高3になると、入試に向けて受験する科目に絞り込んで対策していきます。
そのため、多くの高校では、高2の12月までに、高3で履修する科目の選択希望を提出します。
この時、とりあえず得意な科目を選ぶという安易な考えは、進路を狭めてしまうなどのリスクがあります。
今回は、理科と地歴・公民で、どのように科目選択をすれば良いのか、傾向やデータなどを踏まえてご紹介していきます。
鉄則1 大学で学ぶ内容をベースに、必要な科目を見極める
大学や学部によって入試科目が異なるのは、高校で勉強しておいてほしい科目が異なるためです。
実際に大学で学ぶ際は、その学問の土台や知識として必要になる科目が入試科目になっていることがほとんどです。
以下にその傾向を示します。
文系学部では、例えば文学・語学・国際関係学などは、歴史の知識が必要なので、日本史や世界史の受験が求められることが多いでしょう。
なお、国公立大と私立大では、異なる傾向があるので注意しましょう。
理系学部では、各科目が入学後の研究の基礎となっていることが多く、文系に比べると科目の指定が多いのが特徴となっています。
鉄則2 文系が選ぶ地歴・公民、理系が選ぶ理科は、組み合わせを押さえる
では、具体的にどの科目を選択すれば良いのでしょうか。
まずは、文系での地歴・公民、理系での理科の選び方を見てみます。
国公立大の文系学部では、共通テストで地歴・公民から2科目を選ばせるところが多いですが、実は、相互作用で理解度が上がる科目の組み合わせがあるため、そうした科目を選んでいくのがオススメです。
日本史×政治・経済or現代社会
日本史の近・現代の内容は政治・経済や現代社愛と重なる部分が多く、勉強しやすいです。
世界史×倫理
世界史の文化史の中には、倫理の漂流思想や西洋思想が含まれるので、効率よく学習できます。
地理×政治・経済or現代社会
地理で学ぶ各国・地域の産業や経済は、政治・経済や現代社会の内容と重なる部分が多いです。
世界史×日本史
この2科目で多くの文系学部を受験でき、歴史全体を学習できますが、どちらも必要な知識量が多いため、負担が大きいのがネック。
以下は、2021年度の共通テストで、文系の人が選んだ地歴・公民の科目のデータです。
※ベネッセ・駿台データネット2021 成績概況より作成。
地歴からは世界史B、日本史Bを選んだ人が非常に多く、公民は現代社会が最も多いものの、科目間で極端な差はありません。
理系の理科は、大学で学びたいことが決まっている場合は、その内容に近い科目を2つ選択すればOKですが、大学・学部によっては選択不可の科目もあるので注意が必要です。
決まっていない場合は、物理と化学を選択すれば、受験できる大学の選択肢が増えます。
また、共通テストの理科には基礎科目と専門科目(基礎を付さない科目)があり、各大学・学部によって必要な科目数などが異なります。
【基礎科目】
・物理基礎
・化学基礎
・生物基礎
・地学基礎
【専門科目(基礎を付さない科目)】
・物理
・化学
・生物
・地学
そして選び方には、以下のA〜Dの4つのパターンがあり、理系で多いのはBとDパターンです。
志望大が決まっていない場合は、専門2科目が必要となるDパターンを選んでおけば、ほとんどの大学に対応できます。
データを見ると、物理、化学を選択した人が非常に多く、生物がそれらに続きます。基礎科目や地学を選んだ人はとても少ないことがわかります。
※ベネッセ・駿台データネット2021 成績概況より作成。
鉄則3 文系が選ぶ理科、理系が選ぶ地歴・公民は、負担の少ない科目を選ぶ
国公立大の場合、文系での理科、理系での地歴・公民は、共通テストでしか課されないため、お子さまにとって負担の少ない科目を選ぶのが良いでしょう。
文系では、先述した理科の科目のうち、基礎科目を選択すれば良いことがほとんどです。
昨年のデータを見ると、生物基礎を選んだ人が最も多く、次に化学基礎を選んだ人が多くなっています。
※ベネッセ・駿台データネット2021 成績概況より作成。
一方、理系が共通テストで選ぶ地歴・公民の科目は、地理Bが圧倒的に多く、他に日本史Bや現代社会などを選ぶ人が多いという結果が出ています。
※ベネッセ・駿台データネット2021 成績概況より作成。
もちろん、お子さまの行きたい大学、やりたいことをベースに科目を選択することがいちばんですが、悩んでしまった時は、ここでご紹介したデータなどを参考にしてみてください。
ただ、大学・学部によっては受験できない科目や、科目の指定があるので、その点には注意しましょう。
高2の保護者の方はもちろん、高1の保護者の方も、お子さまが受験する可能性がある大学について早めに調べ、科目選択をサポートする準備をしておくと良いですね。