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2020/01/21 (火)

算数の学習におけるよくある困り

算数の学習におけるよくある困り 白百合女子大学発達臨床センターの心理学博士 理学修士 秋元有子先生にお話を伺いました。

算数でのニガテはお子さまによってさまざまであり、「お金の計算は得意だけど、計算問題はニガテ」というお子さまもいたり、逆のお子さまもいます。一概にこれがニガテということは言い切れませんが、

・かけ算の筆算やわり算の筆算のように、決まったやり方で順に計算していくこと

・2けた→3けたのように数を膨らませて想像して考えること などに難しさを感じる場合が多いようです。

たとえばお子さまが学校のプリントやチャレンジの問題につまずいていたら、その問題そのものではなく、何につまずいているのか本質を見つけることが大切です。

具体的な事例と解決策について

CASE①日常的な場面での数はわかっているのに、プリントなどで数字の問題をだされるとわからなくなる

たとえば「りんごが7つあるね。2こといくつにわけられるかな?」と問いかけると「2こと5こ」に答えられても、「7は2といくつになる?」と問いかけになると、具体的な数の「7」と記号としての数字の「7」が結びつかず、わからなくなるといったことがあるようです。

その場合は数字を分解して理解させようとするのではなく、具体物を使っての操作に戻ってみましょう。 実際におはじきなどを使って操作をさせて、合成、分解などを繰り返し、どの数までなら正確に理解できているかを確かめます。曖昧な数があれば、何度も繰り返して、その数の合成、分解ができるようにしてから次に進みましょう。数は「量」であり、自分で実際に操作してその「量」を感じることが大切です。まずは1つ1つの数の大きさを操作を通して理解してから、その数を1つ1つ数字に置き換えていきましょう。

CASE② けたの大きい筆算でつまずいている

たとえば「3けたの筆算が何度やってもできない」などということはありませんか?

まずはどの段階の筆算でつまずいているのか確認しましょう。大人にとっては、2けたの筆算も3けたの筆算も同じでも、お子さまにとっては全く別物です。 もし3けたの筆算につまずいているようでしたら、2けたの筆算ならできるのかを確かめます。2けたの筆算も曖昧なようであれば、まずは2けたの筆算を「できるように」してから、3けたの筆算に進むようにしましょう。 筆算の型はさまざまですので、どの型の筆算につまずいているか、前の学年の教科書やチャレンジなどを使って見つけてみると効果的かもしれません。 筆算は小2のたし算ひき算の筆算からはじまり、小5の小数のわり算かけ算の筆算まで続いていきます。決まったやり方で計算していく単元なのでニガテになりがちですが、繰り返し練習して1つ1つの課題を解決していけば大丈夫です。

CASE③ お金の計算ならできるけど、学校のテストの計算ができない。

たとえば「30円と40円を合わせるといくらになる?」という問いかけには「70円」と答えられるのに、「30+40」のような式になると答えられなくなるといったことはありませんか?

段階を経て、「お金」を使って考えることから離れていければ構いません。 まずは「30+40」という式をお子さまが考えやすい「30円と40円を合わせるといくらになる?」という場面に逆に置き換えてあげてください。

実際に10円玉を操作して、「30+40」の場面を一緒に作ってみてから「30円+40円を合わせると70円になる」ということと、「30+40=70」が同じことを示していることをおさえましょう。 「30+40」になる場面をおさえ、操作を繰り返し経験するうちに、実際に操作をしなくても頭の中で「30+40」の場面を想像できるようになります。 日常生活の中で、計算の場面がでてきたらチャンスです!ぜひ率先して、計算をさせてみてください。

CASE④ 学校のテストならできるけど、ざっくりとした計算ができない。

たとえば「1000÷150」は解けるのに、「1000円で150円のものを好きなだけ買ってきて」といったお買い物の場面になるとわからなくなる。 ※CASE③とは逆のタイプのお子さまの事例です。

決まったやり方で順に計算をすすめていくことや公式を覚えることが得意な子に多いケースです。学校のテストなどは得意なため、ニガテが見えにくく、ニガテに気づきにくい面がありますが、できるだけ早い段階で「数」の経験をたくさんさせてあげることが大切です。 具体的にはお菓子を分けたり、お金を使ってお買い物をしたり、おもちゃの数を数えたりなど日常にある場面で構いません。さまざまな日常での経験を積み重ねて「量」と「数」の感覚を養っていきましょう。

【算数学習についておうちの中でできること】 決まりきったやり方で順に計算していくことや数を膨らませて想像して考えることがニガテなお子さまにとって、計算問題など処理の要素が多い算数の学習はつらい学習になることが少なくないかもしれませんが、中にはユニークな解き方で問題を解いて、大人を驚かせる自由な発想をもったお子さまもいらっしゃいます。

お子さまが学校での算数やチャレンジでの学習で、もしつまずいていたら、つまずいた問題そのものを何度も解き直したりするのではなく、時間はかかりますが、お子さまがどこでつまずいているのかを1つ1つさぐり、1つ1つの課題を少しずついっしょにクリアしていってあげてください。

小学校の算数の土台は何といっても「数」と「量」の「経験」です。日常での数の体験の積み重ねが算数の土台となっていきてきますので、ぜひ日常生活の中でたくさんのきっかけをお子さまに与えてあげてください。

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