公益財団法人ベネッセこども基金

コラム

ネット 学校再開!ネットが起因のトラブルが多発?

子どもの安心・安全を守る活動

専門家コラム:ネット編VOL.4 担当:石川 千明


自粛解除、学校再開。

分散登校から始まり、徐々に給食も再開され、新しい生活様式に親も子も先生も皆が戸惑い手探りで学校が再開されました。

そして学校が始まった途端、あちらこちらから懸念していた『困った』の声が届きはじめました。


学校に行くのがしんどい子、座っていられない子

まずは、『学校に行くのがしんどいという子、じっと座っていられない子が多い』という声です。

長期休業中、勉強の合間にゲームをしたり、動画を見たり、寝転がったり、遊んだりと自由気ままに3ヶ月過ごしたため、授業の45分間をじっと座って先生の話を聞くのが困難になっている子どもが多いようです。

相談では昼夜逆転している子どもも多く、『学校に行って席に座っているのがしんどい』からという理由から、不登校気味になっている子どももいました。


SNSのトラブル

同じように相談が多いのがSNSでのトラブルです。このような声が聞かれました。

① クラスのSNSグループで話がエスカレートしていって暴言に傷ついた。
② グループに入れてもらえない、グループを退会させた(させられた)。
③ 写真を勝手にグループに投稿された。
④ グループで盛り上がってると抜けられない(寝られない)

コロナ禍が、3~4月という年度末、年度初めに起こったため、進学先や新学年でのクラス替えなどもあり、実際に会うことなく、人間関係の構築できていない状態でSNSによるコミュニケーションをとるため、非常にこじれてしまったケースもありました。

学校の先生から、当該のSNSグループから全員退会し、グループを解散するように指導された事例もありましたが、この場合グループを解散させても、別のグループができるだけで根本的な解決にはなりません。むしろ無数にグループが増え、仲間外し等のいじめがエスカレートしていく恐れもあります。

なぜそのようになってしまったのか、同じようなトラブルを起こさないためにどうすればいいのかの話し合いをし、友だち同士やクラスでで使い方について確認をする必要があります。


子どもたちの様子に気をつけましょう

学校再開と同時に、新しい人間関係作りも始まっている頃ですが、休業期間にすでにSNSで仲良しグループができている場合もあり、通学して初めてそのことを知って、驚くとともに、友だちづくりのスタートを出遅れてしまい、学校のいつメン(いつものメンバー、いつものメンツ)グループがいないことに寂しい気持ちを感じてしまうこともあるようです。

朝になると、頭が痛い、おなかが痛い等の体調不良を訴えたり、スマホを急に見なくなった、学校に行きたがらない等、SOSのサインがでている場合はわかりやすいですが、表から見えにくい場合も多くあります。 

例年、9月1日前後に子どもの自殺が増える傾向にありますが、今年はコロナ禍のために、学校再開の今がとても不安定で心配な時期で、夏休み明けと同じ状況になっているように感じています。

保護者の皆様においても生活の立て直しのために忙しい時期とは思いますが、子どもが困ったとき、苦しいときに相談できる親子関係になるためには、日ごろからの寄り添い、声掛けが大切です。また、おうちの方も困った場合は、自分だけに留めずに、ぜひ様々な機関に相談されることをお勧めします。

石川千明公式サイト

NPO法人 奈良地域の学び推進機構・理事、京都府警察 ネット安心アドバイザー

石川 千明さん

(株)カプコンでゲーム企画を担当。 退職後web企画制作、コンサルタントとして活動。'01年~子育て支援グループいこま育児ネット設立、'08年~自治体、学校等でICT支援活動を開始。それらの経験また母親目線から、わかりやすくネットトラブルの現状と対策を解説する。

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