児童養護施設の子どもたちをベネッセアートサイト直島に招待。たくさんの体験をプレゼントできました!

  • 誰もが学べる社会へ

2022.12.07

ベネッセホールディングスは、5年前より、岡山県で活動する一般社団法人かすがいのプロジェクトである「シゴト図鑑プロジェクト」への支援を行っています。

2018年のプロジェクト発足以来初めて、児童養護施設で暮らす子どもたちをベネッセアートサイト直島に招待することができました。直島の中を移動するアート体験にドキドキ・ワクワクした一日をご報告します。

「シゴトの図鑑PROJECT」とは

一般社団法人かすがいは、児童養護施設などの社会的養護*の下で生活する子どもたちが、将来の夢や目標を持つきっかけをつくり、子どもたちが自ら歩むことができる社会の実現を目指して活動しています。

「シゴトの図鑑PROJECT」では、岡山県内の弁護士、児童相談所や児童養護施設の職員と企業の有志が立ち上げた、子どもたちに数々の職業体験の場を提供するプロジェクトで、大工さんと一緒に本棚づくりをしたり、社会人になる前の身支度やヘアメイクを学んだりと、30社を超えた企業や団体と連動した活動となりました。

ベネッセホールディングスは、プロジェクト発足前の準備段階からできることを検討していました。その中で、仕事、将来の夢という観点だけでなく、遊園地へ行く、キャンプへ行く、おばあちゃんに会いに行く、などの思い出となるイベントが一般家庭の子どもたちに比べて不足しているというお話を伺い様々な体験の機会の可能性を検討していました。

2017年の暮れには、岡山県瀬戸内市のベネッセ・ロジスティクスセンターの見学を実施しました。ロジスティクスセンターはベネッセの物流拠点であり、2010年にいち早く屋根に太陽光パネルを取り付けるなど環境配慮型の施設です。ベネッセが所有するマイクロバスに20人以上の子どもたちをのせてセンターに向かい、環境教育を行いました。2021年には、ベネッセコーポレーション岡山本社の見学と職業体験も実施しました。 

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コロナ禍でイベントや活動が中止や縮小

コロナ禍では、卒業式や入学式は中止や規模縮小。職業体験の実施も難しい状況でした。子どもたちにとって大事な思い出作りの機会を逸してしまうことは大変気になっていました。

2022年になり、コロナが落ち着きを見せたタイミングで、ベネッセホールディングス本社・直島統轄部の川畑博子は、ベネッセアートサイト直島への招待の企画を進め、将来の夢や目標を持つきっかけになってほしいと体験の内容を考えました。

いよいよ直島へ。初めてのフェリーに戸惑いも!

2022年9月11日朝9時、玉野市宇野港に集まったのは、岡山県内3か所の児童養護施設から来た小中高校生14名に付添の先生方を含めた総勢25名。
生まれて初めてのフェリーを前に「ちょっと怖い」と感じる子どももいましたが、すぐに友達や先生といっしょに甲板に出て、瀬戸内海の風景を思い思いに楽しんでいる様子でした。

直島・宮浦港に近づくと、真っ先に草間彌生の作品『赤かぼちゃ』と出会います。「赤色、きれい!」「中に入れるよ!」「写真撮って!」と、素敵な笑顔を見せてくれました。

体験のしおりからtravel brochure.jpg

本格的なアート鑑賞と砂浜遊びも!

続いて訪れた本村地区では、2グループに分かれて、『家プロジェクト』を鑑賞しました。元気いっぱいに歩き回った子どもたちからは、「びっくりした!」「(作者が)なんでこうしたのかわからないけど、見た目や形が気に入った」「作った人の苦労が想像できた」「不思議な気持ち」「すごく楽しかった」「飽きない」と、口々に感じた言葉が広がりました。

お弁当を食べ、砂浜で遊んだつつじ荘での休憩の後、午後のアート鑑賞へ。『ベネッセハウスミュージアム』、『ヴァレーギャラリー』、『地中美術館』を巡りました。「作品の説明がとてもわかりやすく、素敵な作品をたくさん見られてうれしかった」という声も届きました。

作品を鑑賞する参加者benesse museum.jpg

感謝のお手紙をいただきました!

手紙の一部をご紹介thanks letter.jpg

付添で来られていたある先生からは「子どもたちにとって久しぶりの遠出。帰園後も、他の子どもや職員に良い表情で話していました。自然の中でアートを楽しむ機会や、さまざまな人との交流の機会が、子どもたちにとって良い刺激になりました」とのコメントをいただきました。

直島での体験、プロジェクトを通して感じたこと

5.6年前よりプロジェクトに関わり、今回の直島へのご招待を担当した川畑に話を聞きました。

「子どもたちが元気なのがとても嬉しかったです。来年も来たい!と言ってくれているので、うまく調整できたらと思います。

プロジェクトには企業だけではなく、弁護士、児童相談所や施設の方々も参加されています。みなさん子どもの話を聞くのがうまいなあと思います。子どもの希望を取り入れて、児島のジーンズ工場の見学を実現させたこともありました。

これからも、体験や職業の選択の幅が少ない環境にある子どもたちの願いや希望にそった活動ができればと思います。子どもたちがさらに元気になり、未来に希望を持てるとよいです。個人的には、この中から、将来ベネッセアートサイト直島に関わる人がいてくれたらいいなと思っています!」

ベネッセグループは地域との繋がりを大切にしながら、すべての子どもが未来に希望を持てる活動を続けてまいります。

*児童養護施設や里親などと暮らす「社会的養護」のもとにある子どもは約45,000人と言われています。基礎的な知識を知りたい方は、noteでの記事【漫画☓社会課題】「社会的養護」はじめの一歩公益財団ベネッセこども基金作成)をご参照ください。

最終更新日:2022年12月07日