子供とゲーム、どう関わるべき? ~後編~

 前編 では、今どきのゲーム事情と気をつけたいポイントについてお伝えしました。後編では、子供たちがゲームとの関係をコントロールして適切な距離を保ち、学習や毎日の生活を充実させていくための具体的なサポート法をご紹介します。

~サポート法①~
ゲームに費やしている時間を「見える化」する

 例えば、「ゲームばかりして生活サイクルが乱れる」といった場合、いきなり「ゲームの時間を減らしたら?」と言うより、「その日のゲーム時間を毎日記録につけてみようか」と提案してみることをおすすめします。さらに折れ線グラフにするなどして、時間の増減を把握し「自分がどこにどれくらい時間を使っているか」を見える化しましょう。
ゲームに夢中になっている子供は「大してしていない」と思いこんでいることも多いもの。記録をつければ毎日のゲーム時間がはっきりわかるようになります。そのうえで「学習時間がとれていないのが心配」「夜更かししすぎでは?」など心配している点を具体的に伝え、解決策を話し合いましょう。

~サポート法②~
ゲームとは違う「楽しいこと」を体験させる

 あんがい子供は暇だからゲームをしているだけなのかもしれません。が、暇だからといってゲームに手を伸ばしてばかりいると、それで暇つぶしができてしまい、結果的にゲーム以外の楽しみを見つけられなくなる、という負のループにはまってしまいます。例えば、せっかくの夏休み、お子さまの好きなことをご家庭で楽しむ時間をもつのはいかがでしょうか。マンガやスポーツなど、お子さまの得意な分野のイベントに参加してみるのもいいですし、ゲーム機やスマートフォンを置いて、キャンプに出かけるのもおすすめです。おなかがすいても自分たちで作らなければごはんが食べられない、といった非日常の状況が、協力し合う楽しさやがんばったあとの達成感などを感じさせてくれるでしょう。

~サポート法③~
ゲームの世界に寄り添ってみる

 ゲームをしている様子をよく観察して、ただなんとなくやっているのか、本当にゲームが好きでやっているのかを見極めてみましょう。最近、話題になっている「eスポーツ*」のように、ゲームをベースとして何かを発信したり、人とつながったりなど、ゲームをきっかけに現実の中に充実した世界が広がっていく可能性もあります。
 そのような場合には、大人の側が逆に「ゲーム」に対する見方を変えてみましょう。「ゲームを体験してみたいんだけど、教えてくれる?」と声をかけたり、おうちのかたもゲームに詳しいなら、一緒にゲームを究めてみるのもいいですね。子供の「好き」を否定せず、寄り添うことから「わかってもらえる」「共感してもらえる」という信頼感が育まれ、ゲームと適切な距離を保つためのコミュニケーションもとりやすくなることでしょう。

*eスポーツ:「エレクトロニック・スポーツ」の略で、コンピューターゲーム、ビデオゲームを使った対戦をスポーツ競技としてとらえる際の名称。

お子さまとの信頼関係の中で「自己肯定感」を育んで

 ゲームは人の心理をうまくとらえて、どんどん夢中になるように作られています。困難を乗り越えればやがて成功が与えられる、努力すれば認められ、すばらしいごほうびが待っている。うまくいくことばかりではない現実とは違う、その構造が子供たちを魅了する大きな要因となっています。ゲームにはまる子供が心配な場合には、このゲームのしくみを逆手にとって、現実をデザインしてみる意識をもつのもいいかもしれません。
 例えば、「水泳50m」「テストで満点」など、がんばってもなかなかできない目標がある場合。これまでの目標を少し下げ、努力すればできるようなレベルに設定し直して、成功の喜びを味わう機会をつくってみるのです。夏休みの学習計画が崩れがちなら、定期的に「楽しい予定」を計画に入れ込んで、「ここまでがんばれたらプールに行こうね!」「ここまでできたら今度は花火ね!」など、努力と報酬のメリハリをつけてみてはいかがでしょうか。
 このようなやり取りのベースには、常に子供を見守り、その存在をまるごと受け止める姿勢が欠かせません。まずはわが子が好きなことは何か、つまずいていることはないか、毎日の生活はうまくいっているか、など子供をよく観察してみることをおすすめします。そのうえで、がんばっていることについては結果が悪くても認めてあげる、努力に寄り添っていくなどして、お子さまとの信頼関係を深めていきましょう。そのようななかで芽生える「自分は大切な存在なんだ」という意識が、困難にあっても自分を信じてがんばりぬく「自己肯定感」につながっていくのです。この「自己肯定感」を土台にして、ゲーム好きな子供たちが現実世界の楽しさやおもしろさ、挑戦するすばらしさなどをしっかりと感じ取り、意欲的に生きる力を身につけることができればすばらしいことだと思います。

【お話】
藤川 大祐(ふじかわ だいすけ)先生
千葉大学教育学部教授。NPO法人企業教育研究会理事長。文部科学省「ネット安全安心全国推進会議」委員、内閣府「青少年インターネット環境の整備等に関する検討会」座長代理などを歴任。メディアリテラシー、ディベート、企業との連携授業などさまざまな分野の新しい授業づくりに取り組んでいる。『スマホ時代の親たちへ』(大空出版)など著書多数。