公益財団法人ベネッセこども基金

コラム

ネット 子育てが楽しくなるスマホとの付き合い方 ~赤ちゃんとゲーム~

子どもの安心・安全を守る活動

専門家コラム:ネット編VOL.21 担当:松田直子


昔はテレビ、今はスマホ

泣いている子どもにスマホを見せるとすぐに泣き止むので助かる、というのはもはや珍しい話ではなくなりました。
私が子育てした1990年代には、VHSの子ども向けビデオが並んでいましたし、それ以前の世代ではアニメや人形劇などのテレビ番組を見ていた記憶が多くの方にあります。
つまり子育てはこれまでも何かしらのメディアに助けられてきて、今はそれがスマホになったということなのだと思います。



ゲームをさせるとなぜ泣き止む?

ただスマホが従来のメディアと違うのは、音楽を聴いたり動画を見たり写真を撮ったりアルバムを見たりと、多くのことができてしまうところで、そのひとつにゲームがあります。
ですが赤ちゃんは誰かと闘うわけではないし、壮大な冒険に出かけるわけでもありません。
画面を触ると場面が変化することが、泣くのを忘れるくらいの刺激になっているということでしょう。
子育てに便利に使う一方、それほどの強い刺激であるものを乳児期から使わせることに、心配する声も少なくありません。



もしゲームをさせるなら...

さてスマホが世の中に登場してまだ20年経過していないこともあり、はっきりとしたスマホと発達の関係は示されていない状況ですが「スマホに安全設定をして、親子で話し合ってルールを決めましょう」というのはもはや定説です。
ですがそれはもう少し子どもが大きくなってから。ここではその前の乳児~幼児期を考えてみましょう。



アプリの選択は慎重に

まずアプリの選択はとても重要です。一人きりの世界に没入し、会話が減ってしまうタイプは避けて、親子のコミュニケーションを促進するものや、動く絵本のように創造性や思考力を育むようなもの、親子で笑顔が増えるものにしましょう。

ちなみに「NHKキッズ」は、おもに3歳から7歳を対象にしたアプリで、専門家の監修のもと良質なコンテンツが揃っているので安心です。



「赤ちゃんにゲーム、大丈夫なの?」を一旦整理する

また、たくさんの睡眠時間が必要な赤ちゃんに、睡眠を妨げるほどの使い方は考え物です。WHOからは「ゲームは1歳ではお勧めしない、2歳でも少ないほど良い」といったガイドラインが示されていますし、医療関係者からは「早くからゲームをすると依存になる傾向がある」という指摘もあります。

このような専門家の知見を参考に、そもそも今ゲームをさせるのか、させるならどれくらいの頻度や時間が適切なのかを、下記、スマホの7つの約束~親として、大人として~の項目も参考に、子どもに関わる家族みんなでしっかりと考え、話し合い、共有しておきましょう。



スマホの7つの約束~親として、大人として~

①1日の利用時間を決めましょう(1日○分まで・夜○時まで)
②寝る時には、できるだけ絵本を読むなどして親子のふれあいを大切にしましょう(スマートフォンの発するブルーライトの影響で、睡眠の質が下がるといわれています)
③食事中は、会話を楽しみましょう
④お出かけの時は、親子とも、できるだけその場の体験を楽しみましょう
⑤アプリは、保護者が責任を持って選びましょう
⑥フィルタリングやセキュリティ対策をきちんとしましょう
⑦子どものお手本になるような使い方を心がけましょう

くわしくは、NPO法人イーランチサイトをご参照ください。
「なんとなく使わせて漠然と不安」というお気持ちを一人で抱え込まず、一旦整理してすっきりしたところで改めて育児を楽しみましょう。

しかしなんといっても子どもは大人をよく見ていますので、子どもの前で私たち大人がどんな使い方をするのかが、実はもっとも大切なことなのかもしれません。



NPO法人イーランチ

NPO法人イーランチ 理事長
静岡県ネット安全・安心協議会委員

松田直子さん

NPO法人イーランチは、地域の情報化支援と女性の社会参加の応援を目的に、2003年4月静岡県焼津市において設立。主な活動は、母親目線を大切にする「インターネット安全教室」、子どもたちのネット利用の見守り活動「学校ネットパトロール」など。内閣府作成リーフレット「スマホ時代の子育て」監修や東京都私立幼稚園連合会「都私幼連だより3月号」「赤ちゃんとママ」「月刊ファミリス」他、多数執筆。

内閣府作成リーフレット

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