公益財団法人ベネッセこども基金

コラム

ネット 子どものゲームのおわらせかた...すべての保護者にできること

子どもの安心・安全を守る活動

専門家コラム:ネット編VOL.37 担当:高橋 大洋


以前の記事「わが子のオンラインゲームの受け止め方」では、わが子のゲームへの熱中に悩む保護者のために、いくつかのヒントをお伝えしました。続く今回は、その中でも、特に難しい「ゲームのおわらせかた」について考えます。


楽しい時間を終わりにするのは誰にとっても難しい

思いだしてみましょう。オトナでも、何かに楽しく熱中していると、時間はあっという間に過ぎてしまいます。
楽しい時間を自分の意思で終わりにするのは、簡単なことではありません。
好きなゲームで遊んでいる子どもも同じです。

そもそも、すぐ目の前にある魅力に抗う力がオトナよりも弱いのが子ども。ご飯できたよーと呼ばれたからとか、約束の時間になったぐらいでは、コントローラーから手を離せないのは当然です。
でも、難しいよね...のまま放置せず、終わらせる「不快さ、不自然さ」を上手に受け入れる練習だと考えてはどうでしょう。
ゲームとのつきあい方は自己管理能力の一種です。「お終いの練習」を一緒にすることで、時間管理や気持ちの切り替えを学んでいきましょう。



上手に終えられるよう手伝うことが、保護者の仕事

まず、ゲームごとの「終わりやすいタイミング」を、保護者も知ること。
プレイの1サイクルが数分間というゲームから、最低でも15分は「終われない」ゲームまであります。プレイを観察したり、子どもに教えてもらったりして把握できます。
「終了時間とその理由」、「次にまたそのゲームができる見通し」を事前にハッキリさせておきましょう。

終了時間の決め方に納得できていないとか、保護者のご機嫌次第で条件が変わるなどでは、子どもがコントローラーを手放せなくても当然です。
「時間帯」や「時間数」は、睡眠など一日の生活リズムや他の遊びとのバランスから割り出し、決めたルールは簡単には動かさないのが鉄則です。

また、子どもが上手に終えられた時は、見逃さずに声をかけましょう。「約束通りに終われて当たり前」ではありません。
特に初めの頃は、少しくらいグズグズしても、自分からスイッチを切れれば立派なものです。







保護者は状況に応じて正義の味方を

前回記事でご紹介した機器に附属の機能制限は、設定さえしておけば、親子で合意した時間帯、時間数の上限に達したタイミングで、ゲームを確実に「おしまい」にすることができます。
ゲームの楽しさを取り上げる「嫌われ役」を、保護者が毎回引き受ける必要はありません。

ただし、終わりの時間から逆算して「最後のプレイ」を始め、時間内にちょうどよく終わらせるのは、特に低学年の子どもには少し難しいかもしれません。
そんな時に「事情に合わせて設定を変える(少しだけ時間を延長する)」のはアリでしょう。
「あと少しだけ伸ばして!」と子どもに言われたら、約束は約束だからと頑なに認めないのではなく、元々の約束の内容や、次からはうまく見通しを立てることの大切さを話し合った上で、ぜひお子さんにとっての「正義の味方」になってあげてください。



慌てずじっくりと付き合おう

ここまで紹介してきた「ゲームのおわらせかた」の習得に、近道はありません。できたことができなくなる一進一退も珍しくありません。
保護者は月単位、年単位で、子どもの進歩にじっくり付き合う覚悟が必要です。保護者自身も上手な「おわらせかた」に挑戦している様子を見せられると最高です。
そして、何よりも大切な保護者の役目は、子どもと一緒に、オンラインゲーム以外にも「楽しい時間の過ごし方」を見つけることです。
どんな遊びに夢中になるかは、子どもによって、また年齢や友だち次第で大きく変化します。ぜひ親子でいろいろな遊びに挑戦しましょう。





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株式会社ミヤノモリ・ラボラトリー 代表取締役

高橋 大洋さん

フィルタリング開発会社での勤務をきっかけに、「ネットとのつきあいかたをオトナにも分かりやすく」に取り組む。子どもとネットについての調査・研究や教材開発、指導者養成の他、保護者・教員向け研修講師としても活動。著書(共著)『学生のためのSNS活用の技術』(講談社)。子どもたちのインターネット利用について考える研究会 事務局、一般社団法人セーファーインターネット協会(SIA) 事務局、ポールトゥウィン株式会社 契約パートナー、小樽商科大学・帯広畜産大学・北見工業大学 非常勤講師。札幌市在住、子どもは16歳と13歳。

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