【進路相談の現場から】「倍率」に振り回されず冷静に出願校を決定するには?

進研ゼミ「中学講座」の会員限定サービスである「保護者向け個別相談ダイヤル」に日々寄せられる声をもとに、志望校合格にむけたアドバイスをお届けするこのコーナー。今回は神奈川県公立高校入試を例に高校入試における「倍率」について進研ゼミ高校受験総合情報センター センター長の浅野が解説します。

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受験生にとって志望校の倍率はとても気になるものです。実際の入試の倍率は願書が提出されてから公表されますが、都道府県によっては進路希望調査(志望校調査)などの結果を事前に教育委員会のWebサイトや新聞などで公表することもあります。
何にしても倍率が高い・低い、今年は昨年と比べて倍率が上がった・下がったなどは、ちょっとしたうわさ話も含めて受験生や保護者にとってはこの時期最大の関心事になることでしょう。今回は、倍率について解説していきたいと思います。

倍率にもいろいろある!

用語には国内統一のルールがないため、どう呼ぶかは都道府県によっても異なりますが、志願・最終志願・受験・合格発表などのタイミングによって倍率の意味は異なります。

《志願倍率》
応募倍率などと呼ばれることもあります。志願者数÷募集定員で計算されます。志願変更ができない選抜の場合には、この志願倍率をもって「倍率」とすることが多いです。
《最終志願倍率》
最終応募倍率、確定倍率などと呼ばれることもあります。推薦入試などは志願変更ができませんが、一般入試であれば志願変更ができることが多く、志願変更が終了した後に、最終志願者数÷募集定員で計算します。受験する学校が確定するので、「志望校選択」という意味ではこれが倍率の代表的なものとなります。
《受験(検)倍率》
受験者数÷募集定員で計算しますが、地域差が大きいところです。首都圏など(特に東京)は私立高校も多く、他校への進学決定などを理由に公立高校の入学試験を欠席するケースも多々あります。一方でその他の地域では入試を欠席するのはよほどの事情がある場合だけで、最終志願指数と受験者数はほぼ同じです。よって、受験者数や受験倍率は公表されない地域もあります。
《実質倍率》
一般的には受験者数÷合格者数で計算します。欠席や辞退などが多い首都圏、特に東京においては意味を持ってきます。(受験倍率のことを実質倍率と呼ぶこともあります)

倍率上昇=人気上昇ということなのか?

確かに、新学科・新コース、進学実績、制服、校舎・施設、部活動などさまざまな要因により地域の中学生からの人気が高まり、結果として受験者が増えて倍率が上昇することもありますが、必ずしもそれだけが要因とは言い切れません。
倍率が上がる要因として、募集定員の減少もあります。クラス数が1クラス減となり定員が40名減ったのに、志願者数が変わらなければ倍率が上がってしまうのです。

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「倍率が低い」高校を受験した方が合格しやすいのか?

進路相談においても「実力相応のB高校は倍率が高い。しかし自分の成績では挑戦になるA高校は倍率が低い。ということはA高校に変えた方が合格しやすいですよね?」というご相談があります。
自分の志望校が他と比べてあまりにも高倍率だったりすると、(学力レベルは無視して)倍率の低い学校にすれば合格できるに違いない・・・といったことも考えたくなりますよね。気持ちはわかりますが、冷静な判断が必要です。
合格できるかはその高校に出願している人の中で内申点・入試の得点などの成績で決まります。A高校の方が受験する生徒の学力が高ければ、いくら倍率が低くても、受験者の中の位置は下の方、ボーダーギリギリということもあり、一概に倍率が低い方が合格しやすいとは言えません。
一方、前述のA高校とB高校を受験する生徒の学力レベルがほぼ同じ場合には、倍率が低い方をすすめることもあります。
これらの判断はケース・バイ・ケースですので、丁寧に見極めていく必要があります。受験生本人の気持ちや志望動機、ご家庭の方針など考慮すべき点は多々ありますので、ぜひ<保護者向け個別相談ダイヤル>にご相談ください。

「受験者が増える」と自分は合格できないのか?

倍率から合格可能性を考える際のポイントは2つあります。一つは、自分が想定される受験者全体の中でどの位置にいるのかということ。もう一つはどの学力層の受験者が増加したのか、ということです。
自分が、想定される受験者全体の中である程度上位にいるのであれば、自分よりもさらに上位の受験者が増えたとしても合格圏外へ押し出されることはあまり考えられません。そしてある程度上位にいるのであれば、自分よりも下位の受験生がいくら増えたとしても、自分にはあまり関係ないということになります。
しかし、ボーダーライン付近つまりギリギリの位置にいるのであれば、自分より上位の受験生が数名増えただけで、合格圏外へ押し出される可能性があります。あくまでも自分の学力と全体の中での位置によるということです。

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「倍率が上がる」と合格者の平均点が上がるのか?

さまざまな要因により、倍率が上がった年に合格者平均点があがることも起こらないわけではありませんが、合格者の平均点はそれほど変化しないことが多いのが実情です。
公立高校入試においては、ある学校を受験する「中心的な学力層」というのは毎年それほど変わらないので、極端なことは起こりにくいのです。
ただし、ボーダーライン付近は様子が異なります。最上位から所定の得点順に並べたときに、倍率が高い年はボーダーライン付近にも意外と高得点者が残っていることもありますし、反対に倍率が低い年はボーダーライン付近の合格者の得点がかなり低いこともあります。特に定員割れの年の合格最低点は例年よりも極端に低いことがあるので、参考にしない方がよいと思われます。

要するに、自分の位置がギリギリでなければ、倍率が上がった(受験者数が増えた)からと言って極度に怯える必要はなく(もちろん、適度な緊張感は常に必要ですが)、自分の実力をしっかり発揮すれば合格の可能性は高いということです。

大切なのは「倍率」にふり回されないこと

入試直前になると、この「倍率」がうわさ話とともに一人歩きすることが多く、倍率が気になって勉強が手につかないということもあるかも知れません。ただ冷静に考えれば、倍率が何倍になろうと定員の分だけは必ず合格できるわけで、実力さえあれば大きな心配はいりません。倍率を考えて悶々とすることは、残り時間の一分一秒を争う受験生にとってはとてももったいない話です。
受験生であれば自身の合格に向けて有利になりそうなことをいろいろと考えたくなる気持ちは理解できますが、受験生にとって有利なことはただ一つ。最後の一日までしっかり勉強に取り組んで得点力を1点でも上げることなのです。

<筆者プロフィール>
進研ゼミ高校受験総合情報センター センター長 浅野 剛
元首都圏大手進学塾高校入試担当部長、入試情報統括を歴任。25年以上にわたって受験指導を行い、多数の生徒を志望校に合格させてきた高校受験のエキスパート。現在は、入試説明会の講演をはじめ、中学校での進路講演なども担当。



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