公益財団法人ベネッセこども基金

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MeetUp2021#3 『子どもの権利って何だろう?子ども支援の現場から「子どもの権利」を考える会』

ベネッセこども基金MeetUp2021#3『子どもの権利って何だろう?子ども支援の現場から「子どもの権利」を考える会』を3月19日に開催しました。



当日の映像と資料、ご質問への回答が準備できました。



◆投影資料はこちらから

林大介氏_基調講演「子どもの権利とはなにか -大人たちがすべきこと」


三好祐也氏_病気なのに学びって必要なの?


千葉明子氏_在日ブラジル人の子どもの学びの機会と権利



◆当日の映像はこちらから
※一部のデバイスからは、ご覧いただけない場合があります。

※万一、画像から動画が視聴できない場合は、こちらのURLからお試しください。

MeetUp2021#3『子どもの権利って何だろう?子ども支援の現場から「子どもの権利」を考える会』




◆質問への回答はこちらから

※質問の回答はこちらから一覧でもご覧いただけます。

MeetUp#3 QA.pdf


質問1 子どもの権利を尊重。どう行動したらいいか分からない
 ※林様よりご回答
質問2 子どもたちの社会参加で気を付けることは?
 ※林様よりご回答
質問3 子どもにとって最も善いこと。どう判断すればいい?
 ※林様ご回答
質問4 子どもが発信者になる際の工夫は?
 ※林様、宮本様より回答
質問5 公立学校の外国ルーツの児童生徒支援 制度の理解がまず難しい 
 ※ブレイクアウトルームに参加された方からのご回答
質問6 復学前の子どもたちへの支援は?
 ※三好様ご回答

質問1 子どもの権利を尊重。どう行動したらいいか分からない

今の大人は、子ども時代に権利を尊重された経験が少ないため、どう行動したらいいのか分からないのではないでしょうか?

※林様よりご回答

その気持もわかります。
大人自身も一人の人間として認められているかは大事ですが、子どものときに認められていなかったから今もと大切にしなくてよいという話ではありません。どうやったら子どもの権利を守っていくかを考えていくことは大切で、それは大人の権利を守ることと一緒にやっても良いかと思います。 権利を学んでこなかったこともあり、日本人には難しいし、権利という言葉が固くとっつきにくく、「強い意見ばかり言うやつ」という印象で「義務を果たせ」という気持ちもわかります。
なので、わからないから一緒に考えようとなってほしいです。 「今の社会で良いのか。子どものためになっているのか。」を考え続けてほしいです。昔にはもどれないから、今の時代の中でどうやったらいいか、子どもが安心して生きる社会になっているかと自分ごととして問いかけを続けていっていただけたらと思います。
何より、大人が「子どもが声を出すことが大事だよ」と発信し続けること、その姿を見せることが大切です。講演の最後の方にもお伝えしたように、板橋区の陳情なども、大人が子どもの声をきいたことから始まりました。

質問2 子どもたちの社会参加で気を付けることは?

子どもたちに社会参加をエンカレッジする上で、気をつけたほうがよいことなど、ありますか?
というのも。。
海外で見た例です。小学生が、大手スーパーマーケットチェーンにあてて「フリーレンジじゃない卵は売らないで!鶏がかわいそう」と手紙を出した結果、そのチェーンでは、数週間でフリーレンジ以外の卵は売らなくなりました(しかし、一年後に販売再開)。私は正直、スーパーマーケットの素早い判断に違和感を覚えました。
「ちいさな子どもが言っているんだから」と、きちんとした理由なく対応した印象があったからです。もし、大人からの意見ならば、もっと激しいディスカッションがなされたことでしょう。スーパーマーケットの姿勢は、むしろこどもをバカにした態度のように感じてしまいました。
林さんの方で、私たちや子どもたちに、アドバイスはありますか?

※林様よりご回答

海外のスーパーマーケットの対応が素早かったのが、子どもからの手紙だったからなのか、おとなからの意見の場合は異なった対応をとったのかについては、何とも言えません。
ここで大事なのは、スーパーマーケットがこうした対応をとった理由を、子どもであれ、おとなであれ、きちんと説明をしているのかどうか、だと考えます。
「意見を伝える」ことに対して、きちんと向き合う姿勢があるのか、(面倒くさいから)とりあえず対応するだけなのか、無視してしまうのか。そうした面を、子どもは見ることによって、成長をしていきます。
講演内において、板橋区の小学生の事例を取り上げましたが、陳情を行ったことで、区議会議員がきちんと議論をし、議論過程を明らかにして、結論を出しています。陳情した小学生も「あきらめずにきちんと伝えたことで、自分たちの意見を取り上げてもらうことができた」「全部が採択されなくても、その理由がきちんと説明されたので、採択されなかった理由を理解できた」というように、「意見を伝える」ことを前向きにとらえる=エンカレッジできるようになります。
確かに「大人が決めること!」と言ってしまったほうが早いかもしれませんが、丁寧に説明することは、理解する機会を増やし、意見を伝えることの意義を認識させ、市民意識を高めることにつながります。
「子どものくせに」と言ってしまう前に、大人がいったん、子どもにどのように伝えたらいいか考える余裕を持つゆとりが、必要だと思います。

質問3 子どもにとって最も善いこと。どう判断すればいい?

子どもにとって最もよいこと(最善の利益)。実際にはどう判断(評価)すればよいのでしょうか?
※親の思いが子どもと違ったときどうするかといったお話があったときに出た質問です。

※林様よりご回答

いちいち子どもに確認するのは手間も、時間もかかります。大人が先回りしたほうが早いことも多々あると思いますし、仕事や育児で忙しい中でゆっくりと時間を確保するのが難しい時もあると思います。
とはいえ、大人が一方的に「この子はこれが良いに決まっている」と決めつけてしまっても、はたしてその通りなのかは、本人に聞かないと分かりません。
だからこそ、少しでも時間のある時に、「あなたはどう思う?」「お父さんは〇〇という理由で、こっちが良い/良くないと思うけど、どうかなぁ?」といった問いかけをしてほしいです。
そうした問いかけがあることで、たとえ、大人と同じ意見だったとしても、子ども自身が「自分の思いを聴いてくれている」と感じることができるようになります。

質問4 子どもが発信者になる際の工夫は?

子ども自身の発信を数年前より行っていますが、当初は親の意見なのじゃないかとか、風当たりがあまり良くなかった経験をしました。
小学校高学年になってやっと自分の口で言語化できるようになって、やっと理解され始めた気がします。(それでもゆっくりですが)
そうすると、子ども自身のプライバシーの問題を心配せねばならず・・・ その辺りの工夫について教えていただけるとありがたいです。

※林様よりご回答
< 子どもが発信したことが後から自分に返ってくることを考えれば、工夫が必要だと思います。特にネット社会では難しく、対面はいいがネットはやめるなど考えたほうがいいかなと思っています。

※宮本様よりご回答
親ができる配慮の限界もあります。子どもYouTuberがアグレッシブな発信もしているが、大人になってそのままの自分であるとは限らないし、大人は子どもの考えだからできるだけそのままに発信させたい気持ちもわかります。
そう考えると、この先考えが変わってもそれが認められたり、削除依頼とかも簡単にできるような社会となれば良いなと感じます。
「考えが変わること」に寛容な社会になればよいと願っています。

質問5 公立学校の外国ルーツの児童生徒支援 制度の理解がまず難しい

公立学校の日本語担当教員は担当が頻繁に変わり、制度の理解も難しいです。何か良い方法はありますか?

※ブレイクアウトルームに参加された方からのご回答

国は外国ルーツの児童生徒への支援に力を入れていますが、初めての人には色々な制度を読み解くのが難しいのは確かだと思います。 文科省はそのような学校・先生向けに「外国人児童生徒等教育アドバイザー」の派遣事業を実施しています。
「外国人児童生徒等教育アドバイザー」派遣の実施について
また、動画による指導支援コンテンツも文科省から公開されています。
外国人児童生徒等教育に関する動画コンテンツについて
これらを活用するのも手ではないでしょうか。

質問6 復学前の子どもたちへの支援は?

復学前の子どもたちへの支援はありますか?

※三好様よりご回答

院内学級が設置されている病院の取り組みとしては,院内学級を卒業し復学した先輩を院内学級におよびして、復学時の体験談を語ってもらう取り組みをしているところもあります。友だちに聞かれることを予め予測しておくことで心構えができますし、どのように答えればよいか考えられるため、精神的に安心して復学の準備ができると思います。 経験者からの助言は、当事者である子どもたちにとっても他の人が言われるよりもよりリアルに響くこともあるようです。
「復学支援は、入院したときから始まる」と言われることもあり、病気になり子どもが入院した直後から復学に向けて支援を行う必要があります。もちろん、入院したての頃=急性期であったり、病気の状態が良くなかったりすることも多いため、支援をする際には体調や、その子どもや保護者の気持ちにも配慮する必要があります。
退院の目途が立ってきたころには「復学調整会議(復学支援会議)」と呼ばれるケース会議が開かれることもあります。担当のドクターやナース、ソーシャルワーカー、院内学級の先生、復学していく学校の担当の先生方や、保護者、必要に応じて子ども本人も参加することがあります。
今回の発表の中にもあるように、院内学級が設置されてある病院は良いですが、設置されていない医療機関も多く、そのような場合には各地の病弱児支援団体の力を借りたり、本人(保護者)が退院後に通う地元の学校と連携したりしながら行うことが多いのが実情です。


ご登壇いただきました林様、宮本様、千葉様、三好様、どうもありがとうございました!

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