成績がアップする子供たちの共通点とは? ~後編~

学習サイクルを回すエンジンの要、
「自分を客観視する力」を育むサポート法

 前編では、子供たちが学習で成果を出していくためには、「自分を客観視する力」が大切であることをお伝えしました。この力は一般に、小学校高学年から飛躍的に発達するといわれています。そこで今回は「自分を客観視する力」が顕著に発達する前の低学年とまさに伸びドキの高学年に分けてサポート法を考えていきましょう。

低学年
 低学年は時間の概念もまだ身についておらず、遊びはいっぱいしますが、勉強は「なんとなく」こなしていることが多いもの。幼さも残っているので、「自分を客観視」することはまだ難しい状態です。そこで、「自分を客観視する力」そのものではなく、この力が伸びる土台を固めることを心がけていきましょう。そのためにまずおすすめしたいのが、「自分が今、何をしているのか」を意識させ、その行動をふり返る声かけをすることです。
 また、あわせておすすめしたいのが、自分の力を信じて行動できるよう「自己肯定感」と、やればできるという「自己効力感」を育んでおくことです。それには何かができたときほめてあげること、失敗しても励ましてあげることが大切です。「自己肯定感」と「自己効力感」は、自ら進んで物事に取り組むときに欠かせない力ですが、一朝一夕に身につくものではありません。低学年のうちからじっくりと時間をかけて育んでいくことをおすすめします。

〇1日の行動をふり返る声かけをする
「今日、学校であったことを教えて!」、おでかけのあとに「今日、どこで何をしたのかな?」など声をかけることで、「そのとき何をしていたのか」を言葉にして意識させ、生活の中で自分の行動をふり返って考えるクセづけをしていきましょう。

〇まるつけ・ふり返りを一緒にする
毎日の学習習慣は、低学年のうちに身につけておきたいもの。その際、おうちのかたが一緒にまるつけをしたり、ふり返ったりすることで、「答えを出したら終わり」ではなく、「まるつけをして、ふり返って、はじめて勉強が終わる」という感覚を育んでおくことができます。

〇「好きなこと」を思いきり楽しむ機会をつくる
好きなものを「もっと知りたい!」「やってみたい!」という気持ちは学習意欲の源です。そのためには、お子さまの「好きなこと」に注目を。動物が好きなら動物園に出かけてみる、サッカーが好きならサッカーのクラブを体験してみるなど、好奇心を刺激し、前向きな意欲を育みましょう。

〇自分で決めたお手伝いを担当させる
「新聞を取ってくる」「お皿を運ぶ」など、お子さまと話し合ってできるお手伝いをさせてみて。このとき、お子さまの意見を尊重するのがポイントです。進んでやろうとする自主性が生まれ、「自分が頼りにされている」と感じることで「自己肯定感」が育まれます。

高学年
 高学年は、「自分を客観視する力」が飛躍的に伸びる時期だといわれています。最初は「こうやったらどうもうまくいくみたいだな」というぼんやりとした感覚ですが、それを何度かくり返すうちに、徐々に自分を客観視しながら調整していく力が身についていくのです。また、高学年ともなると「やりたくなくても、やらなくてはいけない」ことも増えてくるもの。そのような状況を乗り越える原動力となるのが、低学年のうちに育んでおきたい「自己肯定感」です。  
 とはいえ、口答えや反抗など特有の扱いづらさも出始める時期。学習に直接関わること以外に、生活の中でふり返る力や「自己肯定感」を育んでいくのもおすすめです。

〇会話の中で、客観的な視点を育む
毎日、学校であったことをおしゃべりする時間は楽しいもの。そんなリラックスした会話の中でおすすめしたいのが、「なぜ?」「どうして?」と目的や理由を問いかけてみることです。この問いかけが、話を伝えるためには「何を、どんな順序で話さなくてはならないか」を考えるきっかけとなり、相手という客観的な視点を意識する体験を積むことができます。

〇身近な目標を設定する
学習でも、スポーツでも、ちょっとがんばればできそうな、でもがんばらなければ決してできない、身近な目標を立ててみましょう。「がんばったからこそ、できた!」という体験をくり返していると、「よーし、次もやってみよう!」と意欲がどんどん高まります。目標設定には、現在の自分と目標とを客観的に見極める力も必要となり、自然に「自分を客観視する力」と「自己肯定感」の両方を育んでいくことができます。

〇生活や学習のルールは、自分で決めさせてみる
「〇時から〇時まで勉強する」など、学習や生活のスケジュールをお子さま主導で決めましょう。「自分で決めたから」という気持ちが、主体的に物事に取り組む意欲につながります。うまくいかないときには、「今日は忙しくて、〇〇ができなかったね。代わりにいつやることにする?」などと声かけし、状況を客観的に見て自ら学習を調整する力が身につくようサポートしていきましょう。

〇結果ではなく、プロセスに注目する
自分を信じてがんばるための「自己肯定感」を育むには、結果ではなく、プロセスに注目を。たとえ結果が悪くても、そこに向かって努力した子供の気持ちに寄り添い、それを認める声かけを心がけていきましょう。そのためには、わが子が何をがんばっているのか、どんな工夫をしているのか、普段からよく子供とコミュニケーションをとることが大切です。

 成績をアップさせるだけでなく、低学年から高学年へ、さらに中学から高校・大学へと、伸び続けていくためには、「誰かに言われたから」ではなく、子供たちが自ら考え工夫して、学習に向かう姿勢が欠かせません。子供たちがどんなときでも自分なりのスタイルで、自信をもって学びを深めていけるよう、サポートしていきたいものですね。

【お話】
邵 勤風(しよう きんふう)
ベネッセ教育総合研究所 学び・生活研究室、主任研究員。
現在、小学高学年を対象として「『メタ認知』で自ら学ぶ力を育てる」をテーマに実証研究を実施中。子どもの成長とともに、「メタ認知」や子どもの学び方がどのように発達していくのか、またそれに対する保護者の関わりの影響を明らかにすることで、子どものよりよい学びや保護者の子育てに役立ていけるよう、研究に取り組んでいる