こんなときは?保護者のかたへのアドバイス

家庭 生活 落ち着いて過ごせる生活空間づくり

自閉症スペクトラムのある子どもは、場所へのこだわりを持ち、同じ部屋がさまざまな活動場所になることに抵抗を感じる場合があります。目的に応じた生活空間の区分けをすることで、子どもが混乱しない環境づくりができます。

榊原洋一先生
教える人
お茶の水女子大学副学長、ベネッセ教育総合研究所顧問、CRN所長 榊原洋一先生
医学博士。東京大学医学部卒 小児科医。お茶の水女子大学副学長。ベネッセ教育総合研究所顧問。「子ども学」の研究のため(株)ベネッセコーポレーションの支援のもと設立されたCRN(チャイルド・リサーチ・ネット)所長。日本子ども学会副理事長。専門は小児神経学、発達神経学、特に注意欠陥多動性障害、アスペルガー症候群などの発達障害の臨床と脳科学。主な著書:「多動性障害児」(講談社+α新書)、「アスペルガー症候群と学習障害」(講談社+α新書)、「ADHDの医学」(学研)など。
目的に応じて生活空間を区切る

一般的な家庭では、リビングでは食事をすることもあれば子どもが宿題をすることもあるなど、1つの部屋が状況に応じてさまざまな活動場所として用いられるのが一般的です。しかし、自閉症スペクトラムのある子どもの場合、場所と目的を結びつけて認識していることがあり、同じ場所が多様な目的で用いられることに不安を感じることがあります。「ご飯を食べる」場所で「宿題をする」ということに抵抗を覚えるのです。このような子どもに対しては、「空間の構造化」といって空間を目的に応じて区切ることが有効です。部屋ごとに目的を明確にするだけではなく、ひと部屋の中をいくつかに区切って目的別の空間として区分けする方法があります。

子どもが活動しやすい生活空間づくりのポイント

子どもが活動しやすい生活空間づくりのポイント 1:目的ごとに空間を区切る 部屋ごとの目的を明確にできる場所は、「リビングはテレビを見る部屋」「ダイニングは食事をしたりおやつを食べたりする部屋」などと決めます。子ども部屋など複数の活動をすることが必要な部屋は、部屋の中に仕切りを設けて目的ごとに空間を区分けする方法があります。本棚やタンスの配置を工夫して、本棚がある場所は遊ぶ場所、机がある場所は学習する場所など、空間を区切れるとよいでしょう。区分けをすることで、各空間が狭くなることは問題ありません。場所ごとに限定的な役割があることが重要であり、自閉症スペクトラムのある子どもの場合、むしろ狭い空間の方が精神的に安定して過ごせることもあります。

2:各空間は目的に応じた情報だけにする 目的に応じて空間を区切る際には、他の空間が見えないように仕切りを設けることが大切です。発達障害のある子どもは、多くの情報にさらされると気が散りやすくなる傾向があります。例えば、学習する空間からはおもちゃが目につかないようにする、窓からの景色が見えないように窓がない壁に机を向けて置く、などに注意します。

子どもが活動しやすい生活空間づくりのポイント 3:活動に必要なものだけを取り出す 目的ごとの空間で活動をする際には、その時々に必要なものだけを取り出すようにすると、子どもがより活動に集中しやすくなります。学習する空間では、たとえ学習に関するものであっても学習机には本立ての設置などはしないようにします。物はなるべく減らし、活動の度に取り出して、活動を終えたらしまうことを習慣化するとより落ち着いて集中できます。