こんにちは。お茶の水ゼミナール英語科講師の堤です。
文法講義連載第5回目は「時制・相」。
中学生のときに「現在形」や「過去進行形」などを学習してきたと思うので、なじみ深い分野だと思います。
ただし、英語の核となるSVのV(述語動詞)に大きく関わるこの分野の真の理解が不十分だと、英語を読むときだけではなく、英語を作るときにも大きな影響がでてしまいます。
そこで、今回は日本人にとって区別がつきづらい過去形と現在完了の講義をしていきます。
「現在完了」で"主に"伝えたいのはいつのこと?
早速「ジョンがティーポットを割った」という日本語を英語にしてみましょう。
(1) John has broken the teapot.
(2) John broke the teapot.
(1)は現在完了、(2)は過去形を使っていて、どちらも正しい英語になります。
(1)を使うときは「割った」影響が現在も続いている、つまり「現在も割れている」という意味が含まれます。
(2)を使う場合は、過去の事実として「割った」ということに焦点があり、現在も割れているかはわかりません。
次の現在完了の例も見てみましょう。
(3) I've had a bath. (I'm now clean.)
「風呂に入ったよ(だからいま私は清潔だ)」
「~した」という意味では過去形、現在完了のどっちを使ってもいいのですが、この例でもわかるように現在完了はあくまでも焦点が「現在」にあり、過去の行為の影響が現在も残っていることを表す表現だと考えられます。
ここまでは「現在への影響」という観点から現在完了と過去形の違いを見てきました。
次もテストによく出るポイントから、この二つの違いについて見ていきます。
「私は2時間前にその仕事を終えた」という日本語を英語にしてみましょう。
(4) × I have finished the job two hours ago.
(5) 〇 I finished the job two hours ago.
(1)(2)と同じく「~した」という日本語ですが、ここでは(4)のように現在完了を使うと間違った表現になっていまいます。
その理由は何かわかるでしょうか?
現在完了が伝えたいのは「現在」。
過去を表す語句とセットでは使えない。
注目してほしいのは two hours ago という部分です。
two hours ago(2時間前)は明らかに過去を表していますね。
このような明確に過去を表す副詞は、(5)のように過去形と使われていても全く問題はありません。
現在完了はどうして間違いになるのでしょう?
動詞が表している時制を、大きく分けて「現在形」のグループか「過去形」のグループかに分けるとしたら「現在完了」はどちらのグループに入るか、を考えてみましょう。
現在完了は「焦点が現在にあり、現在まで影響が残っている」ことを表す表現でしたね。
ですから、現在完了は「現在形」のグループに入ります。
そうすると「現在形」グループの「現在完了」を、明確に過去を表す語句と一緒に使うのは間違っているということがわかりますね。
~agoのほかにも、 last~、 yesterday、 in those days(当時)、 once(かつて)などの過去を明確に表す副詞と現在完了は一緒に用いることができません。
さらに「いつ~したのですか」と尋ねるときに使うwhenも現在完了を用いずに過去形を使うこともセットで覚えておきましょう。
(6) × When have they arrived?
(7) 〇 When did they arrive?
この質問をする人は、答えとして ~agoやyesterday など「過去のいつなのか」を知りたい、と想像できますよね。
つまり、この文の中で、whenは過去を表す副詞として機能しているのです。
では、最後に文法問題を1問解いてみましょう。
( )に当てはまる語句を①②から1つ選びなさい。
"Have you ever seen that movie?"
"Yes, I ( ) it last week.
① have seen ② saw
どうでしょうか、解けましたか?
正解は②!
応答の文にlast weekという過去を明確に表す副詞があるので、過去形のsawが正しい表現です。
Have you~ と聞かれているからといって反射的に①have seen を選ばないように注意しましょう。
最後に、今回テーマになっている「時制・相」の「相」とは、動詞が示す動作や状態の「様相」のことです。
・He is walking to school.
(彼は歩いて学校に向かっている)
・He has walked to school twice.
(彼は2回学校に歩いて行ったことがある)
上の2つの文の時制はどちらも「現在形」グループですが、同じ walkという動詞で単純に「歩く」という意味だけではなく、植えの例ではis walkingで「進行」という様相を、下の例はhas walkedで「完了」という様相を表しています。
このような「様相」のことを文法用語で「相」といいます。
現在・過去の「時制」と進行や完了などの「相」を使いこなすことで、様々な意味を正確に表すことができます。
今回は時制の中でも「現在完了」と「(単純な)過去形」という日本人にとってなかなか区別が難しい範囲をあつかってきました。
理解は進んだでしょうか?
理解した内容を定着させて、使いこなせるようにするには、自分で訓練するのが一番です。
僕がおススメするトレーニングは理解した文法事項(例えば、今回の例ならば時制・相)を使った英作文をたくさん書くことです。
実際に手を動かして何度も何度も反復することによって、より理解が深まり、「英語を書く」力も身につけることができます。
このような「文法事項の理解+英作文によるトレーニング」が効果的にできるのがお茶の水ゼミナール英語monogrammarシリーズになります。
このシリーズは牧秀樹教授監修の元、生徒のみなさんがひとつの文法項目を徹底的に理解し、書き、解くことを目的とした英文法参考書・問題集になっているので、ぜひ手にとって英語力をどんどんアップさせていってください!
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<この記事を書いた人>
お茶の水ゼミナール 英語科 堤
英語は繰り返しが大事! 一日10分、15分からでいいので、英語を書く練習をしていこう!
さて、5回続いた文法講義連載もいったんこれで一区切りです。またいつかどこかでお会いしましょう。
※この記事は公開日時点の情報に基づいて制作しております。
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