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【中学生のココロとカラダ相談室】定期テストや受験勉強、今やろうと思ってた!を避ける促し方

心身ともに成長が著しい一方で、思春期・反抗期でもある中学生。複雑で繊細なこの時期の保護者の方の気がかりに対して専門家がアドバイス。今回は定期テスト対策や受験勉強に、イマイチ本気度が感じられないお子さまに対する促し方についてアドバイスをいただきました。
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Q.定期テスト前、ダラけ気味の子に向けた「勉強は!?」に、「今、やろうと思ってた!」「そういわれると、やる気がなくなった」などと反論され・・・何か上手い促し方はありますか?

「ダラダラ」には、実は子ども自身も困っています。切り替えがうまくいくよう、「キリをつけるきっかけづくり」を!


テスト前に目の前でダラダラされるとたまらないですよね。せめて焦って欲しいし、やる気を見せて欲しいものです。グッと我慢に我慢を重ねて様子を見ているのに、一向にやる気配がないから、「勉強は?」と遠慮がちに聞いたつもりなのに、「嫌な言い方をされてやる気がなくなった」、「今やろうと思ったのに出鼻をくじかれた」などと反論されたという経験は多くの親御さんがもっているのではないでしょうか。

このような時に「親の言い方で勉強する気が出なくなるなんて、ただの言いがかり!」などと正論で向き合っても虚しいものです。子どもがこんな風になる、その心理とはどんなものでしょうか。

勉強を始める機を逸しモヤモヤしている

子どもは、やらなくてはいけないことはわかっているけれど、内容が難しくてやる気がしないとか、漠然と面倒くさい等々の理由で勉強を始める機を逸してしまい、モヤモヤしている状態にあります。
どうしようかな、やろうかな、やらなくちゃいけないよなぁ、でも、明日からでもいいかな、などとぐるぐるしている時に、「勉強は?」としびれを切らしたような責めるニュアンスに聞こえるひと言が飛んでくると、嫌なリアクションを親に返してしまうわけです。これは、うまく勉強に向かえなかった自分への苛立ちとも解釈できますので、反応が強ければ、それだけ「やらねば」という気持ちも強かったのだと理解してあげましょう。

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この場面に「キリをつけてあげる」という気持ちでアクションを!

では、モヤモヤしている気持ちをどのように勉強に向かわせるとよいのでしょうか?
勉強をさせようと思わずに、この場面に「キリをつけてあげる」という気持ちでアクションを起こしてみる。たとえば、食卓にいつまでもダラダラいるようであれば、「さて」などと言いながらテーブルを拭き始めてみたり、テレビ番組が終わっても席を立たずにダラダラしているようであれば、「終わったね」とテレビを消してみたりすることです。

それでも、展開がないようなら、「紅茶を部屋に持っていく?」と投げかけるのもよいですね。部屋に戻って勉強をする前提で紅茶を勧めてしまうのです。あるいは、どうせダラダラしているのなら、しなければならないことである入浴や歯磨きをすすめてみる。これは時間を有効にすることにもつながりますよ。

子ども自身に目標を設定させる促し、そして褒めと励ましを意識的に!

また、できれば、「誰が見てもやるべき時期」、つまり定期テストまであと1週間というような切羽詰まった時期になる前に、「今度のテストは何の教科を特に頑張るのか」、「何を何点くらい取りたいのか」というようなことを話しておけるとよいですね。
こういう話をする時のコツは、親が〇〇点と言わずに子どもに言わせることです。親から押し付けられたのではやる気が出ないものですし、また、親の目標と子どもの目標は概してギャップがつきものです。
そのような話をしておいた上で、上記のような、「さて」という声かけをすることによって、子どもは勉強に向かう「心のキリ」をつけるきっかけになります。折にふれ、「よく頑張ってるね」という声かけもぜひ、意識して言ってくださいね。 

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Q.コロナ禍によって部活動をやりきったという燃焼した気持ちがなく、受験勉強に身が入っていない様子です。もう受験まであと半年切っているというのに、自覚がないようで・・・


お子さまと受験校について話し合う場をもちましょう。子ども自身に具体的な目標をもたせることが、勉強への原動力となります

今年は部活の引退がなし崩し的になってしまい、燃焼した気持ちも達成感もなく、気持ちの区切りがつかないお子さまも多いのではないでしょうか。言わば、中2の三学期からワープして受験の秋になっちゃったという感じなのだと思います。しかし、仕方ないとだけ言ってもいられませんね。現実には受験校をつめる時期となってきています。

そろそろ本気で勉強しなくてはいけないことは、子ども自身もわかってはいるのです。でも、気力がみなぎらず不安も手伝って、自分の不安をかき消すように、「友人ものんきそうにしているから平気だ」と妙な連帯感を感じているのかもしれません。
こういう時に、「勉強しなさい」という直球の言葉かけは効果がありません。「うるさいなあ」、「やってるよ」などと反発を招いてしまうのです。

余裕のある時を見計らい、余裕のある言葉で!

少し余裕のある時を見計らって、受験校を決めていくための話し合いの時間を持つことを、ぜひおすすめします。まずは、「ねえねえ、受験校について少し話しておこうよ」のような「余裕のある言葉」での誘いから始めることが大切です。

「しっかり話そう」と言いたいところですが、「少し話そう」と誘うのがポイントです。もちろん、「いい加減受験校について決めないとね」のような差し迫った感じを出してはいけませんし、「いつになったら考えるつもり?」等とのんきな子どもへの説教を込めた言い方は禁物です。こうした責め口調のニュアンスが少しでも入ってくると、反発心の強い思春期ならではの、「別にどうだっていいし」とか、「(本当は考えていないのに)もうとっくに決まってるけど」という投げやりな反応を呼び起こしてしまいかねないので要注意です。

うまく、「少し話す」シチュエーションを迎えられたら、そこで、どんな高校に興味があるのかをゆっくり話せるとよいですね。スーパーサイエンスハイスクールに指定されているから、進学実績がよいからというような観点や、部活が盛ん、制服がよい、家から近い、親しかった先輩が通っているなど、様々な観点があるでしょう。どんなことでも、うんうんと子どものいう言葉に耳を傾けて尊重しながら聴いてください。そして、その学校について調べるなど、志望校として大丈夫そうかどうかを検討していくのです。一度で志望校が決定するとは限りませんが、目をそらしていた入試を親のサポートをもらいながら直視し、自ら選んで志望校を決めていく第一歩として、この話し合いが大いに役に立つと思います。

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「目標をもつ人」「協力する人」。立ち位置の関係づくりを!

志望校がある程度定まってきたら、この高校に入るためには内申点をあといくつ上げたいとか、学校の勉強の他に自分で勉強することは何かなど(過去問をやってみるなど)、受験を迎えるまでに具体的にどのようなことが必要かを考えるサポートをしていってください。これらが、今後、勉強に向かうモチベーションになっていくのです。

このような受験についての話し合いをもっておくと、子ども自身の意識が変わっていき、受験に向けてスイッチが入っていきます。親としても、子どもの意向がわかりますし、協力する親の立ち位置から、「そう言えば、〇〇高校ってね――」などと、追加情報を伝えやすくなります。親と子が、「勉強する人、させる人」という関係になるのではなく、「目標をもつ人、協力する人」という関係をつくっておくことが、受験を乗りこえるためのよりよい関係づくりといえそうです。


【アドバイス】
公認心理師・臨床心理士
高木紀子先生

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フォーレカウンセリングセンター所属。中央大学・清泉女子大学非常勤講師。青山学院高等部、都立立川高校といった高校のスクールカウンセラーも務め、小・中学校の巡回相談、園児から高校生までの保護者の相談も請けおう。共著に『親だからできる5つの家庭教育』(ほんの木出版)など。

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