• 生活

【中学生のココロとカラダ相談室】「学校に行ったり勉強したりする意味がわからなくなった」と子どもが言うのですが・・・

心身ともに成長が著しい一方で、思春期・反抗期でもある中学生。複雑で繊細なこの時期の保護者の方の気がかりに対して専門家がアドバイスします。

スライド_vol9.jpg

Q.「学校に行ったり勉強したりする意味がわからなくなった」と子どもが言うのですが、親として何と答えればよいのでしょうか?子どもがこんなことを言うのはコロナ禍特有のことですか?

A.コロナ禍でこういう疑問がわいてきている子どもが多いようです。親自身も一緒に考え、常識や決まりごとではなく自分の言葉で語らっていけるとよいですね。

急に学校が休校になってしまう体験は大人にとっても子どもにとっても未曽有のことでした。当たり前と思っていた学校に登校できない、しなくてよいという毎日は、子どもたちに大きなインパクトがあったことは間違いないですね。当たり前のことが当たり前でなくなる体験をし、さらに人と繋がりにくい日常ですので、大人も子どもも思考的に内向した状態になったわけです。こうした状況で、「学校に行く意味って何だろう」とか、「毎日勉強をする必要があるのかな」とか、様々な疑問がわいてくるのは当然と言えましょう。

以前から、「当たり前」を疑ったり、物事の意味を熟考したりするような子どもは一定数いますが、全国的・全世界的なこの状況下で、はたと立ち止まって考え、価値観が混乱してしまった子どもが今年はたくさんいることを相談業務の中で感じています。心のモヤモヤを、親に言えているのはよいですね。「親は聴く耳をもっている」と子どもが認識していることの表れだと思います。

言い方、語調や表情に留意し子どもに寄り添い、「言葉の背景」に耳を傾ける

こういう疑問を発信してきた時には、まず寄り添ってしっかり聴くことが大事です。間違っても、「ごちゃごちゃ言ってないで勉強しなさい」とか、「行くのが決まりだから」などと片づけてしまわないでくださいね。「何で学校に行かなくちゃいけないのか、何で勉強するのかわからない」という言葉の背景に何があるのかを聴くことが大切です。

具体的には、「何でそう感じたの? 何かあった?」と、まず投げかけてみてください。もしかしたら、先の見えないこの現状に対して漠然と不安を感じているのかもしれないですし、実は友達とトラブルになっていることも関係しているのかもしれません。あるいは、勉強のつまずきがこういった言葉を言わせているのかもしれないのです。そして、言葉というものは言葉そのものの意味も相手に届きますが、言葉の言い方、語調や表情なども一緒に相手に届いていくことを忘れないでおきましょう。
ニュートラルで温かみのある声で、「何でそう感じたの? 何かあった?」と子どもへの投げかけをしてくださいね。子どもが何らかの気持ちを表現してくれたら、それを「そうだったんだね」と受け止め、「どうしたら(どう考えたら)よいかねぇ」と一緒に考える姿勢を言葉で示していきましょう。

大人からすれば、「それは言い訳だ」とか、「そんなこと考えたって仕方がない」という内容を子どもが言うかもしれませんが、これらは禁句です。ちょっと勇気を出して、苦しい思いを吐露したのに、取り合ってもらえなかったり説教されたりしたら、今後は「親には言わない」ということになりかねません。大人は解決策や解答を示さないといけないと考えがちですが、本当の解決策が示されなくても、気持ちを受け止めてもらえただけで子どもはほっとするものです
FYI03092810.jpg

時には、子どもの疑問をきっかけにして、親が自分の中で当たり前と思っていたことを再考させられることにもなってきます。学校で学ぶ意味は何なのか、教科の知識以外に、学校生活で学んできたことは何なのか、また、大人になって、実際に教科の知識はどう役に立っているのかなど、親の真実の言葉を聴きながら、子ども自身が考えを深めていくよいチャンスです。

子どもに向き合いながら、親自身が自分の体験や考えを誠実に語ってくれる姿は、子どもにとって頼れる大切な存在として刻まれていきます。

もしも親として、うまい言葉を返せなかったなぁ、と気になることがあったら、1~2日後に「あのことってその後どうなの?」と聴いてみるとよいでしょう。案外、話せたことでスッキリして、「え?あのことって?」ともう忘れているようなことも少なくないものです。解決できずにモヤモヤしているようであれば、続きを話して応援し、必要に応じて学校の先生やスクールカウンセラーの力も借りるとよいでしょう。


【アドバイス】

公認心理師・臨床心理士
高木紀子先生

2020紀子.jpg
フォーレカウンセリングセンター所属。中央大学・清泉女子大学非常勤講師。青山学院高等部、都立立川高校といった高校のスクールカウンセラーも務め、小・中学校の巡回相談、園児から高校生までの保護者の相談も請けおう。共著に『親だからできる5つの家庭教育』(ほんの木出版)など。

お知らせ