公益財団法人ベネッセこども基金

コラム

防犯 警察庁の防犯コンテンツが公開されました

子どもの安心・安全を守る活動

安全インストラクター武田信彦のコラム
「一般市民による防犯とは?」(第45回)



調査研究を反映した防犯啓発の動画とリーフレット

 警察庁から新たな防犯コンテンツが公開されました。
 子どもや女性が被害に遭う犯罪や不安を感じる行為などが後を絶たず、また、社会全体に影響を与える重大事件もたびたび発生しています。そのような状況を踏まえ、昨秋には警察庁による防犯に関する調査研究が発表され、その結果を反映した新たな防犯コンテンツが先日公開されました。内容としては、おもに以下の3テーマです。

 ①子どもの防犯
 ②女性の防犯
 ③防犯ボランティアの活動促進

 警察庁掲載ページは【こちら】

 それぞれ、動画(30分、10分各バージョン)と、リーフレットでの構成となっており、警察庁のホームページ上で誰でも視聴することができるようになっています。これらのコンテンツでは、調査研究の結果を踏まえ、犯罪が発生しやすい場所や環境、リスクが高まる状況などについてイラストを用いてわかりやすく解説されています。さらに、さまざまな犯罪のケースに応じた予防策や対応策、相談窓口についても掲載されています。



市民防犯の立場から助言を務めました

 防犯コンテンツの制作にあたり、警察庁から依頼を受けて助言を務めさせていただきました。警察の視点だけでなく、私が提唱する「市民防犯」の視点からも提案を行い、より伝わりやすいもの、啓発がしやすいものになるようアイデアを出しました。私がとくに重要だと考えているのは、防犯を個人のみが負担を感じるものにしないということです。地域や社会全体を含めて「みんなで取り組む」ことが大前提であり、見守りや助け合いをベースとした防犯対策が何よりも大切だと思っています。こうした観点を、コンテンツの中にもさまざまな形で反映していただきました。このコラムをこれまでお読みになっている方であれば、警察庁の防犯コンテンツに反映されている市民防犯の観点について、すぐにご理解いただけるかと思います。

 さて、防犯コンテンツは、完成がゴールではありません。これから、多くのみなさんに伝えていくことが重要となります。わかりやすい動画とリーフレットが用意されたことで研修などでも活用しやすくなりました。現状では、コロナ禍により大勢が集まる研修会そのものの開催が困難ではありますが、掲載ページから視聴する、周囲の人へ伝える、さらに来年度の研修に向けて活用方法を練るなども有効なのではないでしょうか。

 引き続き市民防犯の視点から、一人ひとりの安全力の向上、人と人とがつながり合うような防犯対策を提唱していきたいと思います。



うさぎママのパトロール教室

うさぎママのパトロール教室主宰
安全インストラクター

武田 信彦 さん

犯罪防止NPOでの活動を経て、2006年より安全インストラクターとして活動を開始。「市民防犯」のパイオニアとして全国で講演やセミナーなど多数実施中。子どもたちを対象とした「安全ワークショップ」も好評を得ている。
著書には「SELF DEFENSE 「逃げるが勝ち」が身を守る」(講談社)ほかがある。

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