【進路相談の現場から】内申点を加味しない選抜で合格を狙うことはできるのか?

進研ゼミ「中学講座」の会員限定サービスである「保護者向け個別相談ダイヤル」に日々寄せられる声をもとに、志望校合格にむけたアドバイスをお届けするこのコーナー。今回は神奈川県公立高校入試を例に高校入試における「内申点」について進研ゼミ高校受験総合情報センター センター長の浅野が解説します。

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いよいよ高校入試まであとわずかとなりました。受験生は入試で1点でも多く得点できるよう、全力で学習に取り組んでいることと思います。
しかし、内申点が確定した後に、今さらながら「自分は内申点が低いので、入試で頑張っても合格できないのではないか」と気になってしまう受験生もいるようです。
東京・神奈川・埼玉・千葉の公立高校入試のほとんどは総合点(内申点や入試本番点等の合計)による選抜が行われますので、入試本番で高得点を獲得して挽回すれば合格のチャンスがあることも事実ですが、「この際、内申点を一切見ない選抜だったらいいのに...」と思う受験生もいるのではないでしょうか。

今回は、これから受験生になる中学1・2年生と小学生の保護者の方にお伝えしたいことを書かせて頂きます。

神奈川県の第2次選考では調査書の評定(内申点)は使用しない

内申点を入試に加味しない選抜なんてあるのか?と疑問を持たれる方も多いと思いますが、都市部では神奈川県の公立高校入試が該当します。神奈川県の第2次選考では内申点を加味しないのです。

まず、神奈川県の入試の説明の前に「第2次選考」の定義を明確にしておく必要があるでしょう。というのも、進路相談でこの話をしたときによく「うちは2次は考えていません」という方が多いからです。おそらくは、定員割れによって発生する追加募集的な意味合いの「2次募集」と混同しているものと思われます。

神奈川県公立高校入試の「第2次選考」とは、高校入試で2段階の選抜を行うときの2段階目の選抜を指します。入学試験が2回あるという意味ではありません。
2段階選抜のうち、どちらで合格するかは選抜の結果次第ですので、受験生が選択できるものでもありません。また、第1次選考・第2次選考のどちらで合格したかは公開されません。

神奈川県の公立入試では、定員の90%までを第1次選考で選抜します。調査書の評定・学力検査の得点・面接の結果そして特色検査の結果(実施される高校のみ)のそれぞれの点数をすべて100点満点に換算したあと、一定の比率をかけて重みづけし、合計した値(S1値)の上位から合格者を決定する方法です。第1次選考で合格とならなかった生徒について実施される第2次選考も同様の方法(合計した値はS2値)で選抜されますが、2次選考では調査書の評定は用いないことが、第1次選考との大きな違いなのです。

第2次選考は狭き門。過度な期待は厳禁

第2次選考でS2値の順に並びかえたとき個々の内申点は大きくばらつきます。合格者の内申点がオール5に近い高校でも、学力検査と特色検査で高得点を取れれば、第2次選考で内申点がオール3~4の間くらいの生徒が合格することがあります。内申点を選抜に使わないということは、つまりそういうことなのです。

平成25年度からスタートしたこの神奈川県の入学者選抜も最近ではすっかり受験生には浸透してきました。内申点が低くても合格のチャンスがあることは一般に知られており、中には最初から「うちの子は内申点がかなり低いので第2次選考での合格を狙っているのですが、入試の最低ラインを教えてください」という方も以前より増えてきました。

とは言え、第2次選考での合格者は定員の10%であり(つまり多くの高校では30名前後)、まさに狭き門です。そしてボーダーライン付近の学力層・得点状況は、その年度の定員や倍率、そして他校も含めた志望動向などの要因で非常に不安定です。決意や覚悟を持って取り組むことは大切ですが、第2次選考に過度な期待をかけすぎるのも危険と言えるでしょう。

中学校の学習から学ぶことは多い

内申点が確定した中3の12月以降なら、「第2次選考で合格を狙う」という考えもありますが、中3の夏休み前からあるいは中2の段階などあまり早期から第2次選考を狙う(=内申点が取れないことを早々と前提にしてしまう)のもどうかと思います。
内申点は中学校における学習の成果ですが、単なる成績、選抜資料というだけではなく、子どもの成長において必要な要素がたくさん含まれていると私は考えます。
例えば、①日々の授業や学習活動を大切にすること、②実技教科も含めてさまざまな分野の学習にバランスよく取り組むこと、③自己の目標の達成に向けて、コツコツ努力すること、その方法を考えること、④生徒や先生と積極的にコミュニケーションをとることなど、成長期において学ぶべきことはたくさんあると思います。

もちろん、人間だれしも得意・苦手があるのは当然のことですし、苦手なことにはなかなか興味・関心も湧かないのが現実ですから、なるべく避けようとする気持ちは良くわかります。しかし苦手だからといって中学生の段階ですべてを投げ出してしまうというのももったいない話ではないでしょうか。また、テストで点数が取れれば、途中過程における地道な努力はどうでもよい、というのもバランス感覚に欠けると思います。もちろん、結果が大切なのは論を待たず、ですが、だからこそ物事のプロセスと結果の因果関係を解明し、積み上げていくことがより良い結果を生み出すための次の糧となるのではないでしょうか。

中3生はいよいよ高校入試の本番を迎える時期になりましたが、中学校における取り組みは内申点として高校受験に影響を与えるだけでなく、もっと深いものがあるのではないかと、この季節になって改めて感じるところです。

<筆者プロフィール>
進研ゼミ高校受験総合情報センター センター長 浅野 剛
元首都圏大手進学塾高校入試担当部長、入試情報統括を歴任。25年以上にわたって受験指導を行い、多数の生徒を志望校に合格させてきた高校受験のエキスパート。現在は、入試説明会の講演をはじめ、中学校での進路講演なども担当。


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