公益財団法人ベネッセこども基金

コラム

ネット ネットトラブルへの家庭での関わり方

子どもの安心・安全を守る活動

専門家コラム:ネット編VOL.13 担当:谷山 大三郎


ネットいじめだけでなくオンラインゲームのトラブルが増えている

本テーマのコラムを書くにあたり、まずは子どもたちの間でどのようなネットいじめが行われているのか、現役の小学校校長にお話を伺いました。
そこで分かったことは、スマートフォンやSNSを利用したネットいじめに加え、最近ではオンラインゲーム内で行われるグループチャットでのいじめやトラブルが増えていることでした。



オンラインゲームのボイスチャットでエスカレートした事例

オンラインゲームには、ボイスチャットという機能があります。プレーヤーは、マイク付きイヤホンをしながらゲームをすることで、他のプレーヤーと会話しながらゲームを行うことができます。そして教室内など普段の生活の中ではトラブルのないグループの子どもたちが、オンラインゲームのボイスチャット内での会話で、乱暴な言葉づかいや強い口調で相手を傷つけてしまうような事例が目立つとのことです。
幸いにも保護者の方が子どもから相談を受け、早期発見、早期対応することができました。具体的には保護者の方が学校へ相談をし、その後学校の方で、どうしたら楽しくオンラインゲームを続けることができるのかを子どもたち自身が考え答えを出す指導をしました。その結果、オンラインゲームでのトラブルは見られなくなったようです。



解決のポイント1:子どもへ「相談先」を定期的に伝えることの大切さ

冒頭にご紹介した小学校の解決事例は、ネットトラブルへの家庭での関わりにおいてとても参考になると考えています。ポイントは二点あります。

1点目は子ども自身が保護者に相談をしたことです。ネットいじめを含むネットトラブルは、周囲の大人から見えにくく早期発見が難しいという特徴があります。そのため、ネットトラブルを早期発見し早期対応するためには、被害者がいかに自分から相談することができるかがとても大切です。普段から子どもたちとトラブルについて機会があれば会話をし何かあったら安心して相談してほしいことを伝えておくとよいと思います。

一方で自分のいじめやトラブルのことを、保護者に相談したくない気持ちを持つ子どももいます。私もいじめ被害経験者であり、いじめやトラブルがある時ほど両親に心配をかけなくない、大ごとにしたくないという気持ちから相談できませんでした。そのため、家庭や学校以外にも相談できる先は色々あるということも定期的に伝えてあげることもおすすめです。



解決のポイント2:子ども達自身で考え答えを出す習慣を

小学校の解決事例のポイントの2点目は、子どもたち自身が問題を考え今後どうしたらよいか答えを出したことです。
SNSやオンラインゲームなどネットサービスは、没頭しやすいという特徴があります。これは私たち大人も同じで、気づいたら他者とのやり取りに対してイライラしたことがある、何時間もインターネットサービスを利用していたという経験を持つ方もいらっしゃると思います。そのため、ネットサービスを利用する際は、自ら利用方法や利用時間、何に気をつけるか意識するなど自らをマネジメントすることが大切です。

今回の小学校での事例では、子どもたち自身が問題を考え答えを出すことで解決に至りました。まず自分たちで問題を認識し、自分ごとと捉え、一人一人が適切な判断をできるよう周囲の大人がサポートすることだと考えています。

私は3歳の息子と1歳の娘がいます。自分の子どもを含め、子どもたちが被害者にも加害者にもならないことを願い、一人の保護者として私も自戒を込めて、記載したことをしっかりと取り組んでまいります。



ストップイットジャパン株式会社

ストップイットジャパン株式会社 代表取締役

谷山 大三郎さん

1982年12月生まれ。ストップイットジャパン株式会社代表取締役、一般社団法人てとり代表理事、千葉大学教育学部附属教員養成開発センター特別研究員。いじめに苦しむ子どもたちがいつでも相談、報告できるアプリSTOPitの普及*1、アスリートと協働して、いじめなどの悩みを相談する窓口を周知するプロジェクトの推進*2、いじめ防止啓発を目指した学校向け教材の開発に取り組む。

*1 http://www.stopit.jp/

*2 https://standbyyou.jp/

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