サポートに取り組む方々のインタビュー

団体・企業から 発達性ディスレクシアがある子どもを支え、保護者をつなぐ 第1回

発達性ディスレクシアがある子どもへの個別評価・支援、保護者のネットワークの構築や、子どもの自立支援のためのグループワークの実施など、幅広いアプローチで発達支援事業を展開するNPO法人バオバブの樹。発達障害の中でも、まだまだ社会での認知が十分ではない発達性ディスレクシアについて、バオバブの樹の理事である言語聴覚士の沖村可奈子さんに伺いました。

沖村 可奈子さん
特定非営利活動法人発達サポートネット バオバブの樹 理事/言語聴覚士 おきむら かなこ 沖村 可奈子さん →プロフィール
発達性ディスレクシアとはどのような障害ですか。
発達性ディスレクシアとはどのような障害ですか。" 発達性ディスレクシアは、神経生物学的原因に起因する障害で、文字を音に変換することや、書きたい内容に対応した文字を想起することをスラスラと正確に行うことの困難さを言います。これは、音韻能力や視覚認知力などの障害によるものであり、聴覚や視覚などの感覚器の障害や環境要因が直接の原因とはなりません。多くの場合、知的発達に問題を認めないにもかかわらず、読み書きに特化した困難を示します。読みの特徴としては、ひらがな、カタカナを読み誤る、漢字を読み誤ったり読めなかったり、文章の読みがたどたどしく時間がかかるなどがあります。書きの特徴としては、小2以上でひらがな、カタカナを書き誤る、文章を書く際、ひらがなの使用が多い、漢字が覚えにくく、覚えてもすぐに忘れるといったことなどで、黒板に書かれた文字を正確に写せなかったり、写すのにとても時間がかかったりもします。 現在、日本では約8%の子どもに発達性ディスレクシアがあると考えられています。35〜40人のクラスに2、3人はいることになりますが、ASD(自閉症スペクトラム症)やADHDといったほかの発達障害に比べるとまだ広く理解されておらず、学校や家庭でも障害に気づかれず、適切なサポートに結び付いていないケースは珍しくありません。発達性ディスレクシアがある子どもたちは、文字の読み書きを、スラスラと正確に行うのは難しいけれど、全くできないわけではないことや、運動やおしゃべりなどは、問題無くできることも少なくないため、「本人の努力が足りないだけ」「もっと頑張ればできるはず」と思われてしまいがちです。また反対に、知的な発達の遅れがあり、発達性ディスレクシアも併存しているお子さんの場合、本来、そのお子さんの知的レベルであればもっと読み書きができてよいのに、「知的な遅れがあるからできなくても仕方ない」と、発達性ディスレクシアに気づかれず、適切な学びの機会を得られないということも珍しいことではありません。
読み書きの苦手が大きいと、学校の学びそのものが阻害され、子どもは大変な不利益を被るのではないでしょうか。
読み書きの苦手の程度はさまざまで、文字を読むのがとにかく苦痛な子もいれば、音読さえさせられなければ、本を読むのは大好きという子もいます。書くことでも、ひらがな、カタカナからつまずく子もいれば、日常的に行われる、漢字の10問テストは良くできるけれど、学期末に行われる50問テストになると少ししか覚えていないという子もいます。中学校に入学して、英語の授業が本格的に始まってから、英語が全く読めない、単語が全く覚えられないといった英語の困難さがとても大きいため、読み書きの困難さに気づかれることもあります。抱えている読み書きの困難さは一様ではありませんが、いずれにしても、読み書きが学校生活の中で使用頻度の高いスキルであり、しかも「習えばスラスラできるようになって当たり前」と多くの人が考えているため、発達性ディスレクシアがある子どもたちは大きな苦痛を強いられます。常に「努力が足りない」と追い詰められてしまい、次第に学びそのものへの意欲を失ったり、発達性ディスレクシアにASDを併存していて不安が強かったりする場合、学習が恐怖になり、学校に行けなくなったりすることもあります。
学校生活の中でも中心的な活動となる読み書きに困難を抱えるため、学校生活全般で大きな苦痛を感じながら、なかなか周囲に気づいてもらえない発達性ディスレクシアがある子どもたち。第2回では、障害がある子どもへの支援のあり方をうかがいます。