公益財団法人ベネッセこども基金

助成団体紹介

2020活動報告|「尾張北部地域の子ども支援ネットワーク」のあゆみ

特定非営利活動法人シェイクハンズ

松本 里美さん

経済的困難を抱える子どもの学び支援

2年目の助成期間を終え、実行項目の1つである尾張北部地域の子ども支援ネットワークについてご報告いただきました。
事業の詳細などは以下からご覧ください。

助成事業の概要|特定非営利活動法人シェイクハンズ




「尾張北部地域の子ども支援ネットワーク」のあゆみ

ネットワーク化の動機と始まり 第1回開催と2019年度の流れ 2020年度の流れ、コロナ禍でのネットワーク 「多文化共生・子ども支援フォーラム2020in尾北」の開催 今後の展望と課題

ネットワーク化の動機と始まり

愛知県尾張北部は、外国人散在地域であり、多文化共生施策がなかなか進まないのをかねてより憂いていました。一つの市町だけでなく、広域でネットワークを組んでの活動の中で、尾張北部の外国に繋がる子どもや困難を抱える子ども達への応援の底上げができないか?と考え、ベネッセこども基金の助成事業に応募させていただきました。

私達の団体は元々、国際交流をしていたグループ。かつて国際交流団体時代に親交のあった江南市の国際交流協会、扶桑町多文化共生センターから、まず、お誘いをはじめました。そしてそれぞれが、交流のある団体に声をかけていただく事が出来て、参加の運びとなりました。愛知県日本語学習支援基金の繋がりから小牧市の団体にも声をかけ、快諾を頂きました。また、多文化共生に関わる団体がないエリアでは、子育て支援のグループにも声を掛けました。

ネットワークが必要と考えた背景には、リーマンショック時に減少した外国に繋がる子ども達の増加や団体のマンパワーの不足、在住外国人へ理解不足等、それぞれが課題を抱えていた事等があげられます。

シェイクハンズでの学習教室(寺子屋)のようす

第1回開催と2019年度の流れ

2019年度は、各団体への数回のアプローチの後、6月21日と22日、二日に分けて事業説明会をした後、22日にネットワーク会議スタート。第1回目は、各団体の自己紹介と事業説明。ベネッセの助成事業の目的=子どもを取り巻く多様な困難を、尾張北部地域全体で取り組み応援をしていくために、ネットワークで各団体の活動内容を知るところからスタートしました。

犬山市・江南市・小牧市と隣接の扶桑町・大口町から、外国人支援団体(日本語教室)7団体、子育て支援団体3団体が集まってくださいました。

行政にも声かけ、犬山市の担当課が参加して下さいました。団体紹介を重ねていくうち、地域の事情も分かり、各団体の強みや特長・活動を理解できるようになり、地域全体の子ども支援の様子が明らかになっていきました。

そんな中、「何かすることで、実質的なネットワークに!」という声が出て、ベネッセ助成事業の取り組みの一つ「多文化共生フォーラム」を協働で行う事になりました。協議を重ね、事例報告をとなった矢先に、再度緊急事態宣言が出され、2019年度は残念ながら、延期となってしましました。

2020年度の流れ、コロナ禍でのネットワーク

コロナ禍で始まった2020年度。ネットワーク会議は、オンラインで行うことに。オンラインに慣れていない団体もありましたが、これを機に皆、学び合い、授業でも利用するなどできるようになりました。可児市や三重県の団体も加わり、他地域の施策やノウハウも学べることになりました。

特に隣接の可児市は、外国人住民が人口の一割を超す集住都市で、尾張北部からの転出も多くその子ども支援を知る機会がある事は、とても重要でした。また、コロナ禍でのそれぞれの情報や活動の工夫を共有できた事は、大きな励みとなりました。会議の場から、自然に「昨年できなかったフォーラムを」との声が出て、協働開催に繋がりました。

オンラインでの会議

「多文化共生・子ども支援フォーラム2020in尾北」の開催

会場とオンライン両方のハイブリッド開催で、86名が参加。会場は人数制限を超える参加となり、特にコロナ対策に気を配りました。

犬山市長や県会議員の挨拶に、スタッフも励まされました。基調講演は「子どもの貧困」と「多文化背景の子ども達の実情」と2本柱で実施しました。

とても熱心に聞き入ってもらえ、質問も多く出ました。特にネットワーク団体による事例発表は、事実上の報告会にもなり、その後のグループタイムの活発な議論に繋がりました。このフォーラムで、新しいボランティアが3名、シェイクハンズに加わってくれました。大口町でも1名の参加があったとの報告いただきました。

多文化共生・子ども支援フォーラム2020in尾北その1
多文化共生・子ども支援フォーラム2020in尾北その2

今後の展望と課題

ネットワーク会議も2年が過ぎ、散在地域では単独開催が難しいフォーラムのような規模の大きいイベントや、団体同士の気軽な協働もできるようになってきました。各団体間でメンバーも顔の見える関係性になりつつあり、互いの企画にも参加しあうようになり、ネットワークの意義が実感できるようになったので、メンバー全員が継続に向けて意欲的です。

まだコロナに左右される現実は続きますが、2021年度に向けても、一層に協働ができればと、6月に第1回を予定しています。現在、扶桑町の団体からの参加が途切れて、その理由などを探り、再度アプローチしていきたいと、思っています。

互いの課題の解決に向けてより柔軟にネットワーク会議を活用して、「尾張北部地域の子ども達の応援環境」を整えていきたいと、確認し合っています。

農園の子どもたち

特定非営利活動法人シェイクハンズ

代表理事

松本里美 さん

特定非営利活動法人シェイクハンズ代表理事。 外国に繋がる子ども達と出会って、約15年。以来、学習支援の場や保育園などで、子ども達と泣き笑いの毎日です。料理が好きなので、子ども達がつくった野菜で、交流会や子ども食堂などで、 一緒につくって食べるのが楽しみです。コロナ禍で、集まる機会が減りましたが、代わりに農園で、子ども達や山羊としっかり遊んでいます!

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