地域貢献しながら教材への還元も! 多摩市豊ヶ丘小学校地域未来塾への参加で子どもたちの「できた!」「わかった!」を応援

  • 誰もが学べる社会へ

2022.11.18

職場近くの学校でのSOS

2022年4月から進研ゼミ小学講座4・5・6年生の責任者を務める尹静恵は、今年度から東京都多摩市の豊ヶ丘小学校で放課後行われる「地域未来塾」で子どもたちの学習サポートを始めました。

「会社のすぐ近くの学校で、放課後の学習を手伝ってくれる人を募集しています!」そのメールが社内の知り合いから届き、すぐにやりたい!と返信しました。」

コロナ禍で、尹は自身の仕事が子どもたちのため、社会のためになっているのかという不安が大きくなりました。
「教材制作は止まらず進んでいるし、子どもたちのようすをまとめて調査レポートを読むこともできている。でも自分はパソコンの画面を見ているだけではないか!」と。

進研ゼミの教材を制作する編集部は、以前は毎月のように子どもたちを会社に招いて、作成途中の教材に取り組んでもらったり、ご自宅にお伺いして、教材をどのように使っているのかを見せていただく活動をしていました。そのような機会を失い、子どもたちとの距離も遠くなり、不安を感じていました。

地域未来塾の話があった際に「時間ならなんとかなる!いや、時間は自分でつくるものだ!」と行動を起こします。

子どもに会えずもやもやしている社員もいるはずと、責任者として部員にも呼びかけ、勤務時間内に希望者が交代で地域未来塾に参加するしくみを作りました。1学期は5人の部員が手を挙げて関わることとなりました。

東京都多摩市立豊ヶ丘小学校oyogaokaElementary school_headerimg.jpg

豊ヶ丘小学校放課後の授業 地域未来塾

地域未来塾は、豊ヶ丘小学校が「授業の後、学校で宿題をすませられるよ。友達と一緒にできるよ。」と呼びかけ、希望した子どもたちが集まります。曜日ごとに学年が決まっていて、だいたい毎回10人程度が参加します。火曜と金曜をベネッセの社員が担当しています。

子どもたちは、まず宿題を済ませた後に、オリジナルのプリントやタブレット教材を使って漢字計算をします。

発案者の豊ヶ丘小学校の滋野卓也副校長に地域未来塾の目的と、ベネッセにお声かけいただいた理由をお聞きしました。

「算数など難しい問題の場合は特に、教師1人対20~30人だと、どうしても一人ひとりの『わからないタイミング』に対応することは難しいです。わからないことがそのままになってしまうこともあります。それを解消したく、まずは教師や保護者の方を中心に地域未来塾を始めました。

この地域未来塾を持続可能にするためには、地域や企業に協力いただくのがよいのではと考えました。毎日駅からベネッセの前を通って登校しています。しっかりとした教育の会社であるから安心ですし、教員にベネッセ社員に知り合いがいると聞き、ダメ元でご連絡しました。」

4年生の質問に答える滋野副校長V2toyogaokaElementary school regional future cooperation_sigeno.jpg

たくさんの大人が、子どもに関わる意義

現在教師を目指し、豊ヶ丘小学校で補助教員をしている伊野誠也先生が地域未来塾を担当しています。先生からもお話を伺いました。

「たくさんの人が子どもたちに関わっている状態を作れて、とてもうれしいです。
4年生の女の子は、ベネッセの女性の方が来るととてもやる気がでて集中し、活発に質問します。女性同士でお話ができるのが嬉しいのでしょうか。 

音読などの宿題もとても大切です。ベネッセの方がきて、子どもたち一人ひとりに対応いただけると何よりも子どもたちのためになります。子どもたちの『できた!わかった!』が増えていくのはとても嬉しいです。」

伊野先生の合図で地域未来塾開始toyogaokaElementary school regional future cooperation_ino_FIX.jpg

参加したベネッセ社員の声:新入社員野田健吾

取材日の4年生の授業に初参加した、新入社員の野田健吾に話を聞きました。野田は小学生の学習意欲を高める企画を担当しています。

「今回初めて参加して、子どもたちはそんなに勉強がわからないわけではないという印象を持ちました。

今回は4年生だったので、答え合わせも自分でやっていました。答えを間違えたとき、『なぜかけ算をつかったの?』『900の中に40はいくつある?』など少し問いかけをすると、自分で気づいて学習を進めていきます。教えるというのではなく、誰かが近くにいれば、勉強に取り組めるのだと感じました。

私が担当している進研ゼミは通信教育なので、勉強するのは一人です。だからこそ、キャラクターの先生たちの存在がとても大きいですし、『一人で勉強していても一人ではない!』と感じられる教材を、なんとしても作っていかねばと強く思いました。」

児童を見守る野田V2toyogaokaElementary school regional future cooperation1_noda_ .jpg

45分の授業時間が終わったあと、野田は、4年生から「もう友達だからまた来てね!」と言われ、笑顔で応えていました。

参加したベネッセ社員の声:入社3年目横山美和

小学5年生の国語を担当する入社3年目の横山美和はこんな思いを話してくれました。

「まさにコロナ入社で、これまで子どもたちに実際に会う機会はありませんでした。オンラインで教材についてのヒアリングは行っていますが、お子さんが話す内容は隣にいるおうちのかたを意識しているのを感じます。だからこの企画の話があったとき、すぐに手を上げました!

実際に学校で子どもたちに会うと、教材制作時には想定していなかったことで子どもたちが躓いていると分かりました。例えば、算数の筆算を間違えてやり直すとき、前の数字がきれいに消えていないまま新しい式を書き、結局何の数字かわからなくなって計算ミスをしてしまう子がいました。

国語の担当としては、漢字練習がただ埋めるための作業になっている様子を見て残念に思った一方、自分も小学校時代はそうだったと思い出しもしました。
子どもに声をかけた結果、どのように反応するか実際に見られることが大きいです。子どものやる気を上げる「声がけ」を見つけたいです。

最初は子どもたちの邪魔をしたら良くないなと見ていることが多かったのですが、私達に声をかけられるのを待っていることも感じ、これからはもっと積極的にサポートしたいと思います。

また、『子どもはこのくらいはわかっている!』と思い込んで教材を作っていたことに気付かされました。このギャップを埋めるためにも、地域未来塾を続けたいです。」

やさしく語りかける横山toyogaokaElementary school regional future cooperation_yokoyama_FIX.jpg

まさに、百聞は一見にしかず!

本格的に活動が始まり、尹は手応えを感じています。

「本当に『百聞は一見にしかず』です。GIGAスクール構想の調査レポートなども読みますが、目の前で子どもが片手でタブレットをひょいひょい扱うのを見ると、頭で知っていたものが、よりリアルに多面的に理解できます。自社教材のチャレンジタッチのデジタルコンテンツが、子どもたちにどう思われているかも想像ができるのです。」

「参加してる部員も、チャレンジタッチに蓄積するデータだけでは見えない、『鉛筆をにぎる』『消しゴムで消す』『計算する姿』など、子どもたちの様子がわかるようになったと言ってます。これまでより、子どもについての実感を持ちながら教材制作ができていると思います。」

2学期からは、他の部署にも声をかけたところ参加者が倍に増えたそうで、これからも地域の子どもたちの成長を見守りながら本業へも熱を入れていきます。

最終更新日:2022年12月15日