ベネッセホールディングスは、ダイバーシティ推進に力をいれています。その一環として視覚に障がいのある方のアテンドにより暗闇を体験するダイアログ・イン・ザ・ダークの活動に共感し、2022年度も主催団体の一般社団法人ダイアローグ ・ジャパン・ソサエティに寄附をいたしました。
ダイアログ・イン・ザ・ダークの活動趣旨や社員の体験談をご紹介します。ダイバーシティについて考えるきっかけとしていただければと思います。
ダイアログ・イン・ザ・ダークとは
視覚障害者が特別なトレーニングを積み重ねアテンド役となり、参加者を完全に光を閉ざした"純度100%の暗闇"に案内します。視覚以外の感覚を広げ、新しい感性を使いチームとなった方々と様々なシーンを訪れ対話を楽しめる場です。暗闇での体験を通して、人と人とのかかわりや対話の大切さ、五感の豊かさを感じる「ソーシャルエンターテイメント」です。
1988年、ドイツの哲学博士アンドレアス・ハイネッケの発案によって生まれたダイアログ・イン・ザ・ダークは、これまで世界50カ国以上で開催され、900万人を超える人々が体験しています。日本では、1999年11月の初開催以降、23万人以上が体験しています。
ダイアログ・ダイバーシティミュージアム「対話の森」では、「ダーク」以外にも、表情やボディランゲージで楽しむ「サイレンス」では、言語や文化の壁を超えた対話を、「タイム」では年齢や世代を超えた、生き方について対話ができます。世代、ハンディキャップ、文化、宗教、民族などの世の中を分断しているたくさんのものを、出会いと対話によってつなぎ、ダイバーシティを体感することができます。
体験談1:ベネッセコーポレーションアセスメント企画推進部 山城範子が語る暗闇は平等な世界
高校生向けの模試を実施する部署の山城は、体験した内容を社内の朝会でも共有しました。山城が参加したプログラムは、「身体感覚を磨こう!秋のまっくら大運動会」。初めて出会った2組の親子とともに、体操をしたり、玉入れをしたりする内容でした。アテンドは視覚に障がいのあるニノさん。ネパールの方で、流暢な日本語を話します。
「昨今、急にダイバーシティと言う言葉を聞くようになりました。ダイバーシティとは何なのか、人として社会人としては知っておいたほうがよいなという気持ちはありました。ただ他の方と比べても熱量があったわけではないと思います。元々博物館や美術館に行くのが好きなこともあり、会社が行かせてくれるのならと軽い気持ちで体験に行きました。
最初に驚いたのは、真っ暗な世界。そして初対面の方々と様々なゲームを体験する中で感じたのは「子どもの力はすごい!」ということです。暗闇は、大人のほうが有利とか大人のほうがよく知っているという世界ではないので、今日出会ったばかりの小学生が『のりさん、こっちだよ!』ときちんと声をかけ案内してくれるのです。そういう意味では闇の中というのは、誰しもがリーダーになれる、つまり平等な世界ということを感じました。
もう1つ自分の生活を振り返ることができたことも良かったです。現在は在宅勤務を続けていて、月曜から金曜までオンライン上で同じ課・同じグループのメンバーとの接点が多く、ある意味、閉じた生活をしています。オンラインでの業務の良さを感じる一方、知らない人と会うこともない毎日にこのままでよいのかという気持ちも生まれました。さまざまな人がいてこの世の中が存在していることを、あらためて感じる機会になりました。違う環境・人種・性別・世代・異なる考え・・を持った人との共存の大切さを感じることができました。
様々な気付きを与えてくれる体験です。言葉ではなかなか伝わらないと思うので、より多くの人に体験してほしいです。」
※時期によってプログラムの内容が異なります
体験談2 :べネッセコーポレーション アジャイル開発部 本田弘幸はコミュニケーションについて深く考える
進研ゼミ高校講座の学習アプリの開発の仕事に関わり始めたばかりの2022年度新入社員の本田も体験しました。
「視覚に障がいのある方の気持ちを想像しようと思ってもなかなかわかるものではありません。でも知らないことはいちばんよくないと思っているので、とにかく『真っ暗な世界』を体験してみよう!と申込みをしました。
8名程度のおそらく社会人の方と一緒に、東北に小旅行にいくというプログラムでした。
先天的に視覚に障がいのある方は、いったいどういう世界が頭の中に広がっているのかということをいちばん強く感じました。一度も物の色や質感などを目で見たことがない中でどのように世界を認知されているのかが非常に興味深いと思いました。
自分自身は、今回暗闇の中で自分が触った、芝草や畳、ちゃぶ台を無意識のうちに今まで見たことがあるもので想像していました。すべて脳内シュミレーションをしているからやっと理解できているという感覚です。しかしアテンドのまりさんは、普通に暗闇でもすたすたと歩いていき、そして人の名前を覚えるのもすごく早いのです。何も見たことが無い状態でどのように知覚していたかが想像もつきません。本当に驚きました。
また、暗闇の中でも意外とコミュニケーションの取り方はあるということを学びました。真っ暗な中で円陣を組んでボールを真向かいの方に投げるということをしましたが、音をたよりにして投げたら、きちんとボールを取れるようになります。
私も工夫をしてみました。暗闇の中で「前の人の肩を持って歩いてください」と指示がありましたが、そうはいっても肩がどこにあるのかわからないので、自分の肩を叩いて音を出し「ここを持ってください。」と言ってみました。良いコミュニケーション方法とお褒めに預かりましたが、視覚的な情報の中では、指示が雑でよかったことが、暗闇だと説明のレベルを丁寧にし、普段視覚情報に頼って割愛しているところを補いつつ、かといって言語で長くなりそうなところを視覚以外でどう伝えるか。そんなことを頭で考えてから伝えるということを意識しました。
コミュニケーションという意味では、「視覚情報がなくてよいこともあるな」ということも感じました。知らず知らずに外見で判断して、この人はこういう人かと勝手に考えてしまうことがあるからです。暗闇の中はフラットです。
一人での参加だったので、初めて会う顔も名前も知らない方々とコミュニケーションをとることに不安がありましたが、むしろ視覚情報を取り払うことで年齢や性別、外見などといったことをあまり考えずに対等な関係で協力しながら、心をオープンにしてプログラムを進められたかと思います。暗闇の世界でのコミュニケーションを通じて、対話とは偏見無く心と心で会話することだと感じました。
本当に参加してよかったです。今回の体験をこれからのダイバーシティの時代に向けて様々な人の視点で物事を考えるという一つのきっかけにしたいと思います。」
ダイアログ・イン・ザ・ダーク 担当佐川久美子さんより
暗闇では誰もがフラットな関係性で関わり、声を掛け合うことで得られる安心感や一人ではできないことも周囲と協力することで達成できる一体感や楽しさも体感いただけます。
また、案内役である視覚障害者の存在が大変心強く、助ける・助けられるの立場も逆転します。日常において視覚で80%以上の判断をしているといわれているので、ご体験後は固定観念が外れ、物事の捉え方、人に対する向き合い方が変わったというご感想も大変多いです。
ベネッセグループの皆様には、いつも我々の団体の活動をご支援いただき感謝しています。今回お二人のご感想を伺い、豊かな時間を過ごされたことを大変嬉しく思いました。
小学生以上が体験でき、2023年2月末まではダイアログ・イン・サイレンスも開催しています。ぜひ体験にいらしてください。お待ちしています。
ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョンな社会を目指して
ベネッセグループは、様々な個性を持つ人財が、属性に関わらず、お互いを尊重し、多様性豊かで、個々のちがいを活かす企業であることを目指して、ダイアログ・ダイバーシティミュージアム「対話の森」への支援に限らず、今後も取り組みを続けてまいります。