公益財団法人ベネッセこども基金

助成団体紹介

2019活動報告|支援者研修として、MIM教授法、アナログゲーム活用法を導入!

認定NPO法人 浜松NPOネットワークセンター

報告者:代表理事 井ノ上美津恵さん

経済的困難を抱える子どもの学び支援

2019年度の活動から、「MIM教授法とアナログゲーム活用法を取り入れた支援者研修」についてご報告いただきました。

認定NPO法人浜松NPOネットワークセンターとは MIM教授法とアナログゲーム活用法を行った理由 小さなつまずきが多い子どものための学習支援法 MIM勉強会 アナログゲーム×療育

認定NPO法人浜松NPOネットワークセンターとは

「こうなったらいいな」という市民の夢や思いは、共通の志を抱く人々と出会うことによって社会的な力に育ちます。自分たちの責任で住みやすい地域社会に変えていくために、地域や分野を超えた市民の活動を支える中間支援NPOとして、また企業や行政とのパートナーシップづくりに努力しながら、当事者とともに声をあげ、課題解決に取り組む新しい市民社会の実現を目指し、当事者に寄り添う現場での活動も行っています。

MIM教授法とアナログゲーム活用法を行った理由

元教員や塾講師、日本語教師など学習支援経験値が高く信頼のおける人に講師を依頼し、訪問型の学習支援を行ってきたが、不登校の子は学習意欲が湧きにくく、障害疑いの子は学習成果が積み上がらないなど、成果がなかなか現れないことも少なくなかった。

経済的困窮の子どもは複合的な困難を抱えているケースが多く、適切な支援をするには、生育歴や家庭環境の把握と様々な配慮やスキルが欠かせない。そのために必要な専門性と支援者拡大の2つの異なるベクトルを、同時に広げていく必要性に対し、困難を感じていた。

これまでの取り組みで、団体間の課題共有や連携は進んだが、一方で支援の「場」に適切な人材が足りていないという課題もあり、学習支援人材の裾野拡大のスキルアップにシフトした。そのために、より効果的な学習支援モデルやツールについて専門的な知見が得られるよう外部委員による「学習支援の検討委員会」を開いた。

その中で、異なる学力層の子どものニーズに対応した指導・支援を提供できるMIMという多層指導モデルや、記憶力や手指の器用さなど子どもの多様な力を見ることができ、まず第一に講師への親近感が得やすくなるアナログゲームを授業に取り入れる方法が提案された。

学習支援の検討委員会

「小さなつまずきが多い子どものための学習支援法 MIM勉強会」

講師:前原告予さん(臨床発達心理士、元特別支援学級教諭)
その1 2019/12/10(火)入野協働センター 参加者13名
その2 2019/12/17(火)入野協働センター 参加者13名

特に外国ルーツの子どもや読み書きが苦手な子どもに、特殊音節のルールを明確に教えるために、文字に入る以前に音のイメージを視覚的に、より簡略化して捉えられるようにするMIMについて、元発達支援学級教員の前堀さんから具体的な活用法を2回にわたってお話しいただいた。

学習支援現場では、数学の計算は理解が早いが、文章題になると頭を抱える中2の男子に、MIMのアセスメントMIM-PM(Multilayer Instruction Model-Progress Monitoring)を実施したところ、促音や拗濁音に対する弱さを発見。毎回このテストを繰り返し、評価点がアップしていったため、本人はテストを楽しみにするようになり、計算だけでなく他の勉強への意欲も示し始めた。

MIM勉強会

研修会「アナログゲーム×療育」 

講師:松本太一さん(療育アドバイザー)

  2020年2月2日(日) あいホール203 参加者30名

アナログゲームは「競い合うライバル関係」「ルールを守り合う協力関係」の二つの人間関係を学ぶことができる。デジタルゲームも人の興味や意欲を掻き立てるデザインや仕組みがあるが、アナログゲームは社会性を学べることが最大の強みである。なぜならばデジタルゲームはルールを守る協力をコンピューターが担っているのに対し、アナログゲームは双方のルールの守り合いによって成り立つものだからである。そのためにどんな手助けが必要かについて、多様なゲームを皆で楽しく試しながら、学ぶことができた。

実際に、参加した講師が担当する子どもに呼びかけ、別事業で行ったボードゲームの交流会に母子で参加してくれたが、子ども自身からは不登校の生活からの変化を希望するつぶやきが出た事例もあった。

アナログゲーム研修会

認定NPO法人 浜松NPOネットワークセンター

代表理事

井ノ上 美津恵さん

(認特)浜松NPOネットワークセンター代表理事。1998年NPOを設立。同じ志をもった自由で柔軟な多くの個人が出会い、つながることで「なにかできるんじゃないか」と平和や環境問題に取り組んでいた中、NPOという新しい動きに出会いました。個人的に寺子屋のような私塾を長く続けながら、視覚障害者支援や里親活動もおこなっていたため、NPOでは特に障害のある人のためのICTや就労、子どもの環境などに関わる事業に取り組んできました。あっというまの20年。次世代に期待しています。




助成事業の概要|浜松NPOネットワークセンター

採択団体一覧|2019年度<経済的困難を抱える子どもの学び支援活動助成>




SNSでこの記事をシェアする

一覧に戻る