グランドハンドリング(航空機支援業務)

グランドハンドリング(航空機支援業務)の仕事内容は?

グランドハンドリングとは航空機の安全を支える縁の下の力持ち


グランドハンドリングは航空機を誘導したり貨物の荷下ろしなどをする仕事

・グランドハンドリングとは?


離陸直後、飛行機に向かって手を振って見送ってくれているスタッフの姿を窓から見たことはありませんか? グランドハンドリングは通称「グラハン」と呼ばれ、空港の滑走路敷地内で、航空機を誘導したり、貨物の荷下ろしなどをしたりするスタッフです。
空港では裏方の仕事が多いけれど、空港で欠かすことのできない頼りになる存在です。

・グランドハンドリングの仕事内容


グランドハンドリングの仕事内容を詳しく紹介します。

航空機の誘導

「パドル」と呼ばれるラケットのような形の器具(夜間は誘導灯)を使って、航空機を誘導します。
この仕事をするスタッフを特別に「マーシャラー」と呼びます。パイロットの操縦席からは航空機の翼は見えません。
そのため航空機の大きさを考慮しながら、センターラインの位置をパイロットに示し、航空機を安全に移動させることがマーシャラーの重要な仕事です。

旅客の荷物や貨物の積み込み

旅客の荷物をはじめ、さまざまな積荷の上げ下ろしをするのもグランドハンドリングの仕事です。
貨物は通常、航空機の到着から出発までの1〜2時間のうちに作業を終えなければならないので、スタッフはチームワークを生かして安全かつスピーディーに荷物の上げ下ろしをしています。

ボーディングブリッジの操作

「ボーディングブリッジ」というのは、搭乗口と航空機をつないでターミナルビルから旅客機に乗客や乗員を乗り降りさせるための「橋」の役割をする施設です。
グランドハンドリングは航空機がスタンバイして合図が出たら、ボーディングブリッジを操作して、搭乗口と機体の入り口に装着したり、着脱したりしています。

航空機のプッシュバック

実は航空機というのはバック(後退)ができません。
出発前の移動や、駐機場から駐機場への移動のときに、専用の特殊車りょうを使って、航空機を後ろに押し出す作業が必要になります。
この作業を「プッシュバック」といい、グランドハンドリングの重要な仕事です。
出発前のプッシュバックは、準備が整って周辺の安全が確認され、管制塔から許可が出たうえで行います。

・グランドハンドリングのやりがい


グランドハンドリングの人たちは、航空機を間近に見ながら、大きな機体を誘導したり、バックさせたりする、ダイナミックな仕事にやりがいを感じる人が多いようです。
また航空機がスムーズに安全に離着陸できるように、みんなで協力してチームワークを発揮して働くことに、おもしろさややりがいを感じている人も多くいます。
そしてスタッフみんなで力を合わせて、空港の安全を守ることを誇りに感じるグランドハンドリングもたくさんいます。
グランドハンドリング(航空機支援業務)はどんな働き方をするの?

グランドハンドリングの就職先は大手空港会社のグループ企業

就職先はグランドハンドリング業務を行う会社や、航空会社専門の派遣会社などです。
グランドハンドリングを行う会社は、大手空港会社のグループ企業が多く、正社員採用も多くあります。

グランドハンドリングの勤務地は空港です。
グランドハンドリングの勤務はシフト制のことがほとんどで、不規則になることも。またほぼすべての仕事が屋外で行われるので、真夏は炎天下、冬は寒さの中での作業となり、体力勝負ともいえます。
グランドハンドリング(航空機支援業務)はどんな人に向いているの?

グランドハンドリングは機械好きで向上心のある人に向く

空港が好き、航空関連の仕事がしたい!という志望理由の多い仕事ですが、とくに飛行機が好きな人や、機械が好きな人にとって魅力的な職場だといえます。
また屋外で働くのが好きで、体力のある人が向いています。
そしてチームで協力して仕事にあたるため、協調性は欠かせません。
業務を行いながら、専門の資格をたくさん取得していかなければならないので、向上心のある人に向いています。
グランドハンドリング(航空機支援業務)の将来展望は?

グランドハンドリングの将来展望 人間しかできない部分に重点

最近は、コンピューターで航空機の位置をモニターしながら、自動的に誘導するシステムが開発され、外国の空港ではすでに導入しているところもあります。
また国内でも今は乗客の荷物を自動で運ぶシステムを導入している航空会社があります。

日本ではまだ安全を最重視して、専門の知識をもって航空機を誘導するマーシャラーの活躍が期待されているといわれます。
しかし将来的には前述のような便利なシステムと共存しつつ、より人間にしかできない部分にグランドハンドリングの仕事の重点が置かれていくことが考えられます。
グランドハンドリング(航空機支援業務)にはこうすればなれる!

グランドハンドリングになるには専門知識や業務に必要な技術を修得すると有利

・グランドハンドリングの学歴や就職先は?


グランドハンドリングの採用では、とくに学部・学科を問われないこともありますが、大学・短大の「航空技術危機管理学科」「国際観光学科」「外国語学部」「国際学科」などや、専門学校の「エアポートサービス科」や「グランドハンドリングコース」などに進学して、専門知識や業務に必要な技術を修得すると就職時にアピールできて実務でも役立つでしょう。
また職場では英語を使うので、就職時にはTOEIC®︎など英語資格で高スコアを取っておくと有利です。

卒業後は、各空港でグランドハンドリングを含め地上業務を行う会社に入社するか、航空会社専門の派遣会社などに登録して、実務経験を積むのが一般的な流れです。

・入社後に取るべき社内資格がたくさんある


グランドハンドリングの採用では、入社後、業務を通して多くの社内資格を取得していくことになります。
とくに高度な技術を必要とする「マーシャラー」になるには、社内で訓練を受け、社内の資格試験に合格する必要があります。

社会人の経験者採用では自動車の「普通免許」は必須のことが多く、ほかに「牽引(けんいん)免許」「フォークリフト免許」「大型特殊免許」「大型自動車免許」などの資格をもっていると優遇される会社もあります。