【進路相談の現場から】入試問題の難易度に振り回されず、最大限の力を発揮するには?

首都圏の高校入試が終わり、相談ダイヤルの現場には毎日続々と合格の第一報が寄せられていますが、実は合格発表の前にも多くのお問い合せをいただいています。
多くの受験生は入学試験のあと新聞などを活用して自己採点を行うわけですが、ここで気になるのが入試問題の難易度です。今年の数学の問題はどうだったのだろう?自分としてはまずまずだったけど、みんなはもっとできていて平均点が大幅に上がったらどうしよう...など不安は尽きないものです。今回は入試問題の難易度について考えてみたいと思います。
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入試問題の難易度は毎年変わる!

よくある保護者からの質問の一つが、「昨年度の理科はかなり難しかったので、今年は易しくなりますよね?」といったご質問です。

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入試問題の目的・機能には、中学校での学習成果を測定する「教育的な観点」と、合格者を決めるための「選抜の観点」があります。「教育的な観点」で言えば、どの分野・領域からもまんべんなく出題することや、基本から応用・発展まで幅広い設問を用意すること、また解答の形式も選択式から記述問題まで多様な問題を出題することなどがそうでしょう。

しかし、一方で「選抜の観点」も重要です。例えば、平均点が30点など、極端に問題が難しい場合には、受験者の多くが低得点に集中してしまいあまり得点の差がつかないこともあります。逆に、問題が易しすぎる場合も、上位で満点が続出してしまい得点の差がほとんどつかない場合もあるでしょう。これに時間的な観点(試験時間内でだいたい解答できる程度の大問数・小問数)や試験問題の印刷上の配慮や制約(文字の大きさや各ページの配置など)も含めると、平均点のコントロールは言うほど簡単ではないのです。

また、近年は「思考力・判断力・表現力」を問う出題も増えてきています。これらの問題は、これまでもよく出題されているパターン的な問題ではなかなか対応できないため、出題形式や素材も含めて新傾向の問題になってくることが多くなります。そして、作問者にとっても、新傾向問題の正答率は予測しづらいものです。

前出の「平均点がどうなるのか?」のご質問に対しては、近年は「思考力・判断力・表現力」を問う問題も多いため、出題形式、内容、素材のテーマなどは多岐に渡り、必ずしも傾向や難易度は一定ではないことを話します。形式も難易度も毎年変わる可能性があるという前提で、過去の出題傾向だけに限定せず、幅広い入試問題の演習を行っておくことをお勧めします。

模試や入試本番で大事なのは、難しい問題に振り回されないこと

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ここでちょっと視点を変えて、受験生の気持ちを考えてみたいと思います。上に大阪府の公立高校入試の平均点推移をグラフで示していますが、公立高校の入試問題においても、年によって難易度(平均点)がかなり低い年があったり、正答率1~2%の難問が出題されたりすることも珍しくありません。

多くの受験生にとっては初めての入試です。緊張するのは当然のこと、そして試験中は次々と不安に襲われます。途中までは順調に解いていた子も難問に遭遇すると「こんな問題見たことない」「過去問にはこんなのなかった」「どうやって解いたらいいか全く思いつかない」「解けない」「もうだめだ」という思考になってくることもあります。場合によっては、いわゆる「頭が真っ白になる」「そのあとの教科は何を答えたのかさえ覚えていない」というケースも聞きます。

難問はともかく、自分ができる問題までできなくなってしまうのはもったいない話です。特効薬はありませんが、解けなければ後回しにして比較的すぐにできそうな問題を先に解く、ことに尽きるでしょう。ところが、まじめにコツコツ勉強してきた受験生ほど、驚くほどこれができない。ここに制限時間内で合格点を取れるかどうかの鍵があるように思います。

入試の得点を決めるのは必ずしも学力だけではない!

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実は、入試直前に保護者の方からのご依頼で、受験生を激励することもあります。私が必ず伝えていることは2つあります。「難問に遭遇したら...」という前提です。

(1)自分にもできることはあると粘る!
その難問を完璧に解くことは難しいでしょう。でも、問題をよく読んで、記述なら書けるところまで書いてみる、いくつか小問がある中で最初の問題だけは解いてみるなど、自分にできることが一つはあるはずです。粘り強く取り組む意思が大切なのです。
(2)自分ができないのなら、みんなできないと考える!
試験のときに答案用紙に正解が浮かんできたらいいな...というのは小学生の発想かもしれませんが、私は「正答率をあらかじめ知っていたら、かなり解きやすくなるな」と思うことがあります。でも残念ながら、正答率は結果なので試験中の受験生にはわかりません。だから心理戦になるのです。たいていの受験生は、自分なりに受験勉強を頑張ってきたはずです。その自分が「すごく難しい」と感じる、のなら周囲の受験生もきっと苦戦しているに違いない、おそらくはみんなできないはずだ、と考えること。つまり、あまり時間をかけ過ぎずに開き直って次の問題に進むということです。

(1)で粘り強く取り組むこと、(2)で開き直ること、と一見矛盾したことを述べているようですが、受験生にはどちらも必要な考え方だと思っています。状況に応じて気持ちや考えを切り替えることは、高校入試はもちろんその先の人生でも生きてきます。

合格を左右するのは難問にぶつかったときに実力をどこまで発揮できるか

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私は塾にいた時代も含めて、高校入試に関わる仕事を30年やっていますが、最近思うのは、同じ学校を受ける受験生の学力にそこまで大差はないということです。もちろん、受験生Aは数学の関数が得意だとか、受験生Bは国語の記述が苦手だ、という個人の違いはあるでしょうし、実際に最上位と最下位の得点差はそれなりにあります。しかし、学力が圧倒的に違うとは考えにくいのです。

高校受験では便宜上、内申点や偏差値を使って志望校合格の妥当性を測りますが、同じ学校には同じくらいの成績・学力の受験生が集まってきます。受験校が決まった時点で、実は1回選ばれているともいえるかもしれません。

よって、多くの受験生は合格できる実力は十分あると考えます。一方で、自分の実力をどこまで発揮できるかは個人によってかなり違うように思います。小学生よりは成長しているとはいえ、高校生や大学生ほどではない。まだまだ成長期の中学生にとって、気持ちの持ち方や発想の転換、そしていざ難問にぶつかったときに、できるだけ動揺せずうまくかわしていく思考も合格点獲得のための重要な要素であると考えます。

<筆者プロフィール>
進研ゼミ高校受験総合情報センター センター長 浅野 剛
元首都圏大手進学塾高校入試担当部長、入試情報統括を歴任。25年以上にわたって受験指導を行い、多数の生徒を志望校に合格させてきた高校受験のエキスパート。現在は、入試説明会の講演をはじめ、中学校での進路講演なども担当。



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