• 生活

【中学生のココロとカラダ相談室】ふと、何もやる気が起きないスランプに陥るみたいで・・・。

心身ともに成長が著しい一方で、思春期・反抗期でもある中学生。複雑で繊細なこの時期の保護者の方の気がかりに対して専門家がアドバイスします。

スライド_vol8.jpg

Q.うちの子は意欲をもって勉強に向かっているかと思うと、ふと、何もやる気が起きないスランプに陥るみたいなのですが、励ましたらよいのか、ゆっくりしようと言ったらよいのか、どちらがよいのでしょうか?

A.基本は「ゆっくりしたら?」のモードで接し、子ども自身の焦る気持ちは「作業をこなす」ことで解消できるようにしていきましょう。自分とうまく付き合える人になれるよう、サポートしていけるとよいですね。

とてもやる気のある子が、よい調子で勉強に取り組めているかと思ったら、時々ふっと脱力して何もできなくなるというのは、親からも子からもよく相談をされることです。「もうこのまま何もできなくなってしまうのではないか」と不安になりますが、どうやら、一定期間その状態が続いた後に、また以前のように勉強に取り組めるようになり、そして再度無気力になる、というのを繰り返すようです。経験的には無気力な期間は1日~3日程度といったところでしょうか。

一般的にやる気のない状態の原因としては、目標設定のまずさや不安、マンネリなどが考えられます。子どもの状況をよく聴いて、無謀な計画を立てている、極端に自信がない、取り組んでいることに魅力を感じられないということであれば、その点を解消すべく、話をしていく必要があります。目標を検討し直したり、できている自分を確認したり、勉強方法の改善や「わかる」体験をして教科の魅力を上げていったりするのがよいでしょう。
しかし、このような理由ではないのに、定期的にスランプに陥ってしまう子が結構います。むしろ、実は誰でもそうなるのではないかとさえ私は考えています。

後々のためになる作業をリストアップし、脱力したときにやってみよう

全力投球で頑張っていると、当然ながら疲労しますよね。脳も疲労しますからね。疲労が続いて解消されないと慢性疲労になってしまいます。おそらくそれを防ぐためのメカニズムとして、突然、原因不明に見える無気力状態に陥るのではないかというのが私の持論です。

疲れているわけですから休めればよいのですが、テスト前とか受験の追い込みとか、なかなか休んでもいられないということがあるでしょう。そんな時に、無気力に陥ってしまい、どうしようもなく焦り、自己嫌悪に陥ってしまうのはつらいですね。

そんな時のために、「作業リスト」をつくっておくことをお勧めします。「作業リスト」というのは、比較的頭は使わないのだけど、後々のためになる作業をリストアップしたもののことです

例えば、単語カードをつくる、つくった単語カードを「できる/できない」にわけていく、学校でもらったプリントを整理してファイルする、勉強でやっておきたいことを書き出して一覧表にする、進研ゼミでやり直したいところをチェックしてふせんを貼っておくなどなどです。
FYI03825307.jpg

これらはじっくり考えてやることではないので、頭が冴えてやる気満々な時には実はちょっともったいない作業なのです。でも、ふと脱力してしまったときに、こうした「作業リスト」から何かを選んでやってみるのは有効です。作業であれば、やればやるだけ進みますから、達成感も得られます。少しでも進めば後々の役に立ちますし、自己効力感がアップして、やる気につながります。

そうは言っても、無気力で困っているお子さんにしてみたら、いきなり「作業リスト」を指示されたら、気持ちが萎えてしまうかもしれません。辛い気持ちを否定されたとさえ思いかねません。スランプに陥ったお子さんには、まず、「疲れているんだと思うから休憩の日にしたら?」と促し、「そうはいかない」と言ってきたら、「じゃあ、作業の日にしてみる?」と何かの作業を提案するとよいでしょう。もちろん、休むことにすると子どもが言ったら、それは受け入れて気持ち良く休ませてあげるようにしてあげてください。

まずは受容してあげること、その上で提案することが、親子関係をよいものにするセオリーだということも忘れずにいてくださいね。その上で、少し気持ちが上がってきたときに、事前に次に無気力になった時のために「作業リストを作っておく」ことを提案できるとよいでしょう。

勉強自体には知識の獲得という大きな収穫がありますが、実は、自分を保ち、自分をコントロールするという別の収穫もあります。自分との付き合い方がうまくなると精神的にも安定し強くなっていきます。これもまた「勉強」の大きな収穫だと考えています。


【アドバイス】

公認心理師・臨床心理士
高木紀子先生

2020紀子.jpg
フォーレカウンセリングセンター所属。中央大学・清泉女子大学非常勤講師。青山学院高等部、都立立川高校といった高校のスクールカウンセラーも務め、小・中学校の巡回相談、園児から高校生までの保護者の相談も請けおう。共著に『親だからできる5つの家庭教育』(ほんの木出版)など。

お知らせ