公益財団法人ベネッセこども基金

コラム

防犯 突発的な犯罪から身を守るために

子どもの安心・安全を守る活動

 

安全インストラクター武田信彦のコラム
「一般市民による防犯とは?」(第32回)

 

 残念なことに、刃物を使用した通り魔事件がたびたび発生しています。このような事件が起こるたびに、衝撃や不安とともに、日本中が深い悲しみに包まれます。地域の防犯活動に積極的に取り組む方たちも多い中で、育まれた安全・安心を破壊する許されない犯罪です。

 もし一般市民が突発的な凶悪犯罪に遭遇してしまったら、どのようにして身を守ればよいのでしょうか。今回は、このような突発的な事件に対して身を守るために私たちができることについて考えていきます。

 

■心構えをもつ

事件はいつ・どこで発生するかわかりません。自分の周りだけは安心だと過信せず、心の片隅に警戒心や危機意識をもっておくことが必要です。

 

■いざというときの想定をする

突発的な犯罪へ対処するためには、瞬発的に行動しなければなりません。普段の生活圏で発生した場合、どこへ逃げるか、身を守るものは何か、などを日ごろから想定しておきます。

 

■「すぐに」が大事

・すぐに察知する
・すぐに逃げる、離れる、近づかない
・すぐに通報する(110番)

 通り魔的な事件は短時間に発生し重大化する傾向があります。もしも事件に遭遇してしまった場合は、「すぐに」が最重要です。危険を察知して、すぐに逃げる・その場から離れるなどの行動をとります。また、いち早く警察へ通報しましょう。救急車も手配してもらえるので、まずは110番。通報の際は、住所表示板、交通標識の管理番号、電柱の管理番号などを確認すると現在地を伝えることができます。

 

■あらゆる物で身を守る

・防護 : 楯となる物で身を守る
・抵抗 : 楯が無い場合は、身の周りの物を使い抵抗する

 刃物による危険が身近で発生した場合は、すぐに防護を行います。身の回りにあるものを「楯」の代わりにしましょう(※1)。とくに命の危険が迫った場合は、道路にあるものや公共物等あらゆるものを用いて楯を設けます。もし、楯になるものがない場合は、手に持てるもので抵抗を行います。相手を近づけさせず、保護や避難を行う時間を稼ぐのです(※2)。

 

 ※1:平時に公共物等を勝手に持ち出したり使用したりすることはできません。
 ※2:日本では護身用の武器(ナイフ、警棒など)の所持は認められていません。

 

■自助と"近助"が命を守る

 地震などの自然災害発生時は、自助、共助、公助がもとめられます。一方で、突発的な暴力や事件の場合は、自助とともに、たまたま居合わせた者同士で助け合う「近助」ともいえる力が欠かせません。自助と近助を高めるためには、一人ひとりが防犯を「自分事」としてとらえ、心構えを持つことが必要です。

 

このような犯罪が起こらないことがいちばんではありますが、いつどこで何が起こるかわからない社会。一人ひとりの安全意識を高め、周囲を見守り、助け合うことが大切だといえるでしょう。

 

 

拙著「もしもテロにあったら、自分で自分の命を守る民間防衛マニュアル」(ウェッジ)で、さらにくわしく知ることができます。

 

→興味を持たれた方はこちらをご覧ください。※別サイトへリンクします。

 

※著書タイトルの「テロ」には、通り魔などの人為災害を含みます。

 

うさぎママのパトロール教室

うさぎママのパトロール教室主宰
安全インストラクター

武田 信彦さん

犯罪防止NPOでの活動を経て、2006年より安全インストラクターとして活動を開始。「市民防犯」のパイオニアとして全国で講演やセミナーなど多数実施中。 子どもたちを対象とした「安全ワークショップ」も好評を得ている。
著書には「SELF DEFENSE 「逃げるが勝ち」が身を守る」(講談社)ほかがある。

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