可能性を開くカギ  どう育む? 子供の「自信」

お子さまに、「どんなときにもくじけずに、前向きに人生を生き抜いてほしい」という願いをもつおうちのかたも多いのではないでしょうか。日々の生活を充実させ、逆境にめげることなく伸び続けていくために、欠かせないのが「自信」です。そんな「自信」を育む方法について、教育評論家の親野先生にお話を伺いました。

<プロフィール>
【お話】
親野 智可等(おやの ちから)先生
教育評論家。Twitter、YouTube、メールマガジン、ブログ、講演会、研修会等幅広く活動中。長年の教師経験を基に行うアドバイスは具体的ですぐできるアイデアが多いと評判を呼び、メディアや子育て中の保護者から圧倒的な支持を集めている。著書多数。動画情報は「親力チャンネル」で検索。
手が出て左向きCIMG0039 親野先生横幅400リサイズ済.jpg

自分を肯定する気持ちが、「自信」の土台を形づくる

【図版】自信.PNG
 上は、自信のある子供と自信のない子供の傾向を表したものです。これらの傾向からも読み取れるように、「自信」のある子供の行動は前向きであることが多いです。前向きにいろいろなことにチャレンジし、豊富な経験を積むことで可能性がぐんぐん広がり、将来にわたって伸び続けることができるのです。
 このような「自信」の土台となっているのが、「自己肯定感」です。「自己肯定感」とは、ありのままの自分を、短所も含めて「自分はこのままでいいんだ」「自分は大切な存在なんだ」と肯定する感覚です。「自分ならきっとできるからチャレンジしてみよう!」「目標に向かってがんばろう!」などという「自信」がある行動は、この土台があればこそ芽生えるもの。お子さまの「自信」を育むには、この「自己肯定感」という土台を意識することが大切です。

言葉かけが「自己肯定感」を左右する

 「自己肯定感」という土台を形づくるには、おうちのかたの「言葉かけ」がとても大切です。子供は、自分がどういう人間なのかを自ら認識することができません。周囲の人からのまなざしや「言葉かけ」で、「あ、自分って○○なんだ」と感じ取ることがほとんどです。そのため、「また××してないじゃない」「何度言ったらできるのかな」など否定的な言葉を浴びせられていると、「自分って、ダメな人間なんだ」と「自己否定感」でいっぱいになってしまうのです。これでは「自信」のもちようがありません。自分を肯定する気持ち(「自己肯定感」)を高めるためにも、肯定的な言葉かけを心がけていきましょう。そのためのコツをご紹介します。

「自己肯定感」を高める言葉かけのコツ
・存在を丸ごと肯定する言葉をかける
「○○ができたから」などの条件は抜きにして、「○〇ちゃんと一緒にいられてうれしい」「大好きだよ」など、子供の存在をそのまま肯定する言葉をかけましょう。誕生日などの機会に、生まれたときの話をしながら伝えたり、メールや手紙など文字にして伝えるのも手です。

・日頃から「ほめる」機会を増やす
ほめることができる部分を見つけてたくさんほめましょう。コツは、例えば「漢字の書き取り」の際には、漠然とただ全体を見てほめるのではなく、具体的に上手に書けた字を探してほめるなど、ほめることができる部分を探すことです。ほめられると子供はうれしくなり、前向きな気持ちになることができます。

・「がんばって」ではなく、「がんばっているね」の言葉をかける
「がんばって」と言われると、「今はまだがんばっていないと思われているんだな」と感じることも。たとえ結果が出ていなくても、子供は子供なりにがんばっているものです。そのがんばりを「がんばっているね」と言葉に出して認めてあげましょう。

・子供の好きなことを応援する言葉をかける
子供が何かに熱中しているときは、さえぎることなく応援を。たっぷりやって「誰にも負けない」ものができれば、他のこともできそうな気がしてくるものです。この感覚が「自己肯定感」を育みます。

お悩み解決!
「自信」がない子供、「自信」がありすぎる子供 タイプ別対処法

 前段でお伝えしたような関わり方をしていても、なかなか「自信」がもてていないお子さまや、逆に自信過剰で心配なお子さまもいることと思います。「自信」にまつわるさまざまなお悩みについて、親野先生にQ&A形式でお答えいただきました。

お悩み1.何かにつけ、マイナス思考が強めのわが子。習い事の進級テスト前にも「きっと合格できないよ・・・」とぐずぐずしています
A:まずは「自信」のない気持ちに共感してあげましょう。
 おうちのかたとしては、「もっと自信をもちなさい!」と言いたくなるのがこのタイプ。とはいえ、言われたからといって「自信」がもてるものではありません。まずは、「テスト前って不安だよね。その気持ち、わかるよ」などと、「自信」がないというお子さまの気持ちに共感してあげることが大切です。共感してもらえると、お子さまの気持ちは安定します。それを見計らったうえで「でも大丈夫! きっとうまくいくよ」と、背中を押してあげましょう。

お悩み2.性格的に慎重すぎるわが子。授業中に手を挙げたり、何かに立候補したりなどの前向きな行動がとれません。
A:今、目に見える「自信」より、土台となる「自己肯定感」を育てることに目を向けて。
 性格の長所短所は表裏一体。慎重なお子さまは、よく考えてから行動するので着実に歩みを重ねることができます。お子さまならではの良さに目を向けて「あなたはそのままでいいのよ」と見守ってあげてください。あわせて、お子さまが好きなものややりたいことを応援して、自分の世界をもたせてあげることをおすすめします。自分を認めてもらえること、「ここでなら自分らしくいられる」と思える世界があることで、「自己肯定感」が育まれます。やがて、それが「自信」ある行動となって現れてくるでしょう。

お悩み3.何かにつけ自慢をするなど自信過剰なわが子。このままでいいのか、心配です。
A:あおらず、否定せず、お子さまの気持ちをただ受け止めて。経験を重ねれば、自然に落ち着きます。
 小学生のお子さまにはありがちなことなので、心配はいりません。自慢しているときには、点数や順位に言及はせず、「がんばっていてすごいね」とうれしい気持ちにただ共感する、自信があったのにうまくいかなかったときには「残念だったね」と悲しい気持ちに共感するなどして、見守っていきましょう。いろいろな経験を重ねるうちに、「自慢をしていると、友達に引かれるな」などと人間関係的にも良くないことがわかってきます。自信過剰も自然に解消されていくでしょう。

お悩み4.プレ思春期にさしかかったわが子。「恥ずかしい」「カッコ悪い」と、チャレンジすることをイヤがります。
A:これも成長の一過程。まずはお子さまの気持ちにたっぷり共感し、その後アドバイスするのがよいでしょう。
 4年生後半くらいからプレ思春期に入るお子さまもいます。「恥ずかしい」気持ちも成長の一過程。チャレンジすることを強制するだけでは反発を招くこともありえます。まずは、「確かに恥ずかしいよね。やりたくない気持ちもわかるよ」などとたっぷり共感してお子さまの気持ちを受け止めて。その後、「もうちょっとだけがんばってみようか」「こうしたらどう?」などの励ましやアドバイスを入れていくことをおすすめします。

 初めてのことや難しいことにも進んでチャレンジできたり、逆境でもくじけなかったり、「自信」は、大人にとっても子供にとっても、なくてはならない大きな原動力となるものです。小学生の今は、おうちのかたとの関わり合いの中で「自信」を育むことができる貴重な時期。肯定的な言葉かけを心がけることで、お子さまの可能性を切り開くカギとなる「自信」を育んでいきましょう。

※この記事は、2021年3月に制作しています。新型コロナウイルスの影響による外出自粛等が続く場合、ご提案している内容が不適切となる場合もあります。その際は、お住まいの地域や個人のご事情等に合わせて、適宜、ご活用いただきますようお願いいたします。