和裁士

和裁士の仕事内容は?

和裁士とはどんな仕事?和裁士になるには国家資格は必要?


和裁士は着物の仕立てやリメイクが仕事

和裁士の仕事内容は?


和服は日本の伝統の衣装で、若い人の中にも現代風のアレンジで、おしゃれに四季折々の着物を楽しむ人たちがいます。
和裁士とはそんな着物の仕立てやリメイクを仕事にする職業です。
和裁士の主な仕事には、仕立て、お直し、後継者の指導の3つがあります。

仕立て

反物(たんもの)を1枚の和服に仕立てる仕事です。
「反物」とは着物を仕立てる前の状態で、筒状に布を巻いたものを指します。
小紋(こもん)や紬(つむぎ)、付け下げ、浴衣(ゆかた)などの着物は、円筒の芯に巻かれた反物の状態で販売されており、布の模様は同じ柄の繰り返しになっています。

お直しやリメイク

和服のサイズを調整したり、修復したり、リメイクする仕事です。男性ものの浴衣を女性ものの浴衣にリメイクしたり、着物を羽織(はおり)や帯(おび)に変えたり、袖(そで)の丈を直したり、古い着物のほころびを修正したりします。

後継者の指導

和裁の技術の後継者を育てるために、見習いの人に向けて教室などで指導をする仕事です。

和裁士のお客さまは、茶道や日舞などの芸事をしている人から、日常的に着物を着ている人、成人式や結婚式、夏の花火大会などイベントで着物や浴衣を着る人など、さまざまです。

和裁士のやりがい


和裁士になる人は、もともと和の文化や和服に強い興味のある人、和装が大好きな人がほとんどです。
休日は自分でも和装のおしゃれを楽しむ人がとても多いです。また着物を着るために茶道や華道、日舞などの習い事をしたり、落語や講談を聴くのが趣味だったり、という人も珍しくありません。
日常的に和裁の仕事ができること自体が楽しみという人が多いです。
特に嬉しいのは、自分の手で仕立てたり、お直ししたりした着物をお客さまに着てもらい、喜ばれるときです。
また満足のいく仕事ができてお客さまにリピートしていただけるときも、やりがいと喜びを感じます。
和裁士はどんな働き方をするの?

和裁士は和裁所でスタッフとして働く

和裁士は、呉服屋さんの外注先である和裁所(和服の仕立屋さん)でスタッフとして働いている人が多いです。
社員として働いている場合は、サラリーマンと同じように朝に出社して、夕方帰宅するスタイルが多いようです。
しかし契約社員やアルバイトで働く場合は、長時間勤務になりやすく、繁忙期は休日返上で働くことも少なくありません。

フリーランスで、大手企業や複数の業者と契約をしていたり、業者を介さずに直接お店とやり取りしたりする人もいます。その場合、仕事の受注は伝統的に口コミや紹介が一般的でしたが、近年はインターネットが発達したため、オンラインショップを開いたり、ネットで仕立てやリメイクの受注を受けたりする和裁士も増えています。
和裁士は確実な技術を身につければ、生涯にわたって働くことができる仕事で、定年もないため、歳を重ねても女性が働きやすい仕事です。

とはいえ着物の需要は、昔に比べて多いわけではないので、和裁士の給与水準や年収は、一般的には低めと言われています。
正社員でも手がけた分だけ給料を支給する「歩合制」の会社も多くあります。

フリーランスの場合は1枚あたりの仕立て代・お直し代を設定し、仕事をした分だけ収入を得ています。
和裁教室や着付け教室の講師、またはリサイクル和服のショップを経営しながら、仕立ての仕事を両立させている人もいます。
和裁士はどんな人に向いているの?

和裁士には手先が器用な人が向く

和裁士は、和の文化や和装の好きな人が前提の職業です。
しかし職業として和裁をする上で一番大事なことは手先が器用なことでしょう。
和裁士は歩合制で働く人が多いので、生計を立てていくためには、美しく速く縫えること、つまり手先の器用さが欠かせません。
和裁の技術が高いのはもちろんですが、手際の良さも重要です。
また、基本的には一人で黙々と縫う仕事なのでスケジューリング力も必要です。
地道な作業を毎日コツコツと繰り返すことが楽しくできて、一人の仕事が好きな人が和裁士に向いていると言えます。
和裁士の将来展望は?

和裁士の将来展望 後継者不足で需要は増える

和裁所は、呉服屋などから反物やお直しの和服を預かり、和裁の仕事をする会社です。
和裁所は全国各地にあり、和裁士が所属していますが、今は高齢の和裁士が引退していき、後継者不足です。そのため和裁士の需要は増えつつあります。

しかし海外工場への仕立ての外注も増えて、日本の民族衣装である着物も、今では海外縫製が主流です。
和裁士は今後、安く大量に縫える海外の和裁技術に負けない、高度で丁寧な技術力をもつことや、伝統的な和服にはない斬新なデザインの仕立てやリメイクのできる新しいタイプの和裁士が求められていくかもしれません。
和裁士にはこうすればなれる!

和裁士になるコースは大きく分けて3通り

和裁士になるためのコースは大きく分けて3通りあります。
1つ目は大学や専門学校の和裁専門の学科に入学して国家資格を取得して、卒業後は和裁所で正社員として働く。
2つ目は学校に通わずに和裁所に見習いとして入社する。3つ目は個人教室で和裁技術を学んで就職する方法です。

和裁士の学校と資格


和裁士を目指す最も一般的なのが、和裁を学べる大学や専門学校のコースに進学することです。
和裁士を育てる大学や専門学校は4年〜5年間で和裁技術を習得します。
大学や専門学校によっては、通信教育講座を開設しているところもあります。

大学や専門学校で学ぶメリットは和裁を体系立てて学べて資格試験対策がしやすい点です。
国家資格である「和裁技能士」は3級から1級までがあり、1級を持っていると就職や開業に有利になる傾向があります。

和装所に入社して仕事を覚える


大学や専門学校に行かずに、和裁所に見習いとして入社する方法もあります。
この間、給与は低いものの、現場で技術を学ぶことができます。また見習い期間を終了すると正社員登用の道が開けます。

個人の和裁教室などで学ぶ


個人の経営する和裁教室で、プロの和裁士に師事しながら和裁技術を学ぶ道もあります。
しかし専門学校に比べるとレッスン時間が短く、趣味で受講する人も多い環境です。
プロを目指すなら自分の技術をしっかりとチェックしていただき、プロの手際を見てまねをするなど積極的に自分から学ぶ姿勢が必要になります。

和裁士の資格


和裁士の資格には、国家資格である「和裁技能士」があります。
和装技能士の国家資格がなくても和裁士の仕事はできますが、和裁士の求人に応募する際に有利になったり、信頼を得て仕事を得やすくなったりするメリットがあります。
「和装技能士」資格には1級、2級、3級の3つのレベルがあり、和裁士が正社員として所属する和裁所の求人では、1級もしくは2級和裁技能士資格を持っていることを条件としていることもあります。
和裁士がフリーランスで独立をするなら、「一級和裁技能士」を取れるくらいの技術とスピードが必要と言われています。