に伝えたり、母親が息子の変化を知ったりすることができます。

女子の関わり方のポイント
お子さまの変化に対して、おうちのかたは「大人の女性に成長してきてうれしい」といった喜びを伝えてください。中には大人への変化に嫌悪感をいだく子もいます。そんなときは、まずは「今はまだ嫌なんだね」とお子さまの気持ちに寄り添いましょう。気持ちを「わかってもらえた」と感じれば、自分の変化を受け入れる余裕をもつことができます。また、小学校で月経が始まらないことを心配するご家庭もあるようですが、中学3年生くらいまでは待っても大丈夫です。焦らずゆったりとかまえ、その日を親子で楽しみに待ちましょう。

 お子さま自身もおうちのかたも、その変化にとまどう第二次性徴。ましてや、今はメディアやインターネットを通じて、子供たちのまわりにも性的な情報があふれている時代です。「だからこそ、お子さまが誤った情報に接する前に、正しい情報を伝えることが大切」と岩佐先生は話します。「小学生のうちに家庭で第二次性徴に向き合っておくと、親子で性の話をする下地をつくることができ、『困ったことが起きたら相談しよう』という安心感を育むことができます。直接的な性の話でなくても、家族の誕生時の話やテレビ番組、動物の交尾や出産の話でもかまいません。親子で『性』や『命』について話すことで、『あなたのことが大切』だから『自分のことを大事にして』というメッセージが伝わります。そのメッセージが、誤った性情報を見極め、性トラブルを回避するお子さまの力になるはずです」。
大人に向かう大切な成長を家族で喜び、大切なメッセージを伝えていけるとよいですね。

 一足先に第二次性徴を体験した先輩ファミリーが、ご家庭内でよくある悩みごとにどう対処したのか、体験談は、別記事「気になる高学年の『第二次性徴』 ~わが家の体験談~」をご覧ください。