公益財団法人ベネッセこども基金

助成団体紹介

2019活動報告|日本の学校に対応できる実践重視のプレスクールの実態!

認定NPO法人茨城NPOセンター・コモンズ

報告者:代表理事 横田能洋さん

経済的困難を抱える子どもの学び支援

2019年度の活動から、外国にルーツをもつ子どもを対象としたプレスクールの4つのケースについてご報告いただきました。

団体紹介 Case1 フィリピンからの小学3年、中学3年の姉妹 Case2 当会保育園の園児の長期プログラム Case3 常総市の新1年生向け Case4 坂東市の来日直後の5人きょうだい 次年度に向けて

団体紹介

地元の常総市が外国人集住地域だったため、10年前から日系ブラジル人などの方々と関わるようになり、外国ルーツのこどもの就学相談や進学支援をしてきました。4年前に鬼怒川水害で被災した後は復興支援にも取り組み、空き家を改修して多文化保育や学童保育も始めました。子供達のバイリンガルの可能性が引き出され、その存在が豊かな地域を作ると考えて、保育、教育と地域づくりに取り組んでいます。

県域の市民活動支援組織として、セーフティネットづくりに取り組む活動を支え、ネットワーク化し、または自ら取り組んで、その芽を育てることによって、また地域における民間非営利団体の活動基盤の充実を図ることによって、様々な課題当事者が社会的に包摂され、多様性が尊重され、人や組織がつながり共に行動する市民社会の実現を目的としています。

ひきこもりがちな市民、子ども、外国人、被災者、高齢者、障がい者、またそれら市民を支える地域社会の民間非営利団体などを対象として、
 ①セーフティネットのインキュベーション
 ②ネットワーク化
 ③担い手の育成
 ④活動資源の仲介
に取り組んでいます。

■HPのリンク
茨城NPOセンター・コモンズ コモンズ グローバルセンター<学習支援> Peer Support Joso<定住化支援>


Case1フィリピンからの小学3年、中学3年の姉妹

2019年5月、常総市内の小中学校に転入予定の姉妹に計13回実施しました。フィリピン人スタッフが母語と日本語を使ってひらがなや物の名前、学校で使う日本語を中心に指導しました。また、電車に乗って通学練習も行いました。

入学後も当会の学童クラブや学習支援教室で継続的にサポートを続け、姉は第一志望の高校に合格、妹も学校の文系テストで100点をとるなど、目を見張るほどの習得具合を見せてくれました。

かるたを使ったひらがな学習
通学の実践練習

Case2 当会保育園の園児の長期プログラム

当会の保育園と連携し、年長組のブラジルにルーツを持つ女子園児に対し、ブラジル人スタッフが10月頃から平日2時間程度プレスクールを実施しました。運筆から自分の名前の練習、数字の読み方など、1対1で取り組みました。園児は徐々に語彙力も増えました。

Case3 常総市の新1年生向け

今年度は2020年2月15日~3月14日の毎週土曜2時間で全5回実施しました。自己紹介やトイレの順番の待ち方、給食当番の練習などをしました。また、学校のルールや1日の流れ、学校で使うものの名前などを、本やプリントを使って学習しました。

「先生の指示を聞いてその通りに行動できること」を最終目標に、勉強机の座り方、返事や挙手の仕方、鉛筆の持ち方やはさみ、のりの使い方などの練習を通して身に着けていきました。毎回出される宿題にも一生懸命取り組みました。

はさみやのりを使って学校の持ち物確認
トイレを待つ練習

Case4 坂東市の来日直後の5人きょうだい

2月中旬にパキスタンから来日した6歳~14歳までの5人のきょうだいについて市から連絡を受け、3月の毎週火・金曜日、8:30~16:00まで全7回行いました。未就学、文字に触れない生活をしていたため、「学校とは」「文字とは」から丁寧に指導しました。入学予定の小学校と密に連携をとり、休校中で学校でもプレクラスの受け入れが可能とのことから、読み書きについては学校に任せ、当会では「聞く・話す」を重点的に指導しました。

挨拶、自己紹介、体調不良の訴え、トラブルの際の対応など、学校での様々なシチュエーションを想定した〝サバイバル日本語〟をロールプレイで習得しました。子どもたちは、「いい」「だめ」「大丈夫」「分かりません」などの簡単な応答や、困ったときに自分から日本語で意思表示ができるようになりました。また、地域の方と雛人形を飾るなど、日本文化についても触れました。

初めての集団授業
日本文化体験

次年度に向けて

〈教育委員会でのプレスクールの予算化に向けた取り組み〉
次年度以降、公的な財源もつくようにし教育委員会から学校に行く前に計画的な初期指導がなされる状況をまず常総市でつくるべく、昨年まで教育委員会で指導課長で県内初の夜間中学校の立ち上げプロセスも把握している水海道小学校校長と協議しています。

学校としてもプレスクールは是非具体化してほしいとのことで、最終的な市の予算要望は11月ですが、それまでに校長会、教育委員会、市議会などに必要性や効果、必要な経費を説明していくことになりました。場所も小学校の隣にある市の建物が使える可能性があります。今年度は学校に入り込む形でのプレスクールを何回か行ったり、カリキュラムや指導マニュアル作成や他県の視察や自治体ヒアリングをしたりしつつ具体化につなげていきます。

〈母語教育の普及に関する取組み〉
県生涯学習課が作成し就学前健康診断などで全世帯に配布している啓発冊子の外国世帯版づくりが当会の提案から具体化しています。(家庭教育推進に関する委員会の委員に入れました)その冊子の中に、母語教育の重要性や家庭で行い方に関する原稿を掲載いただくべく執筆したところです。

秋に各地の学校や保健センターで幼児の健診が行われる際などに、翻訳のある教材で外国人保護者に直に説明できる機会を得られるように考えています。

母語教育の重要性は親だけでなく保育園や学校の先生方にも伝える必要があるので教育委員会や学校とWEB会議・研修をする際に紹介したり、保育施設向けの外国家族受け入れセミナーを行う際に伝えたりしていく予定です。もちろん当会が運営する保育園や学童の保護者にも伝える機会を作ってまいります。


(茨城NPOセンター・コモンズ)

代表理事

横田 能洋さん

地元の常総市が外国人集住地域だったため、10年前から日系ブラジル人などの方々と関わるようになり、外国ルーツのこどもの就学相談や進学支援をしてきました。4年前に鬼怒川水害で被災した後は復興支援にも取り組み、空き家を改修して多文化保育や学童保育も始めました。子供達のバイリンガルの可能性が引き出され、その存在が豊かな地域を作ると考えて、保育、教育と地域づくりに取り組んでいます。




助成事業の概要|特定非営利活動法人 茨城NPOセンター・コモンズ

採択団体一覧|2019年度<経済的困難を抱える子どもの学び支援活動助成>




SNSでこの記事をシェアする

一覧に戻る