こんなときは?保護者のかたへのアドバイス

家庭 生活 家庭での役割分担で社会性を養う

家族の一員として子どもが家事の一部を担うことは、子どもの社会性を養う上でよい機会になります。責任を果たして家族から感謝される経験は、発達障害がある子どもが自信を持つことにもつながります。

榊原洋一先生
教える人
お茶の水女子大学副学長、ベネッセ教育総合研究所顧問、CRN所長 榊原洋一先生
医学博士。東京大学医学部卒 小児科医。お茶の水女子大学副学長。ベネッセ教育総合研究所顧問。「子ども学」の研究のため(株)ベネッセコーポレーションの支援のもと設立されたCRN(チャイルド・リサーチ・ネット)所長。日本子ども学会副理事長。専門は小児神経学、発達神経学、特に注意欠陥多動性障害、アスペルガー症候群などの発達障害の臨床と脳科学。主な著書:「多動性障害児」(講談社+α新書)、「アスペルガー症候群と学習障害」(講談社+α新書)、「ADHDの医学」(学研)など。

役割を任せることで達成感や自信にもつながる

子どもが家事の手伝いをすることは、自主性や社会性を身に付けられるよい成長の機会になります。特に、発達障害がある子どもには、何らかの決まった役割を担当させる形にすることがおすすめです。担当させると決めた家事については、たとえ子どもが上手くこなせなくとも他の誰かが代わったりすることはせず、最後まで任せましょう。そうすることで、子どもには責任感や自立心が芽生えます。自分の担当する家事をやり遂げることで家族が助かっているということを感じられれば、達成感や自信を持つことができ、他の人のために役に立つことの喜びを感じるきっかけにもなるのです。また、未経験の作業を習得したり、作業の工程を工夫してより短時間で出来るようになったりすることは、物事への取り組み方を学んでいることにもなり、その後の社会生活でも大いに生かせる経験になります。

家庭での役割分担をする際のポイント

1:無理なくできる役割にする 子どもに任せる家事は、子どもの年齢や能力のレベルに合ったものを選びます。食器を洗う、洗濯物をたたむ、お風呂掃除をするなど、家族の毎日の生活に必要な、難しすぎず簡単すぎないものだとよいでしょう。最初は保護者と一緒に取り組み、慣れてきたら子ども一人で行う形にするなど段階的に任せていけば、子どもも負担感なく取り組めるようになります。

家庭での役割分担をする際のポイント 2:失敗しても怒らずできたら感謝する 子どもの役割として家事をお願いしたら、最後までその子どもに任せましょう。うっかりやり忘れてしまうようなことがあっても、他の家族が何も言わずに代わりにしておくことなどは控えます。また、やり方を失敗したり、間違えてしまったりすることがあっても、叱ったり責めることはしないようにします。子どもが担当する家事をやり終えた後は、「ありがとう」「助かったよ」という気持ちをしっかり伝えた上で必要であればやり方のアドバイスなどをします。子どもは感謝される喜びややりがいを覚え、「責任を持ってやろう」「もっと上手にできるように頑張ろう」という気持ちになります。

家庭での役割分担をする際のポイント 3:生活習慣を含めて家族全員で取り組む 家事の役割分担は、発達障害がある子どもだけにさせるのではなく、きょうだいも含めて家族全員が何かを担当する形にするとよいでしょう。家族全員で取り組み、保護者も率先して取り組む姿をみせることで子どももやる気が高まります。同様に、発達障害がある子どもにとって大切な規則正しい生活習慣についても、食事時間、入浴時間、就寝時間など他の家族も一緒に実行できるものについては、家族のルールとして一緒に取り組めるとよいでしょう。日常生活全体について家族が共通の意識で取り組んでいる形となれば、家族の一体感も高まります。