いろいろと不安定な今年ですが、例年、夏休み前には三者面談が行われ、第1志望大など受験希望について高校の先生と確認し合います。三者面談までに親子で準備して話し合っておくべきことはなんでしょう? いつものように編集室の高3保護者2名が「進研ゼミ」進路情報センター長にぐいぐい質問していきます!
準備1 志望大を決めるときの優先順位や条件を共有!
編集M 三者面談! まだ今年はどのように行われるか学校からはご連絡をいただけていないのですが...。事前に子どもと決めておくべきことを確認させてください。
先生の前で親子の意見が食い違ったり親子ゲンカをしたりすることは避けたいです(笑)。
センター長 はい。大事なことですね。三者面談の場で親子の進学観にギャップがある場合、多くは本音で話し合えていないことが原因です。
まずは先生が立ち入れない「家庭の事情」はお子さまに先に伝えておいた方がよいですね。
編集I たしかに。本人は「県外の大学に行きたい!」と思っていても、保護者は「一人暮らしはお金がかかるし、地元の大学に進学してほしい」と考えていたりする場合がありますよね。
センター長 今年は特にコロナによる経済・環境的な変化も起きているため、ご家庭によっては費用面の事情や「手に職をつけてほしい」「都心ではなく地元で学んでほしい」など価値観が変わっているかもしれません。
それまで「自分の好きなように進路を選んでいいよ」とずっと言ってきたけれど、方針に変化があるのならお子さまに本音を伝えるべきです。ただし押しつけにならないよう、お子さまの意見は尊重して対等な立場で話すことが大事です。
編集M どんな感じで伝えるのがよいですか?
センター長 費用面に関しては「経済的に厳しい」と伝えるだけではなく「自宅から通うなら私立大でも大丈夫」とか「併願大は2〜3校までにしてほしい」とか具体的な条件を共有することで、お子さまもぐっと考えやすくなります。
また、保護者に「1校しか受けてはダメ」「国立大しかダメ」「浪人はダメ」と1回でも言われると、そのまま信じ込んでしまうお子さまもいます。なかには大学進学自体をあきらめてしまう子も。本気ではなく頑張らせようとしてそう伝えてしまっていたのであれば、「併願大は受けてもいいよ」「自宅から通えるなら私立大でもいいよ」など、真面目なお子さまを追い詰めないように、しっかり本当の方針を伝えてあげてくださいね。
編集M たしかに。子どもは子どもで親の経済状況など意外と気を遣っているものですよね。その意味でも具体的な条件を伝えるのは大事ですね。
センター長 そうです。そうした事情をちゃんと伝えたうえで、大人同士としてお子さまの目指す方向を話し合って決めていただきたいです。
対等に話し合うことでお子さまの受験への「本気度」や当事者意識が変わってくるはずです。
編集M 志望大を決めるときの前提条件や優先順位で、子どもと事前に確認して話し合っておくべきことはなんですか?
センター長 親子で話し合っておくべきことの例をチェックリストであげておきます。ぜひ話し合っておいてください。
準備2 第1志望をお子さまが決める!&保護者はフォロー
センター長 さて三者面談では第1志望大を聞かれると思いますので、お子さまの第1志望大をしっかり共有して臨みましょう。
編集M いくつか志望大として候補は思い浮かんでいても、第1志望と言われると今年は新入試による変更やコロナの影響で、まだ決めきれない子もいるんじゃないかと思います。
センター長 そうですね。まだ決めることができなくても、例えば模試の受験時に書いた大学があれば、それらの中から考えるのもよいと思います。また、AとBのどちらかで迷う場合などは、進学した際のメリットをそれぞれに書き出していって、納得のいく方を選ぶ、という方法もあります。
編集M 本人の成績とのギャップがかなりありそうな場合はどうすればいいですか??
センター長 志望大との実力にギャップがある場合は、こだわりの強さや本気度を確認したうえで、お子さまの挑戦を応援しましょう。
編集M そのギャップをどう埋めるつもりなのか、子どもに確認したほうがいいでしょうか?
センター長 本気の第1志望大であれば、言わなくてもお子さまは受かるための計画を自分で立てるはずです。
保護者としては「何か私たちに今後の勉強面でサポートできることがあったら言ってね」など声かけするぐらいがよいと思います。
編集M うっかり問い詰めないように気をつけなくては(笑)
編集I うちの高校では、三者面談のタイミングで、休校中に自宅で受けた模試の結果が戻ってくるんですよね〜。
センター長 そういう地域もあるかもしれませんね。もし第1志望大の判定がE判定であっても、お子さまが「挑戦したい」という強い気持ちを持っているのであれば「まだまだいけるよ」と保護者から言ってあげたいですね。志望を貫く意志が固い生徒ほど、秋以降に伸びるものなんです。
準備3 推薦を受ける? 併願大をどうする? を決めておく
編集M 推薦に関しては、どんなことを事前に話し合っておくべきですか?
センター長 まず、前提として総合型選抜も学校推薦型選抜も確実に合格できるわけではないことを押さえておきましょう。
そのうえで、並行して一般選抜用の勉強も進めていけそうか、また万が一ダメだったときでも、さっと気持ちを切り替えて一般選抜に向けて受験勉強できるかどうか? などよく考えて検討することをおすすめします。
編集M 推薦と一般選抜の準備を両方進めるのはけっこう大変と聞いています。
センター長 ただ、とても行きたい第1志望大・学部が推薦型の選抜を行っている場合は、受験機会を増やすことを考えて推薦を受験するという前向きな選択もありますよ。
編集I たしかに推薦と一般の2回の受験チャンスを得られるってことですものね。
......ところで三者面談で、指定校推薦のとれる大学を先生からすすめられる、ってこともありえますよね?
センター長 そういう話が出てくることは考えられますね。
編集I ...そうなると指定校推薦のほうが合格率も高く早く受験が終わりそうなイメージがあるし、これまで子どもがめざしてきた第1志望大をやめるのかどうか、悩ましくなってしまうかもしれません。
センター長 そうですね。その件も可能性があるなら、事前にお子さまと検討しておく必要がありますね。重要なのは、お子さまが志望する大学・学部・学科なのか、です。保護者としては「早く受験のプレッシャーから解放させてあげたい」という面もあると思いますが、受験もお子さまを成長させる機会の1つですので、まずはお子さまの意志を尊重することが大切だと思います。
編集I 三者面談前に子どもに「もし先生に指定校推薦をすすめられたとき、第1志望を貫く?」って確認してみます。親が子どもの受験から解放されたがったらダメですね。子どもの第1志望を貫く気持ちを応援しないと。
編集M 併願大については、何を話し合っておけばいいでしょう?
センター長 1つには、先ほども触れましたが併願大を何校まで受験可能かをお子さまに伝えて決めておきましょう。
2つ目は、併願大を今の時点の実力で決める必要はありません。目標の第1志望大のレベルに合わせて、バランスをみて考えることが大事です。
編集I 今の実力で探すのではないんですね。
センター長 それともう1つ、今年は最近発表されたコロナによる影響を加味した文部科学省の「大学入学者選抜実施要項」の方針にそって各大学の入試要項が変更される可能性もあるので、併願大を選ぶ際には受験科目や受験方法、英語の検定活用の有無など、大学の公式サイトに掲載されている最新の情報を必ず確認していただきたいです。
編集I 上のお子さまがいるご家庭では、お兄ちゃん、お姉ちゃんのときと受験方法は全く同じ、と考えて併願大を選んではダメってことですね。
センター長 ええ。これからまさに各大学の入試要項が7月末までに発表されていきますので、チェックしていくことが大事です。変則的な学校のスケジュール、定期テスト、模試.などで、お子さまは現在とても忙しいと思います。三者面談の準備も兼ねて保護者の方も情報面でのサポートをぜひしてあげてくださいね。
まとめ
いかがだったでしょうか。三者面談に向けた親子の意見交換は、お子さまの目標や不安を家庭内で共有する大事な機会でもあります。
お子さまが安心して第1志望合格に向けた受験に挑めるように、お子さまの自主性を尊重したり、不安な気持ちに寄り添ったりしながら、率直にお子さまの進路について話し合ってみてください。