旅行代理店

旅行代理店の仕事内容は?

旅行代理店の仕事内容は?やりがい、向いている人は?


旅行代理店の仕事とは旅行商品を企画して販売すること

・旅行代理店の種類と仕事


旅行代理店は、パッケージツアーなどの旅行商品を企画したり、手配したり、ほかの旅行業者が企画したツアーを仲介して、販売する会社のことです。
「旅行会社」とも呼ばれます。旅行会社の種類は、法律、資本系列、営業形態、実店舗のあるなしで次のように分類されます。

・法律による旅行代理店の種類・分類


旅行業法上では、旅行業の会社は登録の種類に応じて、以下の4つに分けられ、それぞれ業務範囲が決められています。

第1種旅行業

観光庁が管轄しています。
海外・国内ツアーの企画・実施、海外・国内旅行の手配、他社のツアーの代理販売ができます。基準資産額3,000万円以上の大手です。

第2種旅行業

各都道府県が管轄しています。
国内ツアーの企画・実施、海外・国内旅行の手配、他社のツアーの代理販売ができます。基準資産額700万円以上とされます。

第3種旅行業

各都道府県が管轄しています。
営業所の所在地と隣接する市町村に限定したツアーの企画・実施、 海外・国内旅行の手配、他社のツアーの代理販売などができます。
基準資産額300万円以上とされます。

地域限定旅行業

各都道府県の管轄です。
営業所の所在地と隣接する市町村に限定したツアーの企画・実施・手配、他社のツアーの代理販売ができます。
基準資産額100万円以上。

この4種類のほか、「旅行業者代理業」というものがあります。
これは、上記のいずれかの旅行会社と委託契約を結び、その旅行会社の旅行商品を代理して販売する会社のことをいいます。

・資本系列による旅行代理店の分類


旅行代理店は、母体となっている親会社によって、それぞれの会社が強みとする分野がわかります。

<鉄道系>

「JR東海ツアーズ」「日本旅行」「近畿日本ツーリスト」など。

<航空会社系>

「ANAセールス」「JALパック」など。

<バス会社系>

「はとバス」「福島交通観光」「南国交通トラベルサービス」など。

<船舶系>

「商船三井客船」「郵船トラベル」「郵船クルーズ」など。

<新聞社系>

「読売旅行」「毎日企画サービス」など。

<百貨店系>

「三越伊勢丹ニッコウトラベル」など。

<農協生協系>

「農協観光」など。

<インハウス エージェント系>

「NTTトラベルサービス」「トッパントラベルサービス」など。

<ツアーオペレーター系>

「ミキ・ツーリスト」「アロハセブン」など。

<ネット企業系>

「楽天(楽天トラベル)」「リクルート(じゃらん)」など。

・営業形態による旅行代理店の分類


旅行会社は、総合旅行会社と専門旅行会社に分けられます。

総合旅行会社とは、日本全国・世界各地を対象に多彩なパッケージツアーをそろえ、旅行に関する業務のすべてを自社で取り扱う企業のことです。

専門旅行会社とは、「インド旅行専門」「韓国ツアー専門」「沖縄離島ツアー専門」のように、特定の国やエリア、アクティビティーを専門に扱っている旅行会社です。

・実店舗を持つかどうかの分類(TTAとOTA)


旅行代理店は、実際の店舗をもって営業する会社と、店舗をもたずにオンラインのみで営業する会社があります。

店舗のある旅行会社のことをTTA、インターネットのオンラインのみで営業する旅行会社のことをOTAと呼びます。
OTAは、顧客がオンラインですべてを完結できる便利さから、近年売り上げを伸ばしています。

・旅行代理店社員の仕事


旅行代理店の具体的な仕事内容を、店舗のある旅行会社を例に仕事内容を紹介します。

カウンター営業(カウンターセールス)

旅行代理店のカウンターでの接客サービスです。来店されたお客さまの希望に合った旅行商品を提案して、予約申し込み、手配までを行います。
ビジネスが目的のお客さまに対して、新幹線のチケットや出張先のビジネスホテルを提案して予約したりするのもカウンター営業の仕事です。
カウンター営業は、未経験者でも採用される職種ですが、お客さまにオプションのツアーを組み立てて提案することで「ツアープラン」的な仕事も経験できます。

法人営業(アウトセールス)

学校や企業を訪問して、修学旅行や社内旅行など、団体旅行の商品を提案して、販売する仕事です。
修学旅行担当の先生や、企業の担当者を訪問して、どんな旅行が希望かを伺い、喜んでもらえそうな旅のプランを提案します。提案した旅行商品が気に入ってもらえて1件の契約が決まると、売り上げに大きく貢献できる仕事です。

添乗業務(ツアーコンダクター)

パッケージツアーや団体旅行にお客さまと同行し、プランに沿ってツアーがスムーズに安全に進むように、旅程を管理する仕事です。
観光地ではお客さまへのガイド業務も行います。チケットの手配と管理、交通機関や施設との調整、ケガやトラブル対応など、旅行者のお世話全般を行います。

商品企画(ツアープランナー)

旅行商品をプランニングする仕事で、旅行業界を志望する人が最もあこがれる職種ともいわれ、専門性の高い職種です。
いきなり新人からこの仕事につけることはなく、「カウンター営業」や「法人営業」「添乗業務」などの実務経験を経て、このポストにつくケースが多いようです。
商品を企画するためには、観光地、宿泊施設、交通機関などの情報収集や、旅行者のマーケティング調査などを行い、「ターゲットとなる旅行者がどんなテーマのプランを喜びそうか?」「予算は?」などを考えて旅のプランを練ります。
※詳しくは「ツアープランナー」参照

仕入れ/手配

交通機関やホテル・旅館などと契約をして、あらかじめ座席や客室を確保しておくのが仕入れの仕事です。
お客さまの旅程が決まった後は、電車乗車券・航空券・ホテル・レストラン・観光スポットなどの予約連絡を入れます。商品企画(ツアープランナー)の人が行うことが多い仕事です。

宣伝/販売促進

旅行商品の販売を促進するためのパンフレットやDMなどを制作します。またWebサイトの作成や運営・管理も行います。

総務/人事/経理

旅行会社にも、一般企業と同じように、会社の運営そのものを支える、総務・人事・経理の仕事があります。
総務は、社内の人たちが働きやすい環境づくりにかかわる仕事で、福利厚生の手続き、社内イベントの実施などを行います。
人事は求人情報の作成や社内の人材管理を行います。
旅行会社の経理は、一般企業と少し違っていて、お客さまから預かった旅行代金を業者へ送金したり、会社の帳簿の記録・整理、経費の精算手続きなどを行ったりしています。
旅行代理店はどんな働き方をするの?

旅行代理店の働き方 大手から中小企業まで 雇用形態もさまざま

旅行代理店には国内〜海外まで幅広いツアーを企画して販売する大手の総合旅行会社、地域を限定した国内専門の旅行会社、他社の旅行商品を販売する中小企業まで、さまざまな会社が存在します。

旅行代理店には、正社員、契約社員、派遣社員、アルバイトなどさまざまな雇用形態で働く人がいます。企画営業から添乗員まで担当する可能性のある総合職には正社員が多く、カウンターセールスには、アルバイトや契約社員、派遣社員が多い傾向です。
旅行代理店の勤務時間は会社や担当業務によって異なります。
全体的に繁忙期には残業の多い職種といわれています。
また休日もお客さまからの問い合わせの電話に対応するなど、休日出勤をする人も少なくないといわれます。
旅行代理店はどんな人に向いているの?

旅行代理店は旅行の喜びや楽しみを知っている人に向く

旅行が好きで、旅行の喜びや楽しみを知っている人であることが前提です。
とはいえ実際の仕事は、カウンターセールスから企画、添乗業務まで、裏方の仕事が圧倒的に多くなります。お客さまのためにツアーの企画をしたり、交通機関や宿泊施設の手配をしたり、お客さまの予定が変われば調整したり…と細かい手続き事務を段取りよくこなさなくてはなりません。
そのため「人を喜ばせるのが好き!」というサービス精神があり、さまざまな手続きを段取りよく進めていくことが得意な人、変更があってもスピーディーに立て直せる人が向いています。
つまり文化祭や体育祭などのイベントの幹事が得意な人に向いているといえるでしょう。
またお客さまや取引先とコミュニケーションを取る機会が多いので、たくさんの人とかかわることが好きな人に向いています。
旅行代理店の将来展望は?

旅行代理店の将来展望 今後は新しい旅の楽しみ方を提案していくことが求められる

2020年の新型コロナウイルスの影響で、ほとんどの旅行代理店は厳しい現実に直面しています。この影響はしばらく続くとみられていますが、日本人向けの国内旅行や、自宅周辺の短距離観光ニーズ(マイクロツーリズム)が今後盛り上がるのではないかという見方もあります。

これからの旅行代理店社員には、変化していく世の中に対応しながら、新しい旅の楽しみ方やプランをつくり出し提案していく力が求められています。
また近年はスマホでホテルや飛行機を気軽に予約でき、自分でプランを立てて旅に出かける人も増えたので、対面式の従来の旅行代理店は「対面でなければ実現できないサービス」を創出していく必要がある、ともいわれます。
旅行代理店にはこうすればなれる!

旅行代理店社員になるには?観光学の基礎知識や語学を修得すれば有利

・旅行代理店社員になる一般ルートは?必要な学歴は?学びは?


旅行代理店への就職は、旅行代理店の求人に応募することです。
新卒の採用で、大学や専門学校の学部・学科を問われることはないですが、大学や短大、専門学校などで観光学の基礎知識を修得したり、語学系の学部・学科で語学を習得したりすると役立つでしょう。
しかし何より学生のうちにさまざまな旅に出かけ、たくさんの旅の経験をしておくことが実務に最も役立つといわれます。旅行会社の志望者は、学生時代にたくさんの旅を経験した人が多いです。

旅行代理店の新卒採用では、大手企業の正社員採用では「大卒以上」の学歴が求められるケースが多いです。しかしグループ会社や中小規模の企業では、専門学校卒や高卒でも正社員で採用される場合があります。
ただし新型コロナウイルスの影響を受け、今の旅行業界の採用は以前より厳しいものになっています。

・旅行代理店会社の社員に役立つ資格


旅行代理店の仕事に役立つ資格を紹介します。国家資格から民間資格まであります。
これらの資格は、就職時にアピールできるだけでなく、旅の仕事のプロになるための知識と視野を広げてくれます。

「旅行業務取扱管理者」(国内・総合)(国家資格)

「旅行業務取扱管理者」は国家資格で、旅行代理店の就職に非常に有利な資格です。国内資格と総合資格の2種類があります。
この資格には実務経験などの受験条件がないので、学生のうちに取得することができます。
試験内容は旅行計画の仕方、契約書や旅行業務で知っておくべき法律の知識、広告の仕方など、旅行業務の基礎的な知識を問われます。

「旅行地理検定」

「旅行地理検定」は観光で有名な地域や、寺院や城跡などがどこにあるのかなどの知識が問われる民間資格です。
「チリケン」の愛称で親しまれ、試験の内容は日本旅行地理および世界旅行地理の2種類です。それぞれ初級から上級に分かれていて、旅行地理に関する知識・教養のレベルを知ることができます。

「観光英語検定」(民間資格)

観光英語検定は、一般の英語検定とは違い、旅行・観光・ホテル・レストランサービスなどの職業の人たちが国際人としての英語力を身に着けることを目的とし、観光分野での英語力を計る民間の資格試験です。1級〜3級があります。

「TOEIC®︎」

日常生活やグローバルビジネスで使う英語力を測定する世界共通のテスト。就職時の英語力の基準として使われることが多いテストです。

「世界遺産検定」(民間資格)

有名な観光地の多くは世界遺産になっているため、背景にある歴史や文化を学ぶことで、業務に役立つ民間資格です。
世界遺産を通して得た知識は、異文化への理解や、日々世界で起きる出来事を理解するためにさまざまな業界で役立つものになっています。大手旅行会社が社内推薦資格として採用しています。

「サービス接遇検定」(民間資格)

サービス接遇検定は、接客サービスをする人が身につけておきたい心構え、対人心理の理解、応対のふるまい方が身につけられる民間資格です。1級・準1級・2級・3級があります。

「旅程管理主任者」(国家資格)

企画旅行に同行する主任添乗員(ツアーコンダクター)に取得が義務付けられている国家資格で、国内資格と総合資格の2種類があります。
※この資格は実務経験が必要なため、就職してから取得します。

「全国通訳案内士」(国家資格)

報酬を受けて外国人に付き添い、外国語を用いて旅行に関する案内をするための国家資格です。
通訳案内士の仕事は、民間の外交官ともいえる仕事で、語学力だけでなく、日本の地理や歴史、産業、文化など幅広い知識や教養も求められます。