こんなときは?保護者のかたへのアドバイス

その他 子どもの「得意」から自信を育む

自己肯定感や自信は、人生を前向きに、意欲的に歩むためにとても大切なものです。子どもの得意なことや好きなことを保護者が認めて伸ばすことで、子どもは自信を持ち「もっと頑張ろう」という意欲を持つことができます。

榊原洋一先生
教える人
お茶の水女子大学副学長、ベネッセ教育総合研究所顧問、CRN所長 榊原洋一先生
医学博士。東京大学医学部卒 小児科医。お茶の水女子大学副学長。ベネッセ教育総合研究所顧問。「子ども学」の研究のため(株)ベネッセコーポレーションの支援のもと設立されたCRN(チャイルド・リサーチ・ネット)所長。日本子ども学会副理事長。専門は小児神経学、発達神経学、特に注意欠陥多動性障害、アスペルガー症候群などの発達障害の臨床と脳科学。主な著書:「多動性障害児」(講談社+α新書)、「アスペルガー症候群と学習障害」(講談社+α新書)、「ADHDの医学」(学研)など。
発達障害のある子どもは自信を持ちにくい

自己肯定感(「自分は、ありのままの自分でよいのだ」と思う気持ち)や自尊感情(自分の価値を認め、自分を大切に思う気持ち)などを幼少期に育むことはとても大切です。しかし、発達障害がある子どもは、苦手なことや周囲から叱られる機会が多いことなどから、「自分はどうせできない」「叱られてばかり」という自己嫌悪感を持ったり、自信をなくしたりしてしまいがちです。このような気持ちはさまざまな物事への意欲も低下させ、次第に自分を認めてくれない他人や社会に対して批判的・反抗的になってしまう恐れもあります。

発達障害のある子どもの自信や自尊感情を育むために大切なことは、まずは保護者が子どもの好きなことや得意なことを見つけて認め、伸ばすことです。自分には、保護者や周囲の人も認めてくれる能力や資質があると子どもが感じることは何よりの自信につながり、物事への挑戦心や努力をしたいと思う「やる気」も引き出します。

得意を自信につなげるポイント

得意を自信につなげるポイント 1:保護者が子どもの得意を見つける 発達障害のある子どもも、好きなことや、得意なことが何か1つはあります。その好きなこと、得意なことを、まずは保護者が率先して見つけてあげてください。歌が得意、虫に詳しい、地図が好きなど、何でもかまいません。好きなことや得意なことが見つかるように、色々なことにかかわる機会をつくることも大切です。そして、日ごろから「○○が得意だね」「○○について本当に詳しいね」など、子どもが得意なことを認め、ほめるようにします。親が自分の能力や資質を認めてくれているということが、子どもの自信や自尊感情の源になります。

得意を自信につなげるポイント 2:活動場所を子どもの視点で選ぶ 得意なことが見つかったら、その能力や意欲を高められる活動場所を探してみてください。自分の好きなことに存分に取り組める場所は子どもにとって楽しく、能力を磨くことが出来れば自信を深めることにもつながります。また、学校や家庭以外に子どもの居場所を作っておくことは、学校で上手くいかなかった時などに子どもの心の拠り所にもなります。活動場所は、必ず子どもと一緒に見学して、子どもが気に入ったところを選びます。先生や参加者の顔ぶれ、雰囲気など、子どもが通いたいと思えることが何より大切です。

3:苦手なことにはこだわりすぎない 保護者は、子どもが苦手なことを克服させたいと願うものです。確かに、苦手なことにも取り組んでいく姿勢は大切ですが、それに固執しすぎて無理やりに取り組ませ過ぎてしまうのはすすめられません。子どもが自分の能力のなさを痛感して劣等感が増してしまう可能性がありますし、残念ながらその割には結果が比例しないことが多いものです。まずは自信を育むためにも、得意なことや好きなことに時間をかけて伸ばしていくことに比重をおいてみてください。